「はぁ、はぁ、はぁ……あ、あんた……私の同人誌、知りすぎでしょ」
「おや? それはどういう事かな?」
「私がちるちるぴょんこだって、絶対知ってる風だった……。いつから気が付いてたのよ?」
「さてな」
知っていることであるが、とぼけてみせる。
10回以上にも及ぶ中出しセックスが終わり、3人一緒にベッドで息を乱している。
あの後、桜結美、小雪も参加した4Pセックスが始まり、目の前で犯される桜結美と小雪の痴態を見て興奮するというひと幕があった。
「今までのセリフ、行動、全部私の描いた同人誌の竿役のセリフや行動そのまま、じゃない……はぁ、はぁ……」
「へえ、それじゃあ君がちるちるぴょんこ先生本人なんだな。感動的だな。俺の大好きな同人作家本人と再現プレイできるなんて最高じゃないか」
「あ、あんた、そんなに私の同人誌好きなんだ……」
「ああ、知ったのはついこの間だが、手に入るもんは全部買って読破しちゃったよ」
「うそ……やだ……(なんでこんなに嬉しいのよ……私を犯した奴なのに)」
潜在的なレイプ願望とでもいおうか。以前にも優奈で似たパターンがあったが、これもまた違う形でめちゃくちゃにされたい願望の表れだろう。
催淫の効果でエロくなっているのもあるだろうが、やはり彼女の性癖はゴリマッチョのチャラ男にテクニックで堕とされることなんだろう。
「俺は君が気に入ってるんだ。もう一度聞くが、君さえよかったら、桜結美と一緒に俺の女になれよ」
「な、何を言って……っ」
突然の事に面食らい、どうしていいのか分からずに混乱する涼花ちゃんに語りかけた。
「悪いけど、俺は小雪にも桜結美ちゃんにも何かを強要したことは一度もない。程度の違いはあっても、全員納得の上で付き合ってるからな」
「そ、それって……」
「つまり桜結美ちゃんが嫌ならいつでも今の付き合いをやめて構わないと言っているんだ。ハメ撮りはまだしたことないし、脅しの材料も特にないし、何より桜結美ちゃんと俺はお互い好き同士でセックスしている訳だしな」
「そ、それじゃあ私のやってきた事って……」
「まあ俺のエゴで君を抱きたかったから先走りの勘違いを利用させてもらった。成り行きではあるが、俺は君が気に入った。是非ともこれからも楽しく過ごしたい。どうだ?」
「ここまでしておいて、よくも仲良くしようだなんて言えるわねっ」
そうは言いつつ、ちょっとうれしがっている事はバレている。
ワクワク感とでも言おうか。快楽に対する好奇心が嫌悪感よりも勝りつつあるようだ。
よーし、ここはハーレム参加のハードルを下げてみよう。
「別に俺のことを好きにならなくたっていい。君は同人作家だし、実体験が有った方がリアリティのあるものがかけるんじゃないか?」
「……(ゴクッ)」
「それに君の作風からして、ラブラブ好き好き状態よりも、今の精神状態の方がリアリティが出るように思うけど?」
こんなんで自分の
「いいわ。あんたの口車に乗ってあげる。もともとセックスはどっかで適当に済ませようと思ってたし、考えようによっては経験豊富でチャラ男のアンタは同人誌のモデルにピッタリよ」
そういえば、涼花って恋愛に関してどうこうって描写はあまりなかったな。
それにゲーム内でもそっち方面はわりかしドライで、完全に次のサブヒロインへの橋渡し的な役割だった。
彼女の背景に関する深掘りはファンディスクで行なわれており、そこでも恋愛に関する話題はほとんどない。
恋愛そのものにあまり興味がないのだ。
だけどその反面、ドライで冷静な視点から主人公を諭す場面がある。
それらが小雪攻略ルートにおけるお助けキャラの役割を果たしているのだ。
「じゃあお互いの利害は一致してるってことでいいな。これからよろしくな、涼花」
「ふんっ。都合の良いセフレにはならないわ。あなたは都合の良いディルドと一緒よ。私が気持ち良くなりたいから利用するのっ」
あくまでツンデレキャラを崩さない涼花。それでも俺が呼び出したら確実に応じるだろう。
それくらい、今の彼女は俺にほだされている。
「ああ、それでいいさ。そんな事より、そろそろ配信の準備しに帰る時間じゃないのか」
2人に聞こえないように、涼花の耳元で囁く。
「な、なんのこと?」
「バレてないとでも思ってるのか? 子兎ルルカちゃん♡」
「なっ、い、いつから気が付いてっ」
「声を聞いてたら分かるさ」
本当は最初から知ってたけどな。
「あんた、実は最初から知ってて私に近づいたんじゃ……」
「それは考えすぎさ。今日ここにきたのはたまたまだろ?」
「まあいいわ。そういうことにしておいてあげる♡」
「今度はルルカのコスプレでセックスしようぜ」
「ちょ、調子に乗らないでよっ」
抵抗する涼花も可愛い。しかし、俺に対する忌避感はすっかり消え失せているようだった。
涼花の攻略は無事に完了。ハートマークを浮かべる涼花にキスをして、その余韻を楽しんだ。
◇◇◇
【side涼花】
なんてこったい。
あのスケコマシドクズ男、最初から全部知ってたなッ!
品のない言葉が頭の中を駆け巡って止まらなくなってしまう。
念願の雪峰ちるるちゃんとのコラボ当日の打ち合わせの為、マネージャー同席の下、Web会議を行なう事になった。
「本日はよろしくお願いします。子兎ルルカのマネージャーをしています。高橋と申します」
『よろしく、です……。雪峰ちるる、です』
緊張しているのか配信の時より声がかなり小さい。
だけど私にはその声のトーンにめちゃくちゃ聞き覚えがあった。
つい先日。それもベッドの上で同じ男に抱かれている時に聞いたその声。
隣で喘ぎ声を出していた物静かな美少女。
真っ白で、小っちゃくて、仔犬みたいに可愛い女の子。
「っていうか小雪ちゃんだよねっ⁉」
『ルルカさん?』
『そう。白峰小雪。先日は楽しかったよ、涼花ちゃん』
『おや? お二人はリアルで顔見知りですか?』
『そう。のっぴきならない関係、です』
『ほほう? 何があったのですか?』
『ぐ、偶然よっ。友達の友達だったっていうだけだからっ! まさか小雪ちゃんがちるるちゃんだったなんて驚きだわっ』
『なるほど。普段から病的なまでにリスペクトしているちるるさんがルルカさん、ここはお互い本名で呼び合いましょうか。涼花ちゃんのお友達になっている事に喜ばしい気持ちです』
『マネさん、涼花ちゃんのこと、大事?』
『まあ一応従姉妹ですので、付き合いは長いですね』
『そう。小雪、一人っ子だから、うらやましい。涼花ちゃん、お姉ちゃんみたいで、好き』
「あはうううううっ♡ 小雪ちゃん可愛いッぃいいいっ」
そうしてコラボは大成功。その後、イラストが得意だという小雪ちゃんとは、一緒に同人誌を作る仲間になっていく事になる。
あの男との実体験と、小雪ちゃんやさゆみんを交えた奇妙な関係で、私の創作インスピレーションは刺激されっぱなし。
この年の冬のマーケットで出した新作がかつてないほど爆売れ。
そしてアニメ化することになるのは、もう少し先の話なのだった。