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第43章: 光と獣の対決


緊張感が漂う中、エミとガロッシュが対峙していた。戦場は壮絶な戦いを物語るかのように、瓦礫が散乱し、大地には戦いの爪痕が刻まれている。無数の戦いを経た筋骨隆々とした巨体を持つガロッシュは、無数の傷跡を刻んだ顔に嘲笑を浮かべ、大きな斧を手に構えていた。


「それがお前の実力か、“主人公”さんよ?」と、口元の血を拭いながらガロッシュが挑発する。


エミは鋭い目つきで相手を見据え、何も答えない。その手には黄金の光が宿り、拳を包み込むように輝いていた。彼女の一撃一撃は雷鳴のように轟き、戦場を眩い閃光で照らしていた。


「私の光を侮らないで。」エミは力強く言い放ち、再びガロッシュに突進した。


その動きは圧倒的な速さだった。一瞬のうちにガロッシュの目の前に現れると、連続で繰り出す打撃が嵐のように襲いかかる。その一撃一撃は山をも砕く威力を持っていたが、ガロッシュは巨体からは想像もつかない反射神経で、斧や強固な鎧で攻撃を受け止め、弾き返していた。


「もっと来い!その程度じゃ足りないぞ!」とガロッシュは笑いながら大声で叫び、反撃に転じた。


巨大な斧が凄まじい力で振り下ろされるが、エミはそれを雷光のような俊敏さでかわし、隙を突いて顎を狙ったアッパーカットを叩き込む。ガロッシュの顔が後方に仰け反る。


「まだ楽しんでる余裕があるの?」と、エミは挑発的に問いかけた。


ガロッシュは数歩後退した後、顎を擦りながらさらに大きな笑みを浮かべた。 「ああ、これだ。こういう戦いを待っていたんだ。」


ガロッシュは咆哮を上げながらエミに突進する。その斧は空気を切り裂き、鋭い音を立てながら振り下ろされた。エミは片腕を上げ、光の盾を作り出してそれを防ぐが、その衝撃で数メートル後方に押し戻される。


「その程度の力じゃ俺には勝てない。」とガロッシュはゆっくりと歩み寄りながら言った。


エミは深呼吸し、冷静に状況を見極める。彼女の光の魔法は強力だったが、ガロッシュはただの相手ではない。その耐久力と力は底知れず、さらに彼女の動きを見抜く洞察力が脅威となっていた。


「もう抑えていられない。」とエミは呟き、目を閉じた。


次に目を開けた瞬間、彼女の体はまばゆい光を放ち始めた。周囲の光が一気に集中し、拳を包んでいた光は全身の鎧となって腕や脚を覆い尽くした。エミが一歩踏み出すごとに、足元の地面が光に照らされる。


「ようやく本気か。」とガロッシュは構えを整え、両手で斧を握り直した。


エミは一瞬で視界から消え、気付けばガロッシュの背後に立っていた。彼女の回し蹴りが脇腹を直撃し、ガロッシュは遠くの岩壁まで吹き飛ばされ、砕け散った瓦礫の中に埋もれる。


「どう?」とエミは息を切らしながらも凛とした声で問いかけた。


瓦礫の中からゆっくりと立ち上がるガロッシュ。その体には無数の傷が刻まれて血が滴り落ちていたが、彼の笑みはさらに大きくなっていた。 「完璧だ。ここからが本番だ。」


咆哮とともに、ガロッシュの体が闇のエネルギーで包まれ始めた。彼の斧はさらに巨大化し、黒い炎に覆われていた。地面を叩きつけると、闇の衝撃波がエミに向かって迫ってきた。


「浄化の光!」とエミは叫び、両腕を掲げて光の障壁を生み出し、衝撃波を受け止めた。


二人の視線が激しく交錯する。こ

の戦いはまだ終わらない。お互いの力がぶつかり合う中、真の決着はこれからだった。


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