長机を挟み対面で座るシゲミと、オールバック生徒会長ことフミヤ。シゲミは担任・
フミヤ「あの爆弾魔・シゲミが教師一人に手を焼いて、僕に泣きついてくるとはなぁ」
シゲミ「不本意だけど、私の平穏な学生生活と頭皮を守るためにはフミヤくんにお願いするしかないの。どうか、皮崎先生を注意してください」
フミヤ「さて、どうしようかなぁ。キミのような暴れ馬の抑止力になるなら、皮崎先生を野放しにしておくメリットは大きい」
シゲミ「一生のお願い!じゃないと私、皮崎先生を爆殺せざるを得なくなる」
フミヤ「そんなことをされちゃ、生徒会の存在意義に関わる。生徒会は校内の問題を暴力以外の方法で解決するための組織でもあるからなぁ」
パイプ椅子から立ち上がるフミヤ。
フミヤ「キミのような危険人物でも、生徒会が保護するべき生徒の一人だ。その相談、引き受けてやろう」
シゲミ「本当?」
フミヤ「ただし条件がある。皮崎先生の奇行をやめさせられたら、今度キミが生徒から怪事件の相談を受けた際、自分で対処せず生徒会に回してもらう」
シゲミ「わかった。ありがとう。フミヤくんって性格がねじ曲がってるけど悪い人じゃないのね」
フミヤ「ふん。何とでも思うが良いさ。ちょうど暇を持て余していたところだから、早速皮崎先生を探しに行く。キミも着いてこい。目の前で僕の話術と交渉力を見れば、僕への評価も180度変わることだろう」
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校舎内を歩き回り、皮崎を探すシゲミとフミヤ。3階の廊下を歩く皮崎の後ろ姿を発見した。
フミヤ「キミは絶対に手を出すなよ。僕のしゃべりだけで片付けてやる」
皮崎の背後からフミヤが「皮崎先生!少しお時間良いですか?」と呼び止める。振り返る皮崎。
皮崎「あら、シゲミさんと……ごめんなさい、何て名前でしたっけ?私、市目鯖に来たばかりで2年C組の子しか覚えてなくて……」
フミヤ「2年B組、出席番号17番、生徒会長のフミヤです」
皮崎「生徒会長さんでしたか。私に何かご用ですか?」
フミヤ「こちらにいるシゲミさんが、先生に頭皮を舐められそうになったと僕に泣きついてきましてね。にわかには信じられませんが、もし本当にやっているのだとしたら、やめていただきたい」
皮崎「ふふふ、シゲミさんが言っていることは本当ですよ。私、キレイな頭皮に目がないんです。見てるとつい舐めたくなってしまって。昔からどうやってもこの衝動が抑えられないんですよね。ふふふふふ」
左手で口元を隠し、小さく笑う皮崎。その左手の薬指に金色の指輪がはめられていることにシゲミが気づく。
シゲミ「あの奇人、結婚している!?」
動揺するシゲミを横目にフミヤが続ける。
フミヤ「昨今は女性の教師が同性の生徒に性的なイタズラをするという事案も増えているようです。皮崎先生の行為もそれらと同じ。生徒の学生生活を
皮崎「そこまで言われてしまうとは。私が教師になったばかりの頃と比べてコンプライアンスが厳しくなりましたね。ただ一舐めさせてもらえればそれで満足なの……に……」
皮崎は言葉を止め、カッと両目を大きく開いた。
皮崎「フミヤくん。アナタかなり頭皮に気を遣っているでしょう?」
フミヤ「……ええ、まぁ、週に2回はヘッドスパへ行って洗髪とマッサージをしてもらっています。毎日たくさん整髪料を使ってオールバックにするので、髪と頭皮にダメージが残らないようプロにケアをお願いしているのです」
シゲミ「そこまでしてなぜオールバックにこだわっているのだ?」
皮崎「産毛がびっしり生えそろっている生え際。高校生といえどM字部分の毛量も非常に多い。これは頭皮が健康である証。オールバックの隙間からわずかに見える頭皮の色、血行、毛穴の状態、髪の太さ……全てがパーフェクト!フミヤくん、アナタの頭皮はシゲミさんを超える清潔さよ!私がこれまで見た全ての頭皮の中でナンバーワンの美しさ!キングオブ頭皮!」
フミヤ「な、何を言っているのですか?」
皮崎は大きく口を開く。口の中から触手のような舌が現れた。舌は皮崎のくるぶしに届きそうなほど長く伸びる。
皮崎「言われたとおり、シゲミさんの頭皮を舐めるのは諦めるわ。代わりにフミヤくんの頭皮、舐めさせてもらえるかしら?」
フミヤ「ひぃっ!ダメに決まってるでしょう!シゲミ!この人を何とかしろ!」
シゲミ「でもフミヤくん、さっき絶対に手を出すなって言ったじゃない」
皮崎「ほんの一舐めでいいの。そのオールバックの隙間に私の舌を挿入させてぇ!」
フミヤに向かって走り出す皮崎。フミヤは背を向けて、全速力で逃げ出した。
シゲミ「皮崎先生のターゲットがフミヤくんに切り替わったようね……これで私の頭皮は守られたわ」
<頭皮舐め-完->