静寂が耳を塞ぐような、そんな夜だった。一人の少女が神様なんていなかったと、目からこぼした涙をぬぐう。ただその場には人はおらず、深夜二時の耳鳴りしか聞こえない空間だけが少女とともにあった。
少女の目からは、次から次へと涙があふれていく。
少女には抱えきれない辛いことが次々と起こり、その度、潰されそうな暴言と暴力だけが彼女の世界にしみこんでいく。
夜が海になって星が生き物のように瞬く。そんな澄んだ夜の公園で少女は失望に満ちた目で、星を眺めていた。
何もない彼女の人生で、星だけがそばにあった。
何億光年遠い星々の光だけが、何よりも身近でそれはきっと互いがそうだった。ここは宇宙人のいる星なんだと、彼女は何度か思ったことがある。
何もかもが不釣り合いで、親しみを感じるものなどは一つもない。この世界から拒絶される感覚だけがそばにひっそりと声を殺し、佇んでいる。
今から少女の一生を話そうか。
死にゆく星の、一筋の軌跡を話そうか。彼女の幸せを思い返して、深く眠れるように。彼女の愛したすべてを話そう。
いまだそこにいる親愛なる彼女へ。