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第44話 匂いフェチ

〇都内高層マンション  3407号室 北野家保有マンションのリビングにて



「・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・」



リビングのソファーにも座らず固く冷たいフローリングにて正座し向かい合う男女一組...


「道代さん...僕のベッドで一体何をしてたんですか?」


先ほどの見た光景を思い出しながら、純粋な気持ちで道代に尋ねる俺...


「そ、その...城二様の枕カバーを洗濯しようとして...」


道代の説明と先ほどの光景がマッチしない...ちゃんと正確な情報を聞きださねば


「枕カバーの交換なら僕のベッドに入る必要は無いですよね?」


俺からの追及に顔を真っ赤にして目を泳がす道代さん


「そ、その・・・匂いが...」


「匂い?」


「はい...その城二様の匂いが...凄く良い匂いで...止められなくなって」


「・・・・・・」


つまり先ほど見た光景は、俺の枕の匂いと布団に染み付いた匂いを全身で堪能していたと...


「い、何時から...です?そ、その...匂いフェチって言うんでしょうか..」


「・・・・・城二様を送り出した後、前日の下着を洗濯している時に...洗濯機に入れる前にひっくり返してしまって...その...興味本位で城二様の下着を...」


「いっ!?下着!?」


「ほ、本当に申し訳ございません!!!」


道代さんは俺に向かって土下座して許しを請う


「どんな罰でも受けます!!私の身体を好きにして頂いて構いません、いや好きにしてください!!」


道代さんは混乱しているのか、おかしな事を口走る...


(そういや...美千代の奴も何でもかんでも匂いを嗅ぐ癖が有ったな...何回か注意もしたけど...あれって匂いフェチだったのかな?)


「...そうですよね...こんな変態女、傍に居たら気持ち悪くて城二様が困っちゃいますよね...」


「あ、いや...前にも言った様に俺にとって道代さんは大事な女性で、その...居てくれないと困ると言うか...居て欲しいと言うか...」


俺の言葉を聞いて道代さんは涙に濡れた顔を上げ驚いた表情で俺の方を見つめる


「そ、それでは...私はまだ城二様のお傍に居ても...?」


俺は、床に付いていた道代さんの両手を取り笑顔で頷く...


「あ、有難う御座います!!そ、それでは・・・本日より同じベッドで寝るという事で...あ、城二様は下着を付けてるのと付けてないのどっちが好みです?」


「!?そこまで、良いとは言ってませんよ!?」


暴走する道代さんに俺の言葉は通じてるだろうか?目の前で涎を垂らしながらブツブツと独り言を言っている道代さん...


勝手に暴走してしまう所も美千代にそっくりだ...そんな事を考えていると・・・・






二ィ―――、二ィ―――――(城二、貴様ぁ儂への供物はどうなっておる!!)



ミャ―ミャ―二ィ―二ィ―ミャァ――――(そんな胸に脂肪を大量に蓄えただけの雌など後にして用意せぬか――――)



自分のベッドで見た、あまりの衝撃の光景にコイツの事をすっかり忘れていた...


「あのぉ......さっきから泣いてるのって...」


道代さんの声に反応して俺の上着のポケットから顔を覗かすトラ


「わぁぁぁ可愛いぃぃぃ」


道代さんの興味はすっかりトラに映り、俺の前に座ったトラを両手で優しく抱き上げると頬擦りし始める


「城二様?この猫ちゃんどうしたんですか?」


(う――――ん、何て説明すればいいか...)


「あ、この猫ちゃん尻尾が二股になっている!!リボンも可愛いぃぃ」


トラを持ち上げユラユラ揺れる2本に尻尾を凝視して頬を緩ます道代さん


「え―――と、実は真白...同級生の雨宮さんと一緒に修練させて貰ってた時に偶然見つけてね、野良だったから連れて帰ったんだよ」


「あらぁ城二様は優しいんですねぇ~ねぇ――――」


道代さんはすっかりトラにご執心だ...今、目線んがトラの陰部を凝視してるのは見なかった事にしておこう...


「あ、あぁぁそうだ、慌てて実家から帰ったもんでお腹が空いてるらしくて――――あ、コイツ、トラって名前にしたんで...その申し訳無いんですが何か食べる物をくれませんか?」


グゥゥゥゥ―――――「.........」


その時タイミング良く俺のお腹も悲鳴を上げる...



「ウフフ、それじゃお二人に何か作っちゃいますねぇ~でも、こんなに早くお戻りになると思って無かったんで余り物ですが」


「はい、是非お願いします」 ニャ―ミィーミィーニャニャ―――(儂は肉が食いたいぞ―――)



道代さんは嬉しそうにキッチンに向かいエプロンを着けると鼻歌を歌いながら俺達の夕飯の準備を始めた


トラは自分のご飯の心配をしているのか、道代の足元に纏わりついて時折邪魔をしてる


ニャーニャーミィーニャーニャ――——(儂は熱いのは苦手だぞ!!おい、お湯を温めるな!!)


「フフフ、トラちゃんちょっと待っててねぇ~」


トラの言葉は今の所、俺以外には認識出来ないので、道代さんとトラのやり取りを聞きながら笑いを堪えるのに必死だった...



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・


ご飯を待っている間、自室に戻り荷物を片付ける(ちなみに、枕カバーや布団カバーは既に道代さんのT手で交換済)


「あ、そうだ真白にだけ連絡しとくか...」


俺はスマホを取り出し真白にメッセージを送る


城二:《真白、急遽北海道から東京に帰ってきた、今家に着いた》


すると直ぐに真白から返事が来る


真白:《お疲れ、昨日電話した時は北海道居たのに今東京...ウケる》


いや、コイツ文脈の書き方下手かよ...学科テストでも常に上位に居るのにおかしなもんだ...


城二:《何でもかんでも、ウケるって付ければ良いってもんじゃないぞ》


真白:《ウケるをダメ出しされた、ウケる》


(コイツ...今日は繰り返しボケで押し通すつもりか...ツッコミ待ちの状態か...)


城二:《それより、約束のメロンのマカロン買って来たぞ?》


真白:《メロンマカロン喰いたい、今喰いたい...ウケる》


城二:《それじゃ明日届けようか?》


真白:《おう!解った!、            ウケる  》


変なスペースが空いたウケるの文字...メロンマカロンの魅力に真白のツッコミ待機防御は崩壊寸前だ...


城二;《そしたら、明日の10時にミオンモール前で待ち合わせな》


真白:《メロンパイ》


真白:《了解》


(イヤイヤイヤイヤ、どんな変換したら「りょうかい」が「めろんぱい」に、なるんだよ!!)


しかし俺は敢えてそれをスルーして返事を返す


城二;《おう!また明日な》


真白;音声通話・・・・・・


俺は真白からの音声チャットの通話ボタンを押すと


『城二...ツッコミ北海道に忘れて来たなら取りに戻れ、ブチッ...ツ――――――』




「こりゃ明日は、ご機嫌斜めだな...」


未だにお笑いモンスターの真白の操縦に悩む俺なのであった...




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・



「はぁ~尊君も実家に帰省してるし...今は婚約の件、相談も出来ないわね...」


「・・・止め止め!!折角の休みだし、気晴らしに服でも買いに行こうかな!」





























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