ブラウン管テレビの画面に、再びうさ耳ピエロマスクの姿が映し出され
『ねえ、そろそろ生贄くんはあの椅子に座ってくんない?』
しびれを切らしたかのようにぼやいた。
「そういえば……!」
みんな、はっと我に返る。
今僕らは、一日目の生贄投票を終えたばかりだ。生贄に選ばれたツインテールの男こと『鳥頭 葬』は、あの恥ずかしい椅子に座って夜を明かさなければならない。
『期限は七時までね。できなかったら、全員まとめてぶっ殺すから。よろしく~~』
そう言い残すと、ブラウン管テレビの画面はまた砂嵐に戻った。
「どうします……?」
「どうって、決まってるでしょ」
「とりあえずコイツひん剝いて椅子に座らせんぞ!!」
真っ先に動き出したのは、ロン毛で髭の筆川。そして次に、ホストの屑山、大学生の宇佐霧とつづく。ちなみに、上記のセリフはちょうど逆順だ。
「い゛や゛ぁあああああああ゛あ゛あ゛!!!!!!!」
さっきまでメソメソ泣いていたツインテールの鳥頭は、手足をバタつかせながら絶叫した。男三人に押さえつけられて服を脱がされようとしているのだから、当然である。
「やだあ!!! やだぁ゛!!!! 死゛にたくない゛ぃ゛!!!!」
「おい、暴れんなよ……暴れんなよ」
「暴れると痛いぞ~~」
『あのさぁ……』
再び、ブラウン管テレビの画面が付いた。呆れを顔に貼り付けたうさ耳ピエロマスクは、
『お前らハッテンするのもいいけどさぁ、無理やりはよくないよね』
いきなり説教を始めた。正論だけどデスゲームを開催した側がそれを言うなよ。
『あと、時間すぎてんだよ。さっき七時までって言ったよね? ホントは全員今すぐぶち殺したいんだけどさ、一日目でそれやっちゃうと、オーディエンスがね、納得しないと思うのよ、うん。だからそこのツインテール、さっさと生贄用の椅子に座って、どうぞ』