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「私は、……女神様にこれからどうすべきなのか、率直にお伺いいたしました!」
「ほぅ。さすがはハルコン殿!」
「いっ、いいえ。せっかく、女神様が私の許にいらっしゃったワケですから、……。この際遠慮などせず、サスパニアの件でヒントを授かってもよろしいのでは、と思いました!」
王ラスキンと宰相はこの言葉に感心したらしく、大きく頷かれていらっしゃった。
「ならば、ハルコン殿。女神様は如何に仰られたのか?」
「はい。そのままお伝えしますと、『ファイルド国は、現在「善隣外交」をされていらっしゃるのでしょ? なら、あなたもその方針に従うべきではないかしら?』と!」
「なるほど。そのお言葉のとおりなら、我々の進むべき道は限られているということか、……」
陛下がそう呟かれると、宰相もうんうんと大きく頷く。
「ハルコン殿、……今回の件で、他にはどんな話をされたのか?」
「はい。私としましても、近代日本の科学力を有するサスパニアに対し、徒手空拳で応じても碌なことにはならないと考えております。この局面を打開するためには、女神様から頂いたチートスキル(実際は現地語で表記しております)の優劣こそ、まさに大事なのだと思いました!」
「なるほど。以前にも伺っていたチートスキルか、……」
「すると、女神様は率直にこう仰られました。『サスパニアに送ったあの子達には、特にスキルを持たせておりません。何しろ、彼らは地球で得た知識を基に、こちらで活動を再開しているだけなのですから、……』と!」
「では、女神様のお言葉に対し、ハルコン殿、……貴殿は如何に返事をされたのか?」
陛下には、できる限り正直にお答えしようと思った。何しろ、サスパニアには鳥インフルエンザ散布の疑惑もあるしね。
「『そうでしたか、……。なら、私が頂いたチートスキルを使っても、……構いませんか?』と!」
「「ほぅ……」」
「私がそう申しましたところ、『はい、どうぞどうぞ。でもね、「皆、仲良く!」、……ですよ!』と、女神様は仰られました!」
私がラスキン国王陛下と宰相閣下に問われるまま、正直に女神様とのやり取りをご説明したんだけどさ。
そうしたら、お二方は腕を組んでじっと目を閉じて、「なるほど。皆、仲良く! か、……」と、決意を新たにされたようだった。
「ならば、ハルコン殿。貴殿が『神の御使い』だと理解した上でお訊ねする。そのチートスキルとは、如何なるものなのかね?」
その問いかけに、漸く全てをお伝えすべき時がきたのだと、……ハルコンは思った。