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第58話◇サブヒロイン達をどう攻略するか?◇

 隠しヒロインである桜木蘭華らんかこと桜木美砂みさを攻略するための糸口。


 それはまだ出会っていないサブヒロイン達と順番にフラグを立てていく必要がある。


 フラグを立てるといってもサブヒロイン達は攻略キャラじゃないので、サブイベントを通じて美砂みさとの縁を繋いでいくという意味になる。


 ゲームと同じではないが、美砂みさとしっかりとした縁を繋ぐ為には、順序立ててやって決して損はしない筈だ。


 今までの舞佳まいか彩葉いろは初音はつね小雪こゆき優奈ゆうなの五人。


 彼女達はスキルを駆使して縁を順番に繋いだ事で攻略が上手く行った。


 舞佳まいかはもともと知り合いだった為に接近に苦労しなかった。

 主人公に認識を変えてセックスに持ち込み、種を植え付ける事に成功したと言って良い。

 ただあれは、俺自身があんまり気分が良くないのでなるべくとりたくない手段だ。


 彩葉いろはは俺に懸想けそうしていた為に攻略が非常に楽だった。


 彼女の場合は主人公に対してなんとも思ってない為、純粋に霧島亮二と恋人になることで攻略は完了したのだ。


 続く初音はつね小雪こゆき優奈ゆうなに関しても、攻略した舞佳まいか彩葉いろはで上手いこと縁を繋いでいき、信頼関係を獲得することができたと言って良い。


 まあ初音はつねはほぼ妖精さんのラッキーちゃーんす☆のおかげであるが、それでも彩葉いろはがいなければ簡単には俺を信用しなかっただろう。


 小雪こゆきにしても優奈ゆうなにしても、攻略したヒロイン達と信頼関係が深かった為に、俺へと縁を繋いだ側面が強い。


 んで、結局何が言いたいのかというとだ。


 俺が美砂みさを攻略しようと思っても、彼女と俺は今の段階で全く接点がないわけである。


 まずは主人公がゲーム内でそうしたように、偶発的なイベントで邂逅ができれば良かったのだが、実はそのイベントは既に終わってしまっている。


 ゲーム開始1週間後の日曜日に誰でもいいから蘭華らんかのライブデートに誘うと彼女との邂逅イベントが起こるのだ。


 俺が転生したのは4月の半ば頃であり、既に主人公と蘭華らんかは出会っている。

 それを象徴するように先ほどのゲームシステムの強制力だ。


 そして起こった失踪事件。ゲーム内イベントに干渉できない一連の出来事。


 主人公自身にその自覚がなくとも、既に主人公の蘭華らんか攻略は始まっていると考えるべきだろう。

 これはもうサブヒロインを先んじて攻略しておくしかないな。


◇◇◇


 そんなわけで、俺はサブヒロインの1人、堅物図書委員の『猫田桜結美さゆみ』ちゃんと出会う為に図書室に向かう。


 さゆみ、という可愛らしい響きと、桜の文字が入っている事から非常にキャラが立っている。

 攻略ヒロインじゃないのが惜しいくらいだ。


「そうだ。確か彼女は初音はつねを尊敬してるって設定があったな」


 サブヒロイン攻略のためには、以前と同じように順番に縁を繋いでいくのが一番手堅いだろう。


 このように一人目のサブヒロインである猫田桜結美さゆみ初音はつねに関係する人物だ。


 二人目は小雪こゆき、三人目は舞佳まいかと言った感じで、それぞれに縁のある人物となっている。


 やっかいなのは、二人目と三人目は直接の知り合いではなく、一人目の桜結美さゆみから二人目を。


 二人目のサブヒロインから三人目を紹介してもらう形をとらないといけない。


 小雪こゆき舞佳まいかについてはゲーム内と同じになるか分からないので、直接関わることがあるかどうかは、今の段階では不明だ。


 早速初音はつねにメールして今どこにいるか確認してっと……。


『図書委員の仕事してます』


「早ッ」


 即既読から2秒で返信があった。

 丁度良いや。ナイス過ぎるタイミングだぜ初音はつね


「ちょっと用事があるから今から行く……っと」

『お待ちしてます』

「また早ッ⁉」


 俺のメールには秒で返信してくるな初音はつねの奴。

 とりあえず早速図書室に向かい、初音はつねと合流することにした。



 図書室に到着した俺は猫田桜結美さゆみの居場所を確認して……いた。


 貸し出しカウンターになっている所に一年生のリボンを付けた美少女が一人。


 一見すると地味な印象のサイドポニーテールに結わえた女の子は、猫っぽいつり目と癖のあるハネッ毛の黒髪。


 華奢な体付きは小雪こゆきに近いが、筋肉質な体がその下に隠れている事を俺は知っている。


 彼女は剣道少女であり、真面目で一本気。

 融通が利かない堅物である。


 しかしその反面、趣味は猫カフェに通うというものがあり、完全なテンプレギャップキャラとして描かれている。


 さてさて、どうやって攻略してやろうかな。

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