「ふっ、ふっ、これ、楽しいっ、美砂、知ってる、この踊り、知ってる」
「蘭華ちゃんの、踊り、楽しいッ! まるで蘭華ちゃんと、踊ってるみたいっ!」
優奈の踊りは美砂の動きに完璧に追いついていた。
「うわ、なにこれ凄いっ」
「え、なに? VTuber?」
「うまーいっ! 踊りピッタリ」
凄いな優奈の奴。予想以上に蘭華の踊りについて行ってる。
いや、むしろ記憶を取り戻そうとしている美砂より、普段から繰り返し練習している優奈の方がトレースが上手いくらいだ。
やがて曲が終わり、最後の決めポーズを披露したところで拍手喝采が起こる。
「素晴らしいですわ優奈ちゃん。アレならダンスユニットとしてアイドルデビューもできてしまうかもしれません」
琴葉は興奮したように拍手を繰り返す。
それに感化されて周りのギャラリー達が盛り上がってきた。
大ビジョンには蘭華の曲が続いて流れ始めている。
「美砂ちゃん」
「優奈、一緒に……いい?」
「うんっ! 一緒に踊ろうっ」
手拍子を始めた琴葉の乗っかって彩葉も舞佳も同じように盛り上がる。
美砂と優奈の踊りは見事にシンクロしている。
アップテンポな曲に続いて流れ始めたノスタルジーな楽曲。
ゆったりとした動きは一見すると簡単な踊りに見えるが、彼女の楽曲の中でトップクラスに難しいと言われている。
これは彼女の公式動画チャンネルで解説されていることだ。
蘭華の動画チャンネルには踊りの解説ものが数多く存在し、その中で特に難易度の高いノスタルジーな楽曲の踊り。
記憶を失っても体がその踊りを覚えている美砂。
その動きを完璧にトレースしている優奈。
まるで優奈と美砂が、一つのアイドルユニットのようにシンクロした動きで観客を魅了している。
格好はマイクロビキニにミュールというドエロい格好なのに、そこに嫌らしさやスケベ要素は垣間見えない。
多くの芸術で神や天使が薄い布しか纏っていないように、ほぼ裸体で舞踏する舞姫達は、さながら天使だ。
いや、このノスタルジーでスローな楽曲、どこか和風な音律で踊る彼女達の姿は、天女と言った方がしっくりくるな。
「すごいですねぇ優奈ちゃんも美砂ちゃんも。2人の動きピッタリですよ」
「ああ。感動モノだな……お?」
「どうしました?」
舞佳は2人の踊りに感動しながらスマホでその様子を撮影している。
ふと、その録画画面が目に入ったのだが、そこで妖精さんパワーがどのように働いているかが垣間見えたのだ。
(画面に映ってる2人はちゃんと服を着ているな……なるほど。これが妖精さんパワーか)
俺の肉眼には2人の扇情的なマイクロビキニ姿がちゃんと焼き付いている。
だが動画という媒体を通すと、2人は普通のおしゃれ着で踊っている姿が映し出されているのだ。
恐らくこの動画は現実に拡散されるのだろう。その先に待っている展開は予想が付かないが、美砂の記憶を取り戻す為に必要なら止めることはしない。
さーて、単に裸同然の格好で踊るだけじゃ芸が無い。
ここからは俺のドスケベスキルでお楽しみタイムと行こうじゃないか。
◇◇◇
――『うほーっ! アイドル級激カワおにゃのこキター』
――『これはたまりません』
これは発動した妖精さん空間で空中に流れ始めたコメント欄の一部を抜粋したものだ。
いつものように妖精さん本人と思われるゲスいコメントの嵐が空中に現れ始め、美砂や優奈の扇情的な姿に興奮している。
踊りを一通り堪能した俺は、さあ次は俺の出番だと大衆の前に躍り出て美砂を抱きしめ足を開かせた。
もちろんその後の様子を詳しく語るのはやめておこう。
ナニをとは言わないが、公衆の面前で大公開してしまった美砂は、未知の感覚に悶えながら新しい快感に喜びの声を上げた。
そして妖精さん空間で痴態を夢中になって視姦する女の子達全員を巻き込んでの大ハッスル大会を行なうことになった。
巻き込んでといっても、男は俺一人。
俺は優奈、美砂、彩葉、琴葉、舞佳を順番に――
それに感化されたギャラリーの女の子達によるお隣さん同士の相互『お手伝い』によって淫らな声が飛びまくる淫靡空間を作り上げるのだった。