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閑話

第103.5話・伝説の……

「それにしても悔しいな」

「あ~、わかる。あの“ちっこかわいい”はウチの恐竜人ライズちゃんにしたかったんだ」


 中空をぼ~っと見上げながら、アンジーが口を開く。


「ランフォリンクスの“ランちゃん”」

「ん?」


 なんか……アンジーがいきなり恐竜人ライズの名前を挙げ始めたんだけど。


「サルコスクスの“スーちゃん”」

「お、おう……」


 アンジーの言いたいことが全くわからない。『ランちゃん』に『スーちゃん』がどうしたんだろ? 


ミクロラプトルあの娘……ミキちゃんがいれば、伝説の“キャンディーズ”が揃ったのに!!」


「アホか!」

「馬鹿だろ!」

「ひっど!」


 今回はウチだけでなく、初代はつしろ新生ねおのツッコミも入った。大体キャンディーズとか懐かし映像で観る以外知らないっての。古すぎるだろ。


 ……いや、まてよ。


「アンジーって本当の本当は昭和生まれって線も?」

「ないって。父親がアイドルオタクだったらしくてさ。CDが部屋に並んでたんだよ」

「アンジーの親父さんってたしか……」

「うん、イギリス人。ネットで日本のアイドル買い漁っていたみたい」


 親父さん相当なマニアじゃん。きっと好きな曲だけ集めてマイアルバム作ったり、ジャケットを拡大コピーしてポスターにしたりしていたんだろな。


「カセットテープに編集とかもしていそうだね。ライブ音源を曲ごとにフェードインフェードアウトさせて繋いで、好きな曲でセットリスト作ったりとか!」

「……?」


 あれ? なにその不思議そうな顔は……


「カセットテープって、なに?」

「え? カセットはカセットやん。鉛筆挿してクルクルしたりしてさ」

「八白さん……?」

「おまえ、なに言ってんだ?」


 マジか、マジで知らないのか。これが世に言うジェネレーションギャップってやつか? 『なに言ってんだ?』という初代新生の反応はともかく、アンジーまで知らないのか。


「MDとかも知らない?」

「それはわかる。父親の部屋にあったし。ああ、でも……」

「でも?」

「触った事ないな~」

「アンジー、やはり君は裏切者や!」



「……なんでそうなんのよ」




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