コンクリート打ちっぱなしの無機質な薄灰色の空間に囲まれて、時刻が分かるのは壁にかけられた丸いアナログ時計だけだ。
今、時計の針は九時前を指している。
「あと一時間か。疲れたな……」
「うん」
サラリーマン猫多の無意識に出た本音であろう言葉に、僕は短く返事した。
そう、僕らはとても疲れていた。無理やりここに連れてこられ、いきなり始まった『バリタチ人狼デスゲーム』。
無慈悲にも、参加を拒否したふくよかで丸刈りの男は殺され、今この広い部屋の中央にはらわたをぶちまけて横たわっている。
そして、さっきの生贄投票で選ばれたツインテールの男――鳥頭は、全裸&M字開脚で両手足を拘束されて密室の小部屋『生贄の間』にいる。
「みなさーん! こっちに個室がありますよー!」
声がして振り返ると、眼鏡をかけた学生の二階堂と大学生の宇佐霧がいた。
「ご丁寧にネームプレートが貼ってあるね」
十個ある個室の扉には、一つ一つ僕らの名前が書かれたネームプレートが貼ってあった。
目の前の扉には『
「これ、剥がせるんすかねぇ」
「え、ちょっとま……」
大学生の宇佐霧は、さっそく爪で僕のネームプレートをはがそうとする。
「爪が痛ぇ……」
だが、断念したようだ。
個室の扉にあるネームプレートは剥がせない。そうメモを取る宇佐霧を尻目に、僕はゆっくりとドアノブを回した。