なんか、ものっすごい久々にライズ化する気がする。このところアンジーや
「無駄にテンション上がるな~」
〔落ち着いて下さい。あなたは普段から無駄すぎるくらい無駄なのですから〕
「んもう……。ひと言多いって」
小型恐竜のこの
女神さん曰く『この種はドリコリンコプスだと思われます』と言っていた。まったく聞いた事すらない恐竜だけどとりあえず……
「はいはい、口開けて~」
――ミルクチョコin!
――煙deポンッ!!
「なんか、人間なったったー!」
変身した自分の手足を見ながら、楽しそうに体を動かしている“リコりん”。降り注ぐ太陽と青い海、打ち寄せる波にはしゃぐ姿がめちゃ映える。
ジュラたまの色はマリンブルーだから、ウチよりもアンジーの方が相性がよい感じだ。……まあ、やらんけど。
「普通に海に遊びに来ているJKにしか見えないな。なんかほのぼのするわ~」
この娘は“ほわほわ”っとした印象で、ルカよりも少し幼い感じだ。短く切りそろえているゴールドの髪は、海水を浴びてボサボサと飛び跳ねてしまっている。
それでも本人は全く気にせず、キラキラした笑顔を振りまいていた。
健康的な素肌と手が隠れる長さの白ジャケット、そこにローライズデニムを合わせて腰にはホルスター……って、ホルスター!?
……この娘、銃が武器なの?
「なんか、怖い物持ってるね……」
「あ、これってば水鉄砲ですよぉ~」
「マジ?」
「マジでっすぅ」
そう言いながらリコりんは右脚のホルスターから銃を抜くと同時に、
それはまるで……そう、西部劇のガンマンが銃を抜くと同時に弾を撃つファスト・ドロウってやつだった。
——バチバチバチッ
「
「意外と痛いのですよ、これ」
「やめるデスよぉ~」
確かに水鉄砲だけど、その勢いはとんでもなくすさまじい。
「高圧洗浄機みたいやな……」
スーの痛がる様子からもその威力のほどがうかがえる。
「暴徒鎮圧とかに威力発揮しそうだね。それに、殺傷能力がないのがウチ好みだな。なんかちょっと安心」
「ふっふっふっ、亜紀チャンそれわ甘いというものですよぉ~」
人差し指を立てて“チッチッチッ”と左右に振ると、リコりんは腰のうしろから理科の授業で使う試験管のようなものを取りだした。
中には、緑や紫の色のついた液体が見える。
「まずわぁ~。紫!」
「お、なんかおもしろそうじゃん」
これはカートリッジ式の銃ってことなのか。
リコりんは紫の試験管を銃に装填して速射、直後クルクルと回しながら、ホルスターにストッと収めた。
「なんかかっこええな~」
「えへへへ~」
そして笑顔も眩しい。うん、いい娘だな。あとでアンジーに自慢してやろう。
リコりんは構えることもなく無造作に撃っているようにも見えたけど、その弾道は正確に“スーを捉えていた”。
――煙を吐きながら飛んでいく紫の
「このスー様を狙うとは、お目が高いでいやがりますな!」
鎌をバットのごとく構え、打ち返そうとするスー。左足を上げ右足だけでバランスをとっていた。
「あれは伝説の一本足打法じゃないか!」
そのスイングは鋭く、玉を確実にとらえてジャストミート!
しかし……当たった瞬間玉は破裂し、モワモワっとした紫の煙がスーを包みこんでいった。
「紫は毒の玉なんですよぉ~」
「こらこら、なんてやばいものを飛ばすのよ~」
「うう、なんか体力がバキバキ減っていきやがりますデス……」
……この娘、キラキラの笑顔で毒を撃っていたのかよ。
ってもしかしてこれ、スーへの仕返しか?
それはそれとしてスリップダメージはヤバイ。目に見えてヘロヘロになっていくじゃないか。
「セイレーン、ヒールお願い」
「次は黄色を食らわせますぅ~!」
続けざまに玉を撃ち込むリコりん。
「リコりん、ちょっと加減しなさいって……」
「あ、そこにいると当たりますよぉ~」
「……え?」
黄色の玉は誰かを狙ったのではなく、砂浜に撃ち込まれた。これまた着弾と同時に破裂し、ヒールに近づいたセイレーンはおろか、ウチやルカたちまで黄色の範囲に巻き込まれてしまった。
「あれ、ピリピリするこの感じは……」
「黄色は麻痺玉なんですよぉ~」
「だか……らなんで、そ・ういう危……険なものを……」
「ふっふっふっ。あれは痛かったですねぇ。受けた恩は返さないとですねぇ~」
いやそれ……恩じゃなくて恨みと言うものでは?
「スーちゃん…がヤバ、いって。毒って麻痺って……口からエク、トプラズ…ムでて、んじゃん」
「では、これが最後です……とどめの赤ですぅ!」
そう言うとリコりんは、三つ目の“赤”のカートリッジを装填すると頭上に向けて撃ちだした。
え、ちょ、マジか。なにこの娘、全滅させようっての? ウチの
そこんとこどうなんですか、女神さん? 女神……だめだ、声がでない。
「ふふふ……赤って……血の色ですねぇ」