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第43話 地元北海道からの逃避

トラと札幌観光で楽しんで帰って来た実家、庭先にて待ち構えていた尊と父の命で訓練形式とは言え急遽手合わせで試合う事になった


嫌な予感と死亡フラグへの恐怖から萎縮してしまっていた俺だったが、逃げられないと観念し圧倒的主人公の義弟の前に立つ


尊は流石の主人公ぶりを発揮し俺に攻撃を仕掛けて来たが...



『城二、あの尊?とかいう人間とんでもない素質をもっておるな』


「だろ」


夕方ギリギリのタイミングで乗り込んだ最寄りの駅までのバスの中で先ほどの尊との試合についてトラが俺に話しかけてきた


『尊の奴、あれで秘境未経験の状態なんじゃろ?...城二が警戒し恐れる訳だな』


俺は最後に尊の放った蒼拳を受けた左膝を摩る...実はさっきから全く感覚が無いのだ


膝で受けたから良かったが、普通に脛(すね)とか腕とかで受けたら間違いなく骨を折られていただろう...


バスに乗り込む迄は家の誰かに見られるかも知れないので我慢していたが、左足に走る激痛で額には油汗が滲む


『良い判断だったな、骨折まではしてないだろ...まぁヒビ位は入ってそうだがな』


「っっ...」



今の時点で尊の強さは俺の予想を遥に超えていた、もし真白との修練を行って居なかったらゲームのチュートリアルと同じ結果になっていたの確実だった...


相対した時は何とか組み伏せれると思っていたが


「あの蒼拳を出す前に尊が纏った気配...普通じゃなかったな」


『...あれで神を降ろしてない状態だとはな...神纏いでもされてたらお前の膝どころか下半身が吹き飛んだぞ』


トラの言葉に、無残に下半身を砕かれ地面に打ち伏せられた自分の姿を想像し背筋に冷たい物が流れるのを感じた...


「やはり今の時点で尊達に関わるのは危険すぎる、当初の予定通り積極的に距離を置くべきだな」


『...そう出来たら良いがな...』



俺達はバスと電車を乗り継いでようやく空港に到着した時には既に夜になっていた...


「なんとか最終の東京行のチケットを買えたな」


ゴールデンウイーク後半の連休の中日というのも有り、最終便とは言え結構な乗客が居たのでチケットが買えたのは幸運だったと言える


搭乗開始は既に始まっており、俺は手荷物を預けると急ぎ飛行機へ搭乗した



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・


飛行機のエンジン音と共に滑走路へと進みだす飛行機...窓際ではない真ん中の座席だったのでシートベルトを装着して静かに目を瞑る


(あの場を凌げたのはトラの力が有ったお陰だ...俺一人だったら...)


死亡フラグとい言う名の悪魔が俺の首筋に大きな鎌を掛け、今にも斬り落とそうと狙ってる


不安と緊張から目を瞑るが中々寝付けないまま揺れる機内で、この先の行動計画を練るのだった...






・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・



「本機は、もう間もなく羽田空港に到着します、お客様に置かれましては、座席位置を元に戻して頂き、再度シートベルトをご確認下さい、なお・・・・・」


「・・・・・?」


いつの間にか寝ていた様だ...俺は手荷物を確認する


『人間の作った鉄の鳥は中々興味深いな』


トラは天井をすり抜け俺の肩に降りて来た、姿が見えないと思ったら飛行機の外に出ていた様だ...非常識な奴


飛行機は無事着陸しターミナルへとドッキングする


「フゥ――――やっぱ東京に帰ってくると安心するよ」


機内から降りロビーで伸びをしながら呟く


手荷物カウンターから自分の手荷物を受け取り、空港を後にする...


電車に乗り自宅のあるマンションへと到着したのは既に深夜だった




ガチャ...




寝ているであろう道代さんを起こさない様に静かにドアを閉める...


トランクは明日片づけるので玄関に置いて自分の部屋のドアを開ける



モゾモゾ...ん?何か布団が盛り上がって動いている様な...


暗い部屋の壁スイッチを手探りで探し電気を付ける



「!?」


「!?」





「道代...さん?」



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