彼は両手に大量にお菓子を持っていた。きっと食料を調達してきて、今から自室に戻るところなのだろう。
「りんちゃん、そのお菓子どこに」
黙ったままお菓子の小袋を押し付けられた。個包装のクッキーのを一つ。
「あ、ありがとう」
りんちゃんは自室に引っ込もうと、ドアノブに手をかけた。
「ちょっと待ってよ!」
僕はりんちゃんの手首を掴んだ。僕らはここに来てから、まだまともに話をしていない。ううん、別れたときからずっと。お互い命がかかっている状況なんだ。だから、僕らはちゃんと話し合わなければいけないんだ……!
「俺に話しかけんじゃねェよ」
しかし、彼から僕に与えられたのは明らかな『拒絶』だった。