俺の人生に予定を立てた覚えは無いのだが、予定外だ、と思うことはちょくちょくあって困ってしまう。予定はないのに、予定外はあるのだ。
その予定外は昨日もそう。昨日はどっぷり疲れた。マルルの我の強さにただただ圧倒されたというか。
そんなわけで今日は大人しく大学に出て、さっさと車で帰路についていた。
「っん? あの四人は……」
愛車を爆速していると、二人の人影が朧げながら見えてきた。
片方は暴力的なたわわを二つ有しているダイナマイトボディ。青色のメッシュを入れてる髪型ポニーテール。
もう片方は髪色白銀でセミロングの女の子。
「六花と五十嵐じゃん。偶然だなぁ!」
「あっ、お兄ちゃん☆」
「んなぁ。あなたは六花ちゃんのお兄さん」
そしてフォックス耳の少女とカラスみたいな羽を持った少女がいた。見られない顔だった。
◇
フォックス耳の獣人娘の名前は狐崎紗奈。カラス羽の女の子は鷲塩サツキというらしい。
「なんだこの耳は!? モフモフしてるし、可愛いじゃあないか! モフらせろ!」
「やめてくださいまし。私は貴方のことが嫌いですわ。引き潰しますよ?」
あっさり拒絶されたので今日は寝込む。
「んなぁハッハ。メイは学校帰りなの」
「へぇ。その重装備で?」
メイはスケボーに乗り、六花は軍用自転車。狐崎は戦車に至っては乗り込んでいる。
鷲塩は空を滑空していた。いやどゆこと?
◇
彼女達によるとあの装備は自衛隊から強奪してきた物質らしい。何を言ってるか分からねえと思うが、俺も分からん。
ついでに彼女らは便利部と名乗った。
「便利部ねぇ。どっかで聞いたことあるかな」
その発言にカラス羽の女の子が反応した。
「本当!?」
「ああ、依頼者に大金吹っ掛ける代わりに必ず仕事を遂行するって地元じゃあ有名だぞ」
「いやあ~それほどでもないわよ~」
嬉しそうだ。割と皮肉込めたつもりだったのだが。
「仕事を遂行する? それってつまり仕事をこなすって意味ですの?」
「ああ、うん。大体意味一緒」
なんだ? どうして同じ意味の言葉を? もしかしてこのケモ耳。進次郎構文の使い手か?
「そうだ。せっかくだし家まで送ってこっか?」
この提案に四人は乗った。ていうか乗り込んだ。
「よーし、振り落とされない様、気をつけろよ。振り落とされたらUターンするぜ!」
「んなぁ。変なところ優しいね」
「大丈夫でしょうか? あなた様の兄さん故に不安なのですけど?」
「大丈夫。お兄ちゃんはすぐに調子に乗るただのアホだから☆」