昨日のデート。
初めは嫌々だったが、途中から桜の人柄にやられてなんだかんだでかなり楽しんでしまった。
まぁ、別に俺は女子が嫌いなわけでは無い。
むしろ、好きだ。
けど、それよりも俺は女の子同士でイチャイチャしてるのを見たい。
ただそれだけだ。
ってことで、今日からレクリエーションが始まりちょっとずつ授業が始まっていくわけなんだが・・・。
「いや、あのさ、なんで当たり前のように俺の部屋にいる??」
司の視線の先には桃色縦ロールをふわりと揺らす卯月桜の姿があった。
「あっ、おはようございます!司様!朝ご飯一緒に食べたいなって思って来てしまいましたわ!」
桜は当たり前のように部屋に備え付けられているソファーに座りくつろいでいた。
「まだ7時なのにもうばっちり支度終わってんじゃん!てか一体何時からそこにいたんだよ!怖すぎだろ!」
桜は髪型も服装しっかりと制服を着てもばっちりですでに学校に行く支度が終わっていた。
聖ジャンヌ白百合学園には制服が有る。
女子の制服は上下で分かれており、上は白色をメインにしたセーラー服で襟には若芽色のラインが入っている。
下はスカートで緑色とクリーム色のチェック柄で非常に明るい印象を受ける制服で有る。
ただ、聖ジャンヌ白百合学園は絶対に制服で来なければならないというわけでは無く、普通に袴姿で通う学生もいる。
恐らく、桜は初登校ということもあり制服を着てきたのだろう。
「ご安心ください!今来たばかりですから!それよりもどうですか!ワタクシの制服姿は?似合いますか?」
桜は司に制服姿を見せる為にくるりと一回転して、カーテシーのようなスカートの裾をもつ仕草をする。
司には眩しい女子高生の制服姿。
高校生活で可能であれば女子と何かしらの交流を持ちたいと思っていたが、まさかここまでグイグイと押しの強い女子に言い寄られることになるとは思っていなかった。
ただ聞かれたからには何か答えないと具合が悪い。
「似合ってると思うけど、なんか桜の制服姿見てたらお腹空くんだよな」
ウンウンと頭を捻って考えても何故だか理由はわからない。
「きっと、朝だからお腹空いてるんですわ!ささっ、早く支度して食堂に行きましょ!」
「あぁ、そうだな。とりあえず用意するか」
桜に促されて司は学園に行く用意を始める。
とりあえず、備え付けの洗面台で歯を磨き、顔を洗う。
「えーと、服はどこ置いたっけか」
「脱ぎ捨ててあったので、ワタクシが皺を伸ばして、こちらに掛けておきました!」
「あれ?そうだっけか。助かる。ん?いや、まぁいいか」
桜の言葉に違和感を覚えたが、気にしないことにする。
「いえ、これくらい当たり前ですから!」
桜は司から視線を背けようともせず。
熱い視線を送り続ける。
「・・・。」
司が桜と目を合わせても、桜はニコニコ笑顔であざとく首を傾げるだけで絶対に視線を逸らそうとしない。
「いや、あのさ。そんな見られてたら着替えらんないから」
アイコンタクトで通じるかと思ったが無理そうだったので、仕方なく声をかける。
「ワタクシのことはお気になさらず!今後毎日見る光景ですから!」
桜は何があっても視線を逸らそうとしない。
「桜がよくても俺が困るんだよ!しかも何サラッと毎日見ようとしてんだ!今後は絶対に部屋に入れないからな!てか本当にどうやって入ったんだよ!」
「はぁ。司様ったら恥ずかしがり屋さんですね。ワタクシ将来の妻ですのよ?何を恥じらうことがありますか!」
「いいから。はよ、出てけぇぇぇ!」
扉を開けて、能力を使って桜を部屋の外に出す。
「あぁ!そんなご無体なー!」
桜を部屋から出した後すぐに部屋に鍵をかける。
「はぁ。昨日の入学式の時とデートの時でちょっと見直したのに、変なスイッチ入ったらなんであんなアホになるんだよ・・・」
服を着替える。
司が着替え終わったタイミングぴったりにガチャリと鍵が開く。
「着替え終わりましたね。さぁ早く食堂にいきましょう!」
「なんでぇ?なんで今着替え終わったって分かるの?なんか良くないもの俺の部屋に仕掛けてたりする?」
朝から完全に桜のペースに飲まれてしまい、もう桜の独壇場であった。
結局桜に言われるがまま食堂に移動する。
食堂に入ると、おばちゃんと目が合いおばちゃんはそそくさとマヨオムライスの用意を始める。
「んじゃ、俺は先に受け取り口行ってるから」
「わかりました!」
桜の返事を聞いて、司は先に受け取り口の方に移動する。
数分後、司のマヨオムライスが出てきたが桜は一向にこちらに来る気配がない。
マヨオムライスを持って注文口の方にいる桜の方まで移動し、声をかける。
「おい、なんかあったか」
司の声で桜が顔をあげる。
「司様・・・。どうしましょう・・・」
神妙な面持ちで桜は答える。
さきほどまでの桜とは明らかに雰囲気が違う。
司はごくりと唾を飲み込む。
「全部美味しそうで何を選んだらいいのか決めかねているのです」
神妙な面持ちの割に至って普通の理由だった。
「えぇい!これから毎日食べれるんだから上から毎日頼んでいけばいいじゃねぇか!時間ねぇんだから早く決めろ!」
「まぁ!その手がありましたわ!なら今日は司様と同じオムライスですわね!小母様、オムライスをお願いします!」
顔の近くで手を合わせてその発想はなかったと嬉しそうに答える。
「卯月家、こんな娘で本当に大丈夫かよ・・・」
司はマヨオムライスを持っていつもの席に座る。
「はぁ、桜が来るまで待っててやるか」