「先輩すきです♡ 私、やっとラクトから解放されて自由になれました♡ もう先輩のこと遠慮なく好きになっていいんですよね?」
「そうだ
妖精さんの計らいによってラブホテルへと瞬間移動した俺達。
「嬉しいです先輩。私、本当に人を好きになったの初めてなんです。幼い頃は、ラクトと結婚するのかな、なんて思ってましたけど」
「そういう未来もあったかもな。あいつがもう少し自分を省みる奴だったら」
「そうかも、しれません」
「
「うーん、どうでしょうか。正直、思春期になってからもラクトを男として意識したことないんです」
それはそうだろう。ゲーム内でもそう語られている。
今の時点では……。
「やっぱり手の掛かる弟か」
「だと思います。だって、先輩にこんなにトキめいてるんですもん。これが恋だとしたら、やっぱりラクトや他の男の子に感じた事は一度もないです」
「そうか。それなら俺はお前の気持ちに応えてやらないとな」
「嬉しいです先輩♡ 私、皆に早く追いつけるように、エッチのお勉強いっぱいしますね。今日から私に仕込んでください。先輩が満足できるようにいっぱい頑張ります」
「良い心がけだ。それなら、さっそくご奉仕の仕方を勉強しようか」
「はい♡ やってみせますっ」
優奈の瞳をじっくりと見つめると、そこには既にハートマークがくっきりと浮かび上がっていた。
こうして俺達のやり直し初体験は最高の思い出となった。
◇◇◇
「素敵な思い出ができました」
なんと妖精さんの計らいで処女膜が再生しているという豪華特典まで付いていたのである。
公開チョメチョメの記憶は消えていたので、彼女の中では正真正銘のロストヴァージンをすることになったのだ。
素敵な思い出を共有できたこの瞬間を、最高と言わずしてなんとするか。
とうとうメインヒロインを攻略し終わり、俺は『花咲く季節と桜色の乙女』におけるパッケージヒロイン全員と深い関係になることに成功した。
「最高だな優奈。…流石に一息つくかぁ…ああ、幸せだぁ」
二人でホテルの風呂に入って温め合った。
広くて良い匂いのするホテルの風呂は、二人で入っても十分に脚が伸ばせるほどだ。
キスをして、頬を寄せ合って、互いの気持ちを確かめ合って、またキスをして。
甘い時間はあっという間に過ぎていき、いつまでもここに居たい気持ちを引きずりながら夜は更けていく。
流石に親御さんのいる家庭の
妖精さんの用意してくれたホテルは、扉を開けると元の場所に戻っていた。
◇◇◇
「すっかり遅くなっちゃいました♪」
時間は夜の9時。学園生が外をウロつくには少々厳しい時間だ。
「親は平気か?」
「はい、さっき電話していいわけしておきました。小雪がアリバイ作り手伝ってくれてるので、平気です」
「そうか。それはよかった。
「はい。でも、先輩はあと一年で卒業なんですよね」
「まあそればかりはな。留年するわけにもいかんし」
「ふふ、先輩が同級生になったら、学園の中でいつでもエッチできますね」
「あん? それは今でもできるだろ。っていうか、呼び出したら直ぐに来い」
「はい♡ えへへ、やっぱりそういうの、先輩らしくて素敵です♡」
言ってることはただのクズだが、好きな人に言われると嬉しい。
人間なんてそんなものだ。
「先輩に学園で愛してもらえるの、楽しみにしてますね♡」
メインヒロインである
興奮でまたまたウェイクアップしてしまった。
「それじゃあ先輩。本当にありがとうございました。恋人になれたことも、ラクトと決別できたことも全部含めて、本当に」
「ああ。あいつもあいつで人間的に成長すれば、いずれ過ちに気が付くだろうぜ」
「はい。もうあいつのことはいいんです。今日から、私はあいつの幼馴染みじゃなくて、先輩の彼女ですから」
「そうだな。もうアイツの事を話題に出すのはやめるか」
「そうですね。これからよろしくお願いします。私、みんなに負けないように頑張りますからっ」
「おう、頑張れよ。期待してるぞ
「はい♡」
攻略ヒロインコンプリート。
まさしく感無量だ。あとは隠しヒロインやサブヒロインだけだが、今は考えまい。
最後に
とろける笑顔で舌を差し出す
ちなみに主人公の処遇をどうするかを絵美と打ち合わせしたのだが、あいつが彼のことを大変気に入ってしまい、しばらく付き合う事にしたとのことだ。
あの女の観点での「付き合う」というのは、男を玩具にして遊ぶという意味なので、主人公の命運はどうなることやら。
案外まともな恋愛に目覚めて幸せになってくれるかもな。
なんてったってギャルゲーの主人公だし、変にモテるスキルとかあるだろきっと(適当)。
もう関わることはないであろう主人公に僅かに思いを馳せたが、すぐにどうでもよくなった。