結局
次の日、いつものようにちるるの配信をやったそうだ。
いつもよりも反応が良かったらしい。
しかし、いつも来る筈の楽太郎というユーザーが来なかったことが気がかりだったらしい。
それは主人公だ。お互いの存在に気が付くのはゲーム後半のイベントが起こってからだが、恐らくもう意味のないフラグだろう。
配信に現われなかったのは、ホテルでしっぽりやっていたからだろうな。
恵美からの報告では、ホテルにしけ込んで一晩中絞り尽くしたそうな。
いわく、「まあ普通だったけど回数はこなせるから及第点」らしい。果たしてそれは「こなした」のか、「させられた」のか……。赤い玉とか出てないといいけど。
あと大きさはB判定、とか余計な情報まで付属させてきやがった(
このまま向こうに夢中になってくれ主人公よ。俺達と関係ないところで幸せになってくれや。
さて、あれから1週間経って、再びやってきた週末。
いよいよ
「お待たせしました先輩」
「お、可愛い格好じゃないか
パステルカラーのブラウスにプリーツの白いミニスカート。
桜色の髪によく映える明るい色合いは、彼女が自分というものの特製をよく分かっている証拠だ。
天然なのか計算なのか。ゲームの中の彼女は自分の魅力というものをよく分かっている。
べつにそのことを鼻にかけたりする訳ではなく、能力が高いために理想が高いという言い方が正しい。
つまり彼女がこれだけ気合いの入った格好をするということは、俺が男としてそれに値すると認めていることになる。
「ありがとうございます先輩、嬉しいです」
「今日は俺自身を気に入ってもらう為に沢山プレゼンさせてもらうからな」
「あはは。なんだか先輩らしくないみたい」
「はは、俺らしくか。確かにな。よし
「楽しみにしてますね♪」
感情が読み取れなくてもわかるほどに喜んでいる。
やっぱり
真面目な分だけ悪い男にハマりやすい。
まさしくエロ同人にありがちな奴だ。
実際俺は善良な人間などではなく、エロスキルによって純粋な人間関係から剥離させて我が物とするゲス野郎だ。
ゲスはゲスらしく己の持つ全てを駆使して彼女達を幸せにしたいと思っている訳だ。
「さあ行こう
俺は
一瞬の戸惑いを見せたものの、すぐに身を預けるように腰に手を回してきた。
言っておくがまだ催淫のスキルは発動していない。
警戒心解除くらいだ。しかし既に俺を危ない男とは認識していないようで、使わなくても問題なさそうですらある。
今日で
「ぁ、先輩、ちょっとこっちに」
さあいざ出発と行ったところで
「どうしたんだ?」
「しっ……。ちょっと顔を合わせたくない人がいて」
「それは一体……どれ」
「ああ、なるほどね」
メインヒロインである
言わずもがな、主人公である。
『~~♪』
「なんだか機嫌が良さそうだぞ」
「なんでしょう……」
奴は鼻歌なんぞ歌いながらスキップでも始めそうな勢いで歩き出していた。
どうやら今日も清楚ビッチとデートにこぎ着けたようだ。(若干フラついているのは搾られた影響か?)
奴には定期的に関係を報告するように頼んである。
俺はアイツにあんまり関わりたくないので、報告はメールにしてもらっているが、今日辺り対面で経過を聞いた方がいいだろう。
「ありゃぁ、女とデートだな。見てみろ
「やだ、先輩ったら。でも、ラクトったら昨日の今日で彼女でもできたのかしら? なんだか複雑です」
「なんだ? もしかしてヤキモチか?」
「そ、そんなんじゃありません。幼馴染みだし、彼女ができるのは喜ばしいけど、変な女に引っ掛かってないか、ちょっと心配で」
「弟を心配する姉みたいだな」
「言い得て妙って奴ですね。でも、私が彼氏作るより早く彼女作るなんて、なんか生意気……」
女心って奴は複雑に過ぎるな。主人公に男としての興味はなくても、先に彼女ができるのはモヤるってか?
「まだ彼女だと決まった訳じゃない。口説いてる最中かもしれないぞ」
まあ実際遊ばれてるだけだし……。
「先輩……」
「まあ、とにかくデートを楽しもう。思い切り楽しませてやるからよ」
主人公は
そうだ、そのうち俺と
ショックを受けている所を大人の女に優しくされれば童貞主人公はイチコロだろう。いや、もう童貞じゃなくなったのか。
ともかく奴には注意しておくか。