隠れ家の空気が重くなり、EMIが膨大な魔力を解き放った。突然の爆発により、男たちのリーダーは反応する間もなく壁に叩きつけられた。魔法を無効化する能力を使う暇さえ与えられなかった。
「誰にも邪魔はさせない!アレックスとの絆を壊させるものか!」と、EMIは叫び、青白いオーラを放ちながら、雷のような光を辺り一帯に閃かせた。
一方、アリアは闇の召喚魔法を使い、無数の生き物を作り出して敵をかく乱した。その隙にアレックスと囚われの女性が閉じ込められている牢へと駆けつけた。
アリアはアレックスの元にたどり着くと、その顔には罪悪感と焦りが浮かんでいた。彼の前で膝をつき、バッグから緑色に輝く液体の小瓶を取り出した。
「アレックス...本当にごめんなさい。」と、アリアは声を震わせながら言った。目を合わせることができず、視線を逸らしたままだった。「危険すぎる任務にあなたを連れてきてしまったのは、私の責任です。」
アレックスは小瓶を受け取り、中身を飲み干した。すると、体の傷が瞬く間に癒え、彼は安堵の息をついて立ち上がった。そしてそっと手を伸ばして、うつむくアリアの頭に優しく触れた。
「アリア、気にするな。」彼は微笑みながら言った。「正直、こういう状況には慣れている。EMIがいるおかげで、俺はまるで『助けられるお姫様』みたいなもんさ。」
アレックスの軽口にアリアは驚き、彼の穏やかな声に一瞬息を呑んだ。アレックスは自信を持って笑いかける。
「さて、EMIがこれ以上大地を揺るがす前に、手を貸してやらないとな。」
アリアは涙を手早く拭い、気を取り直して立ち上がった。そしてさらに召喚した影の生物たちが、敵を分散させるべく駆け出した。
アレックスとアリアがEMIを助けに向かおうとしたその時、アレックスは突然立ち止まり、囚われていた女性に向き直った。そして手を差し出し、穏やかだが確固たる眼差しで彼女を見つめた。
「さあ、一緒に行こう。戦いは俺たちに任せて、君は他の仲間たちを助けてやってくれ。」
女性は彼の差し出された手を見つめ、信じられないような表情を浮かべた。しばし躊躇した後、複雑な感情を込めた目で彼の手を取った。
「どうして...こんなことをするの?」と彼女は低い声で尋ねた。
アレックスは彼女の目をまっすぐ見て答えた。
「ここに閉じ込められているなんて、誰も望まないだろう。誰だって自由を手にするために戦う権利がある。」
その言葉に、女性は驚きながらも心を揺さぶられたようだった。
「でも...彼の力を見たでしょう?あの男は私たちの魔法を無効化できる。あなたには魔法の力もないのに、どうやって助けるつもりなの?」
アレックスは決意とユーモアが混じった笑みを浮かべた。
「正しいことをするのに、魔法なんていらないさ。それに...」彼はEMIの方を見やった。彼女は圧倒的な力で敵に立ち向かい続けていた。「あんな仲間がいる時は、信じる気持ちだけで十分なんだ。」
その言葉に女性はしばらく黙っていたが、ついに力強く頷いた。
「わかった。他のみんなを解放して、全員無事に逃がすわ。」
女性が囚われていた仲間たちを助けに向かう一方で、アレックスとアリアはEMIに合流した。アリアの影の生物たちとEMIの破壊的な力、そしてアレックスの冷静な戦術が融合し、戦況は次第に彼らに有利になっていった。
魔法の力を持たないアレックスは、敵を素早く動いて武器を奪い、EMIとアリアが強敵に集中できるよう援護した
。戦いが最高潮に達する中、彼らの団結と信頼がどんな逆境にも打ち勝つ力を与えていた。