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第43話 買い物へ

 ふたりを送り出したあと、俺は洗濯物を干して掃除機をかける。

 今日は駅前の家電量販店に行って、そのあと帰ってきて午後、スーパーに買い物かな。お昼は駅前で喰うか。

 外で食べるのはすごい贅沢な気がして好きじゃないんだよなぁ。

 俺は、ひと通りの家事を終えて、歯を磨こうと洗面所に向かう。

 そこで俺は改めて自分の顔を見た。

 ヒゲは剃っているから生えてないけど、顔は……確かに疲れた顔、してんな。目の下にくまがあるの、今初めて気が付いたし。そこまで目立つもんでもないけど。これでも俺、だいぶマシになったってことだよな。

 ってことは俺、もっとひどい顔、してたのかよ……なんかショックだしそれに気が付けなかった事実もショック。

 俺は、髪をくしでとかし、想真から借りたワックスで髪を整える。

 顔……くまってどうしたら消えるんだろ。疲れた顔は……どうにかなるんかな。

 気が付くとすっげー気になってしまう。でも顔をどうにかする方法なんてよくわかんないしな……

 とりあえずあとでスマホで調べるか。とりあえず買い物行かねえと。俺は、コートを着ていつものトートバッグを肩にかけて部屋を後にした。

 しばらく歩けば駅前の通りに着く。駅前にはデパートやショッピングモール、家電量販店などが点在している。

 だから人の通りはそれなりにあった。

 あんまり気にしていなかったけど、今日は日曜日か。子供連れやカップルなどが目に入り、幸せそうな姿になんだかいたたまれない気持ちになってしまい、俺はそそくさと通りを歩いた。

 眩しい。普通の人たちの姿がすっごい眩しい。

 そんな人たちと自分を勝手に比べて勝手にみじめになって。なにやってんだろう、俺。

 人の波から逃げるように歩き、俺は家電量販店に入った。

 えーと、キッチン家電って何階だろ。意識したことないから全然わかんねえや。


「いらっしゃいませー」


 と、響く店員の声。

 携帯キャリアのスタッフが呼び込みをしている姿が見え、俺はそれを避けてエスカレーターに近づいた。

 たくさんの人たちが、エスカレーターを上っていく。休みの日ってこんなに人が溢れてるのか……当たり前なことなのに忘れてた。ずっと俺、休みの日は寝てばっかりだったからな。普通の生活なんて忘れてた。

 エスカレーターそばにあるフロアマップを確認すると、キッチン家電は四階にあるらしい。

 俺は人の波が切れた瞬間を狙ってエスカレーターに乗り、上へと向かった。

 上の方には玩具やゲームを扱うフロアがあるせいか、子供たちの姿が多く見られた。

 俺は四階でおりて床に書かれたフロアマップを見て、目的の場所へと向かう。

 うわぁ……人、多いなぁ……

 照明器具のコーナーとか接客しているスタッフの姿が見える。

 俺はそそくさと目的の場所に向かい、ホットサンドメーカーを見た。けっこう色々あるんだなぁ……ホットサンドだけ作れるやつと、プレートを変えてワッフルやドーナツが作れるやつとかある。

 どれがいいんだろう……

 ワッフルが作れるってちょっと心惹かれるな。

 俺は顎に手を当てて、うーん、と呻る。

 ワッフル……想真、甘いの好きだしな。でも、あんまり家にいないから作っても食べる機会、ないかな。

 でも作り置きとかできるか……

 俺はしばらく悩んでそして、プレートを変えてホットサンドやワッフルなどを作れるやつを買うことにした。

 一万は超えないけど、けっこうするんだな……

 あとなんだっけ……あれ、ホームベーカリーだっけ。

 商品を抱えて移動し、俺はホームベーカリーを見つける。

 いろいろあるけど、やっぱ高い。一万から三万位まであって、何が違うのかよくわからない。

 うーん……想真が言っていたし、ちょっと興味はあるんだけど、でもさすがに高すぎるよな。

 俺が引っ越してきたのが十月でその時に十万渡されて。そんなの使いきれないから残ったけど、十万渡されて。

 十二月になったからまた十万渡されるだろうな。

 だから買えなくはないんだけど……さすがに高すぎるから想真に相談してからにしよう。

 俺は結局、ワッフルメーカーだけを買い、エレベーター近くのフロアマップを見つめる。

 六階にはゲーム等のコーナーがあるらしい。

 ゲームか……せっかくだから寄ってみようかな。スイッ○とか、P○5とか実物見てみたいし。

 俺はエスカレーターを上り、六階へと向かった。


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