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第77話◇ゲームシステムを出し抜くには?◇

 計画は更に一段階進んだ。残るサブヒロインはあと一人。

 子兎ルルカと雪峰ちるるのコラボはVTuber史上歴史に残る大盛況となり、サプライズは大成功。


 桜結美も二人がVTuberだったとは知らなかったらしく、大いに驚いていた。


 まあ当初の計画では作戦の第二段階として、小雪をエサにして涼花を絡め取る予定だった。


 そうすればVTuber同士のエッチなコラボとかもできたかもしれないが、上手いこと桜結美からの吊り出しで全てを終わらせることができた。


 コラボエッチはまたの機会にすればいいだろう。

 今は三人目のサブヒロインとの接触に全力を注ぐべきだ。


◇◇◇


 さて、作戦は次の段階に移行する。


 三人目のサブヒロインの名前は『飯倉琴葉』という。


 この町ではそこそこ大きな会社である飯倉商事の社長令嬢で、『花咲く季節と桜色の乙女』の世間知らずヒロイン枠として登場する。


 金持ちで、美人で、世間知らずのお嬢様。ただ、ゲーム内における彼女の出番は非常に少ない。


 更にはさくさく作品内において、初音と肩を並べる爆乳キャラでもある。


 これだけのスペックを誇っていながら、彼女は攻略ヒロインではないのだ。


 そう、彼女は攻略ヒロインではない。あれほどの存在感おっぱいを晒しておきながら、攻略キャラじゃないなんて許されるのだろうか。


 設定資料集によれば、彼女のデザインは初音の一案としてラフ画が作られたが、初音が優奈と姉妹設定にしようという段階で没になった(結局姉妹設定も没になったが)。


 だがあまりにもラフ画の出来が良かった為に、せめてサブキャラとして残そうという事になったと、開発者のインタビュー記事に記載されている。


 その反面、納期に間に合わないためサブキャラとしてもボリューム不足の、本当のちょい役となってしまった。


 彼女の役割は隠しヒロインである桜木美砂への繋ぎ役。


 彼女と出会うためには少々特殊な条件を満たさなければならない。


 5月の頭から末日の間に、舞佳とデートを実行して町をうろついている彼女がナンパされている所を助けないといけない。


 ゲームでは強面チャラ男にナンパされている琴葉を格闘少女である舞佳が撃退する。


 主人公は警察を呼びに行くとか呑気なことを言っている間に舞佳は飛び出していき、あっという間に撃退してしまう。


 今は5月の中旬手前だ。恐らく舞佳とデートすることで邂逅イベントの条件は満たせる筈。


 いつ起こるか分からないので、定期的に舞佳と二人で町をうろついているが、今の所会えていない。


 そして涼花と琴葉は中等部時代の親友だ。


 周りに馴染めずに卒業後に引きこもりになってしまうほどコミュ障だった涼花と、世間知らずで周りから浮いていた琴葉。


 二人の変わり者は意気投合し、休み時間のたびに二人で友情を培った仲である。


「まったく、あんたの狡猾さには驚かされるわ。全部計画通りだったって訳ね」

「俺は良い女には全力を尽くす主義なのさ」

「くっ、最近ちょっと格好よく見えてきたのがムカつく」


 あれから数日。彼女もすっかり俺の虜だ。表向き悪態を突いていつつも、セックスにはキッチリ参加するようになっている。


 しっかりと仲良くなりつつ、次なるヒロインに繋いでもらう準備に取りかかるとしよう。


「さあ涼花ちゃん。今日もいっぱい仲良し仲良ししようか」

「ガキをあやすみたいな言い方をするなっ! ぁ、ぁっ、こら無言で脱がそうとするなってぇっ」


 ずっとデレない彼女をベッドの上でデレさせるのが、最近のマイブームだ。


◇◇◇



 涼花ちゃんを組んず解れつな関係になって数日後。

 俺は次なる段階に進むために琴葉の紹介を頼むことにした。


 今日は配信中の彼女に悪戯を仕掛けようと思ったのだが、本気で怒りそうだったのでまたの機会にしておいた。


 俺の妖精さんスキルは本人の認識は変えられても、現実そのものを変える事はできないため、万が一配信中に艶かしい声を出そうものなら炎上は不可避だろう。(ラッキーちゃ~んす☆という例外はあるが……)


 シチュエーションエッチは好きだが、ヒロイン達のアイデンティティを破壊してまでやろうとは思わない。


 必要に応じて実行することはあっても、それをすることで悲しみが生まれるならする意味はないのだ。


 できるとするなら妖精さんのラッキーちゃーんす☆で現実ごと虚実空間に変えてしまう時だけだが、あれは彼女の気分次第なところがあるのでしょっちゅうはできない。


 妖精さんもかなり気まぐれなので、刺激的なシチュエーションを提供しないと力を貸してくれないし。


 会話すらできないのでこっちから積極的に提供するしかないわけだ。


 それはともかく、今は琴葉との接触が先だ。

 ゲームの本筋でいくなら、舞佳とデートをしている最中にナンパされている彼女を探し出さないといけない。


 だけどそれが何月何日なのかは明確にはなっていない。


 ゲームのイベントはフラグを立てた順番で自動的に発生するので、このゲーム世界で生きている限り必ず琴葉との邂逅イベントが起こる筈だ。


 だが、システムは主人公を中心に働きかける。


 それは既に桜木美砂と邂逅してしまった事からも明らかであり、現実に俺はその状態の主人公達に介入できていない。


 最初に彼女が転入してきた日、早速関係を持とうとして失敗した。


 あれからずっと桜木美砂に接触しようと試みているが、どうあっても彼女に近づくことはできなかった。


 だから恐らく、放置すると主人公に先を越されてしまうので、桜結美、涼花と縁を繋ぎ、急いで琴葉を俺の女にしてしまう必要があるんだ。


「ふひぃ、はひぃ♡ あんたってどんだけ精力絶倫なの?」

「可愛い女の子相手なら無限にできる自信がある」


 今日も今日とて連続中出し。もう完全に俺の虜になった涼花を抱き潰していた。


 ベッドの上でグデングデンになっている涼花の髪を撫で撫でしつつ、琴葉の事を引き出す事にした。


 前回の桜結美の時はごまかせたが、涼花の場合は理性と意思が強いので、俺が琴葉の事を知っている事に疑問を抱く可能性が高い。


 俺の虜になっておきながらツンデレキャラが崩れないのがその証拠だ。


 ある程度俺がそのように留めている所はあるが、彼女は本当に意思の強い女の子だった。


 だから下手に矛盾した事を言ってしまうとスキルが効果を失う可能性もある。


「はぁ。あんたって本当に絶倫よね」

「なんだよ。もっと気持ち良くなりたいなら素直に言ってくれよ」

「こ、こらぁあ、またぁ、ぁあああ、もうっ! 気持ち良いからくやしいいっ!」


 実際に行って会える保証はない。だが妖精さんは確実に俺にヒロイン達を攻略させたがっているから、何かしらの影響があるはずだ。


 まずはとにかく計画を立てて積極的に行動すること。

 飯倉琴葉となんとかして接点を持つようにうごかねば。


 まずは舞佳とのデートを再び行なうとしようと画策する。


 その努力が報われるのが、この数日後である。

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