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第52話 懺悔室

 久方ぶりですね。私はモブ•クリスティーナ。五月親衛隊に所属しつつ、シスターを務めているモブキャラクターです。


 今日も今日とて、迷える子羊達を導いていく所存です。


 おや、今日最初の悩み人が来たようですね……


「五月様!?」


 なんと、五月親衛隊の神輿、五月様が直々にやってきました。


 見ると、かなり憔悴している様子であり、今にも倒れそうだと私の直感が申し付けてきた。


 私は即座に五月様を座らせて、お話を伺ってみることにした。


「ご相談よろしいでしょうか? 私の過ちを」


「懺悔室ですから、なんでも聞きます。あなたはどんな罪を」


「私は一樹くんに関わる全ての女性に嫉妬してしまいます。この感情、どうしたらいいのでしょうか?」


 五月様は食い気味にそう言った。


 これはこれは、要するに坊ちゃんとの関係に悩んでおられるようですね。


「私、一樹くんが居なかったら寂しすぎて泣いているんですけど……」


「そんなに?」


「やっぱり私がおかしいんですかね……みんな強いなぁ」


 これはこれは……思ってたより深刻そうですね。ただ、まだ取り返しはつく。


「その気持ちお察しします。その様な嫉妬が出るということはすなわち、五月様は坊ちゃんを信用しきれてないのかもしれませんね」


「そう、なんですね。義妹さんにも嫉妬しちゃうぐらいですから……」


「妹に嫉妬するのは流石にどうかと……」


 私は五月様に、『少しずつでもいいから坊ちゃんに信頼を委ねてみてはいかがですか』と話した。


 もっとも、生粋のメンヘラにはこの論法は通じない。しかし、五月様は違う。


 五月様は深いところで相手の事を信用出来てないだけなのだ。


 五月様は『信用を理解するために頑張ります』と言って去っていった。


 頑張れ五月様。好きな人に騙される時は騙されなさい。それで例え、恋が散ったとしても人生は長いのだから。



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