「姐さんマジっスか⁉」
「それは面白そうですな。ここには強き者が多い。まだ見ぬ戦闘術を知るのは願ってもない事でござる。」
とりあえずテンションがブチ上がったのはドライアドとルカ、そして意外にも
「あとさ、ティノ呼んできて参加させてもいい? やっと変なクセが抜けたんだ」
「
「怒らねぇよ。オレのミスだってわかってんだ。バルログと闘った時に思い知らされたからな……」
初代新生が突進ばかりさせていたからついたという変なクセ。
彼女としては、黒歴史と言うか触られたくない部分だろうと思っていたら、意外と前向きにとらえているようだった。
対バルログ戦の時、ギリギリの戦いで死にかけながらも“適材適所”を実践してみせた初代新生。それが転機となったのだと思う。
ウチが社畜時代に実費でムリヤリに参加させられた啓蒙セミナーで、『自分のミスを認めて乗り越えた人は強くなる』って講師が言っていたけど……
「あれって結構当たってたんだな」
アンジーがライズマスターになってからは、適正を調べて戦い方を教えてを繰り返し、やっとそれぞれの戦い方、立ち位置を把握できるようになってきた
ティノって、確かウチに突進してきたあの
「結構細身だった記憶があるけどアタッカーだったの?」
「ん~、ティノは短剣二刀流がメインで、ゲーム的に言えばトリッキーなシーフってとこかな? 罠を仕掛けるのが得意だよ」
……これまた意外なスキル持ち。どんな罠なのかも気になるけど、二刀流の娘ってのも初めてだな。
「でも、ガチのアタッカーじゃないのなら
「そうでもないよ。剣を使う相手の動きを学ぶのならこれ以上ない相手だし。剣技だけなら私よりもずっと上だから」
「マジ? 『ずっと上』って……アンジーどうやって勝ったの?」
「“剣技だけなら”って言ったでしょ。魔法混ぜれば秒殺」
と、アゴチョキでドヤっていやがりますが……怖いわ。
アンジーが全開だったら、一人で魔王軍圧倒して終了してた話だよな。これならむしろ“アンジーの戦い方を学んだ方がよい気がする。
……と思ったけど、魔法をからめて戦えるのって
プチに海の家までのお使いを頼んで、みんなの到着を待つことになった。もちろん道中の安全確保のために、あらかじめガイアにサーチをかけてもらってある。
“ついでに”という事で気を利かしてくれたのだろう、彼女は広域サーチでティラノの状況を“視て”くれた。
ティラノとアクロ、メデューサたちが無事火山帯にいるのは確認できた。しかしまずいことに、近くに
「そんなところまで追って来ているのかよ」
簡単に負けるような事はないだろうけど、今のティラノは武器がないから心配だ……。
「
〔ですが、もしメデューサが裏切って二対四になったらどうします?〕
「いやいや、さすがにそれは……」
〔絶対にないとは言い切れませんよ? 事実その場にいるのは、
突然女神さんが怖い事を言いだした。メデューサを信用していない訳じゃないけど、こうやって改めて問われると不安になってくる。
「……どうしよう?」
「亜紀ぴ、安心してOK牧場! お姉ちゃんは融通効かないけど、一度言ったことは曲げないよ」
「
わざわざ“昭和死語”を絡めて不安を取り除いてくれようとしてくれたラミア。
人質になる宣言には驚いたけど、それもひっくるめて全部、みんなの事を考えていてくれているんだよな。
魔王軍って一括りにして悪役にしているけど、個々は凄く気のいいヤツばかりだ。“
――そしてここで、更にアンジーから驚きの一言が飛びだした。
「ああ、そうだ。これは神さんがポロっと言ったことからの推測なんだけど……」
……君は神様の事情まで察しちゃったのか。
「私たちにそれぞれついている神さんって」
「うん」
「みんな“仕事仲間”らしいよ」
〔……そ、そんな事はな、な、ないんだからね!〕
突然キョドる女神さん。
「動揺してるのが丸わかりやで」
「仕事ってなんだよそれ。人材派遣業かよ」
初代新生の反応はもっともだった。転生や転移を仕事でやってますとか『なんだよそれ?』ってなって当然だろう。
……でも、今までも色々と思い当たる節はあった。そこからなんとなく考えていたんだけど、ウチの予想は多分間違ってなさそうだ。
「やっぱり女神さんたちってさ……」
〔な、なんですか、八白亜紀〕
「……未来人やろ」