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一日目:夜(~22:00)②

 部屋の内装は、ビジネスホテルみたいな感じだった。ただ一つ違うのは、窓がないということだ。打ちっぱなしのコンクリートに囲まれた、きれいに掃除された部屋の奥には、清潔なベッドが鎮座していた。その手前に、小さなサイドテーブルがある。



「あ、これかな?」



 うさ耳ピエロマスクが言っていた、ベッド横にあるサイドテーブルのことだ。もしバリタチならこの中に『鍵の束』が、狩人なら『タブレット端末』が入っている。







 宇佐霧は、サイドテーブルの引き出しを容赦なく開けようとした。


「待って待って待って!!」


 ガコン! という音がしただけで、開かなかった。



「ここにダイアルがあります」

 二階堂がサイドテーブルの下の方を覗き込んでいた。


「あ、ほんとだ」

 よくそんなところ気づいたな。


「四桁の数字っすね。なんだろう……誕生日かな?」

「こらこら開けようとするな」







「おい! こっち来いよ!!」

 いきなり部屋のドアが開いて、僕ら三人はびっくりして飛び上がりそうになった。



「ノックしてくださいよ~!」

 二階堂がずれた眼鏡を直しながら、少し苛立ちの混じった声で言う。


「あ゛? 何回もノックしたのに開けなかったのはそっちだろ!」

 ロン毛で髭の男――筆川は、呆れと少しのいら立ちが混じった様子で答えた。





 何回もノックした? 全然、音なんて聞こえなかったぞ。

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