額から流れる血を拭いながら身を起こすポコポコ。うつ伏せで倒れ、虫の息のキョウイチに近づき、右足で後頭部を踏みつける。
ポコポコ「オレが血を流すなんて……何千年ぶりやろ?」
足に体重をかけるポコポコ。
ポコポコ「最初は遊びのつもりやったけど、そうもいかんようやな。空手家の少年よ。お前はここで殺しとかんと、オレの命が危ない」
ポコポコは右膝を曲げ、キョウイチの頭を踏み潰そうとする。足が振り下ろされる直前、皮崎の舌が猛スピードでポコポコに接近した。左足一本でバック宙をし、舌をかわすポコポコ。逃げるポコポコを舌が追跡するが、限界まで伸びきり、あと数十cm届かない。
ポコポコ「汚い攻撃は堪忍してくれや。お前も別の意味で危ないわ」
皮崎は瓦礫の山の上で片膝をついたまま、舌先をポコポコからキョウイチのほうへ向けた。そして気絶するキョウイチの足首に巻き付けて引きずり、ポコポコから離そうとする。
ポコポコ「追い込まれても助け合う精神。見事やな。オレも見習わせてもらうで。これぞ友情。理想の友達や」
皮崎「__残念ですが、まだ私たちは追い込まれていません」
ポコポコの右太ももにライフル弾が当たる。
ポコポコ「
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鷹見沢「驚いた。三八式歩兵銃は口径が小さい分威力が低い。それでも撃たれて傷ずらつかなかったポコポコが出血するなんて……やるなぁ、キョウイチくん」
シゲミ「血が出るなら殺せるはずよ」
鷹見沢「けど邪気を込めた弾丸は残り1発……慎重に狙わないとな」
鷹見沢の言葉の直後、シゲミの隣にいたキアヌが立ち上がり「フシャァァ」と低く
樹騎矢「知らせなきゃ……ポコポコ様に知らせなきゃ!」
背を向け四つ足で走り出す樹騎矢。キアヌはその後を追いかける。
シゲミ「キアヌ!」
鷹見沢「シゲミさん、あの犬を追ってくれ。ポコポコの仲間だとしたら、俺の位置が伝わってしまう」
シゲミ「でも」
鷹見沢「ポコポコまでの距離や風向きはもうつかめた。俺一人でもなんとかなるよ」
シゲミは無言でうなずくとスクールバッグを左肩にかけ、廃屋の屋根から飛び降りてキアヌの後を追った。
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ポコポコは立ったまま体をバレリーナのように回転させ、足下から大量の邪気を放出する。邪気はポコポコの体の動きに合わせて渦を巻き、巨大な竜巻を形成した。
竜巻に飲まれる皮崎とキョウイチ。上空へ大きく吹き飛ばされるが、皮崎の舌はキョウイチの足首をつかんだまま。舌を口の中へ勢い良く引き戻し、皮崎はキョウイチの体を両腕でキャッチする。
ポコポコ「必殺・邪気トルネード!この技なら360度邪気の暴風で囲める。どこから弾が飛んできても関係あらへんわ」
最初に戦っていた地点から100m以上離れた家屋の屋根の上に着地した皮崎。しかし足を滑らせて落下し、地面に背中と後頭部を強く打ちつけて気を失う。
邪気の暴風の外、走る樹騎矢が足を止め、竜巻の中心にいるポコポコに向かって大声で叫ぶ。
樹騎矢「ポコポコ様ぁ!北東約300mの地点から狙撃手がぶぼはっ!」
喋る樹騎矢の右頬にキアヌが思い切り頭突きをした。突き飛ばされて地面を滑る樹騎矢。そしてキアヌに馬乗りにされ、顔面を何度もひっかかれる。
邪気の竜巻が止んだ。ポコポコは樹騎矢の指示に従い、北東の方角を向く。
ポコポコ「サンキュー樹騎矢。後で助けたるから、ちょっと待っとけよ」
大きく縦に口を開けるポコポコ。口の前に邪気が集まり、ボーリングの球程度の大きさの黒い球体を作り出す。
ポコポコ「必殺・邪気レーザー……発射ぁぁぁっ!」
ドス黒い光線が瓦礫の山を蹴散らしながら、真っ直ぐ北東へと突き進む。光線の先には歩兵銃を構える鷹見沢。うつ伏せの状態からしゃがみ込み、屋根からジャンプした。光線は廃屋を飲み込み、まるごと消し去る。あと数秒遅れていたら、鷹見沢も消滅していた。
鷹見沢「あんな攻撃、無法にもほどがあるだろ……場所を変えないとヤバイ」
ポコポコは再び口の前に邪気の球体を作り出す。
ポコポコ「念には念を入れてもう1発いきまっせぇ!出血大サービスや!お釣りはとっときぃ!」
2発目の邪気レーザーを放とうとするポコポコ。しかし邪気の球体は光線になることなく、その場で霧散した。
ポコポコ「しまった。邪気を使い過ぎ……た……か……」
邪気が切れて体に力が入らなくなり、左膝を地面につくポコポコ。その瞬間、ポコポコの右肩に