隠しヒロイン攻略の為の布石を打たねばならない。
そのためにはサブヒロイン達に接触をしておく必要がある。
必要なサブヒロイン達は全部で3人。
そのうち1人は学園内にいるので、なんとかして関係を持たないと。
「亮二君、今日ですね、
「へぇ。
「えへへ~。
「お世辞じゃねぇんだがな」
ゴールデンウィークが明け、学園が始まって数日。
俺は連日のように
「きょ、今日は私の当番ですので、亮二さんの好物集めてみました」
「お、
「は、はい♡ お口に合えば良いんですが」
「亮君、明日は私が担当するからね♪」
「おう、楽しみにしてるぞ」
「くぅ、
「
「むきーっ! そんなハッキリ言わなくてもいいじゃないですか
攻略ヒロインが一同に介して俺を取り囲む。
中庭の木陰スペースにシートを持参して取り囲む空間は、少し前まで主人公がいた場所に俺が座っている。
「ところで転校生ってどんな子なんだ?」
「およよ? 亮二君転校生の美少女が気になっちゃう感じですか?」
「りょ、亮二さん、はい、あーん」
「あーん」
本来なら
膝の上に乗せた
俺の予想が当たっていれば……。
「なんだか結構ぼんやりしてる子でして。髪色は綺麗だし、めちゃくちゃ美少女なんですけど、つかみ所がないっていうか、声がめちゃくちゃ小っちゃくて不思議ちゃんなんですよね。
「その子、もしかして
「え? どうして亮二君が知ってるんですか?」
「先輩
ビンゴだ。その美少女こそ先日芸能界を失踪したトップアイドルの裏の姿。
特殊な事情によって髪の色がピンクからブルーに変化しているさくさくの隠しヒロインである
主人公は物語から退場したと妖精さんが言っていた。
彼女の言うことをどこまで絶対のものと信じるかにもよるが、これ以上主人公が俺達に干渉してくる可能性は大分低くなった。
同時に、彼が退場した以上はストーリーはほぼ崩壊していると言って良い。
本来起こるはずのイベントは起こらず、会えるはずの人物にも会えなくなる。
以前に電車の中で起こったようなゲーム内の強制イベントは、俺が主人公が進むべきストーリーを早めに壊した影響であれ以降起こっていない。
ただし、主人公は今日も学園にいる。まあ当たり前だが、つまりはストーリーが壊れても、学園内でゲームシステムが働く可能性はまだ消えていないのだ。
と言うことはだ。もしも主人公が
(イベントに先回りするか……)
どこまでできるか分からない。まずは
◇◇◇
「なあ
「いいですよー♪」
「先輩、
ハーレムの女の子達には『男は多くの女を囲ってこそ』という価値観が植え付けられている。
「ん、まあちょっと気になってな」
放課後、
ワンチャン接触できれば主人公に先手を取れるかもしれない。
妖精さんの言葉からもあいつは今ストーリーからは外れていると思われるが油断はできない。
あの妖精さんの存在そのものが謎過ぎるからな。
どうも主人公とヒロイン達のストーリーを壊すのが目的のような気がするので、今は彼女の都合の良いように利用され続けるのが得策だろう。
「あ、いました。あの子ですよ」
反対側の教室棟の窓に青い髪の美少女が見える。
間違いない。
実際見るとやっぱり美少女だな。
絹糸のように揺れる長い髪。アクアマリンのような透き通ったブルーが眩しい。
同じ色の瞳は宝石を彷彿とさせ、睫毛が長くクルンとカールしている。
遠目でも分かるほどに大きなバストが張りだし、ムチッとした太ももがミニスカートから覗いていた。
隠しヒロインの仮の姿とはいえ、こっちの姿だけでも十分にヒロイン力抜群だ。
彼女には特殊な体質がある。そのためにテレビで見たような桜色ではなく、ブルーの髪色をしているのだ。
そして、本人は自分が
「とりあえず先輩を紹介する、くらいの軽いノリで紹介してくれ。ついでに校内案内とかも申し出よう」
「あ、それナイスなアイデアですね。
「先輩の役に立ってみせます」
「よし、早速話しかけ……あっ」
「あっ……、あいつ……何してるの?」
早速
「遅かったか」
しまったな。やはり主人公がシナリオに絡むのはまだ止まっていない。
まあいい。もともとシナリオなんてあって無きがごとしだ。
このまま接触してしまおう。もしかしたらスキルで主人公からシナリオの主導権を奪い取れるかもしれない。
「ちょっと今から彼女と話してみたい。
「はーい♪
「第一印象が大事ですもんね」
そういうわけで主人公と話している
「あ、すみません。私用事があったんでした」
「
「あ、おい2人とも」
俺の声が届いていないかのように振り返ることなく立ち去ってしまい、俺は呆然と立ち尽くす。
「やはり主人公が絡むゲーム内イベントには干渉できないらしいな」
俺が近づこうとしても同じだった。
何かが阻むように足が止まり、声を出す事も敵わない。
なんてこった。これは本格的に作戦を練り直さないとマズいな。
話している内容は聞こえないが、転校初日ということもあり、校内案内に主人公が抜擢されるイベントだろう。
迂闊だったな。先回りするなら
試しに2人の側に近づこうと試みるも、何かに阻まれるように辿り着くことができず、気が付いたら反対側の階段下に降りてしまった。
「くそっ。イベント進行中の干渉はやはり無理か」
清楚ビッチに絡め取られたと思っていた主人公だったが、ゲーム内イベントに干渉することはいまだにできるらしいな。
一度清楚ビッチにどういう状況か聞いてみないとな。
仕方ない。サブヒロイン達の攻略を急ぐとしよう。
彼女達も五月以降にならないと接触することができない為、今までそのことは頭にありつつも実行できなかった。
なんだかんだで
のんびりするべきじゃないが、まだ焦るような時期でもない。
大丈夫だ。まだ勝てる。
今日のところはとりあえず
急がないと。近日中にサブヒロイン達を俺の女に仕上げなければ。
俺はサブヒロインの一人目、