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04日ノ本特殊防衛人造超人

 黒竜王第二形態の特性は、超高速。

 背中の光る輪を用いて、空間を跳ね回るように飛び回る。速度は初速から音速を超える。

 光輪は触ると手が弾け飛ぶ、何かのエネルギーが可視化出来るようになったものなのだろう。

 極端に小さい身体で的を絞らせずに、超高速飛行能力と光輪を用いた攻撃を行う。


 これを攻略するのに、俺は六年かかった。


 ヴィオラは高速移動し、わざわざ七番と八番の目の前で停止して軽く小突いて挑発。


 七番と八番はヴィオラを叩き落とそうと頭を振るが、小さくて速いヴィオラには掠りもしないどころか光輪を当てないように気を使っているようにも見える。


 さて、俺の仕事だ。


 俺は震脚で地面を叩き割り、砕いた地面の瓦礫を五番と六番目掛けて思いっきり投げつける。


 89式でもあれば撃つんだが、ないものはない。

 三十年間のダンジョン攻略生活で中遠距離には投擲を用いてきた。


 携行武器もない。

 単純に三十年間の最初期で装備を消耗しきって、基本的に徒手空拳で戦ってきたので素手でのモンスター討伐に慣れてしまったというのもあるし再生能力で近接戦がそこまで苦でなかったのもあるが。


 まだモンスターに有用な装備を持っていない。里里のように重いロングソードや向水がミノタウロスに持たせているような大きい武器が有用なのだが……あれは正式に攻略隊へと入隊したら支給されるのか購入が行えるのか。後で向水に聞いておこう。


 投擲でこちらに注意を向けたところで、跳び上がり六番へ蹴りを入れる。そのままの蹴った勢いで五番を殴って着地する。


 よし、これで注意は引けた。

 殴った感じ発勁は通る、ヴィオラより柔い。


 俺は兄弟の中でも一番弱かった。


 兄弟と言っても血の繋がりもないし名字も違うが、の九十九番と百番と百一番は製造時期が比較的に近く同じ施設で暮らし一緒に訓練を行ったりしていた。


 そもそも日ノ本特殊防衛人造超人は年に一人とか製造時期は決まっておらず、一年でまとめて十人近く製造されることもあれば十年で一人も造らないこともある。


 だから俺は九十九番より前の日ノ本特殊防衛人造超人を知らない……なんか多分九十八番は死んだっぽいとか聞いたこともあるが定かではない。

 そもそも出生に関しても曖昧な俺たちの生死なんて情報の中ではいくらでも操作が効く。


 なので比較対象は九十九番と百番しかいないが、俺はその二人より劣っていた。まあ多少俺の方が若いというか経験値が浅いのもある。


 射撃や操縦技能なら兄貴の百太郎ももたろう、総合力でなら姉貴の九十九つくもが上回っていたが。


 身体能力や徒手格闘のみなら一番だった。


 まあそれでも日ノ本特殊防衛人造超人なので作戦群入り出来る程度には、総合的に何でも出来る。

 単純に二人より身体基礎スペックが筋量や骨密度や神経系が発達するように調整されているため、様々な武術を学び格闘戦を中心に鍛えた。


 だから装備使い切ってからの状況下でこそ、俺は本領を発揮する。


 それでも普通に銃とか欲しいけど。

 そういやあいつらって何してんだ? 百太郎は女体化症候群でくたばったとして、九十九は女だから生きていてもおかしくはないとは思うが。


 そんなことを薄らと考えながら、五番と六番の攻撃を避けながらコツコツと削って行く。


 いつでも殺れる。

 だがここで俺が頭を潰しても、他の頭も潰れないと復元を許してしまう。

 俺が潰すのは他の頭が潰れてから、それまでは引き付け続ける。


 


「チェンジダビンチ、ドロップハンマー!」


 縞島がミスリルゴーレムを鉄球付きクレーン車に変形させ、鉄球を四番の頭上に落として潰す。 


「グェ…………! ジャ――――ッ‼」


 潰され地面に伏せられた四番の頭は、口から毒液を噴射。


「エスメラルダぁッ‼」


 喜怒の号令でスライムが毒液を防御。


 その間に水流ジェット推進で、暗木が接近し極細の圧縮水を発射。


 水は四番の頭を貫いて内部へと、繋がる。


「――――……通った。これで血液も掌握した」


 暗木がそう言ったのと同時に、四番の頭が破裂する。


 四番の頭、破裂。

 


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