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第70話 秘境テストのその後...(秘境テスト編完)

5月17日金曜日...この日朝に生徒指導室で聞き取りされた偽神との一連の出来事と、その後の藤堂、葛西両名による俺への暴行事件、それに伴う学校側の対応について当事者である俺の意見は皆川先生を通じ学校側に伝えた...


‥‥そして週明けの月曜日


「この度は皆さん...特に北野君にご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」


「僕の短慮で秘境テストにおいて不適切な行いをした事で皆さんにご迷惑をお掛けして申し訳ございません、また北野君に対しても酷い事をしてしまい、猛省しております...本当に申し訳御座いませんした」


朝のホームルームにて教壇の横に立ち神妙な面持ちで頭を下げる藤堂君と葛西君...


その下げた頭は短く刈り込まれ坊主頭になっていた、特に藤堂の顔には痣や絆創膏が目立ち実家の道場で其れなりの制裁を受けたのだろう事が見て取れた


「この通りだ、二人の処分撤回を要望する声が有り学校も其れを受入た為、今日から二人とも復帰する運びとなった...皆も思うところが有るだろうが二人もこれからの行いで挽回すると言っている...宜しく頼んだ」


「「宜しくお願いします!!」」


最後に二人ともが皆に向かって頭を下げ謝罪ホームルームは終了した...


‥‥そして昼休み...


「ほら口を開けろ城二」


「いやそこは可愛く「あ~ん」て、する所だろ!?」


「はぁ?時間は有限、もたもたするな私も食べてるんだ箸を城二だけに占有されては困る」


「はぁ...あ、あ――――ん!?」


口を大きく開けてると、中に小さなおむすび、から揚げ、玉子が一気に放り込まれる


「う、モグモグ、うっモゴモゴ、がっモグモグ...」


口いっぱいのご飯を必死になって咀嚼してると...


「あぁ――――やっぱり此処にいたぁぁ―――城二っちとマシロンみ―――っけ!!」


「あ、雨宮さんもその節はお世話になりました...あっトラちゃん!!きゃわぁぁ!!」


『はぁ...なんじゃお前等...儂は供物の処理中じゃ静かにせぬか』


トラは俺の横で真白の作ってきた小さなタッパーに入ったサバ味噌とご飯の混ぜご飯を必死になって食べている...もはや食うもんが猫そのまんまだ


「ところで何で二人が屋上へ?昼ご飯はどうした?」


俺が尋ねると、天音さんは後ろに隠していたお弁当箱を胸の前に掲げ


「じゃっじゃぁ―――ん!天音ちゃんの特性弁当の登場!!」


「じゃ...じゃ...ん、青木さんのお弁当の...その...登場です」


天音さんのノリについて行けず顔を真っ赤にして天音さんの二回り程小さなお弁当を見せてくる青木さん


「へ?」


「はいはぁ――――い、マシロンも城二っちももっと詰めて詰めてぇ―――」


そう言うと天音さんと青木さんは貯水タンク裏のコンクリの段に座る俺達にもっと奥に行けとジェスチャーし自分達も一緒の並びに座る...


「ほらぁぁトラちゃん私達の間においでぇぇ!!」


真白の作ったタッパーをそっと手に取り天音さんと自分の間に置く青木さん、トラもご飯に釣られ青木さんの膝の上へと移動する...食い物に釣られる聖獣って...


真白——俺——天音さん―トラ―青木さんの並びで座り、違和感だらけの昼食が始まった...


「わぁぁマシロンの作ったから揚げ美味しそぉ―――私の角煮と交換しよぉ――――」


「ん―――金髪の角煮小さい...交渉不成立」


「ガハッ...マシロン意外とがめつい...じゃこのサクランボも付ける!!」


「交渉成立」


「トラちゃん私トラちゃんにクッキー焼いて来たから食べて食べてぇぇ―――」


『ふん!食後のデザートを用意するとは眼鏡小娘は他の牛チチの小娘共よりも見込みがあるぞ』


「...ねぇこれどういう状況?」


なんか自然な感じで場が馴染んでしまっている状況に一人だけ呆気に取られている俺...


「つか、青木さんは彼氏の葛西君が戻って来たのに俺達の所なんか来てて良いの?、天音さんも藤堂君がまた暴走しない?ああは言ったけど俺もまた殴られるの嫌だよ?」


青木さんと天音さんは顔を見合わせて微笑むと...


「あぁぁうん、葛西君とは一旦お別れしたんだ―――やっぱり葛西君のしたこと色々と許せないというか自分の中で消化しきれて無いから...私の気持ちの整理が出来てその時まだお互いが好きなら又お付き合いしましょうって...」


よく聞く学生の別れ方だ...確かにゲーム内でもヒロイン達にフラれる時にそんな言い回しでフラれたな...あれは九鬼先輩だったか?天草先輩だったか?...まぁ俺には関係ないがな


「アタシは、時哉にハッキリ言ってやったの」


「聞くの怖いんだけど...天音さんは藤堂君になんて言ったの?」


「時哉は幼馴染で好きだけど、恋人同士の好きじゃないからヤキモチとか焼かれても迷惑だ!って言った」


「...そ、それは...天音さんと藤堂君の先の未来なんか分かんないし...可能性を完全に断ち切るのは...」


少し藤堂君が気の毒になってきた...大好きだった天音さんに告げれた死の宣告...藤堂君の精神状態が気がかりだ...


「それに、今アタシが一番気になるのは城二っちだしね~♪キラン☆」


「へぇ?」


「!?」


「あらぁ~天音ちゃんハッキリ言うのね...藤堂君もお気の毒に」


「だからマシロンも覚悟してよねぇ――――」


「覚悟?なんの?城二の友達多いの良い事」


「ん――――マシロンも中々手強いけど...うん!良し決めたぁぁ!」


天音さんはお弁当箱を俺に渡しポンと勢い良く立ち上がり...(水色か)真白の前に行くと


「ほい!マシロン」


「?」


天音さんは真白に手を差し出す...


「私、池上 天音は雨宮 真白と友達になります!」


「とも...友達...女の子の...とも...」


真白は戸惑って流星眼が左右に激しく動き...俺に向かって救いを求める様に目が合う...


そして俺は笑顔で頷き...その様子を見ていた天音さんが


「ほらぁぁ!ギュ、これで私達友達!ねぇ―――マシロン!」


「友達...二人目の...」


「んじゃ私もお願いしようかなぁ、青木 翠は雨宮 真白さんとお友達になりたいです!!」


そう言うと青木さんは握手してる真白と天音さんの手を両手で包む様に握り3人で目線を合わせ微笑んだ


「お、女の子の...お、おともだち...2人も...ど、どうしよ城二」




俺は笑顔で頷きながら真白の頭をそっと撫でる...




こうして魔都東京1999の世界に転生して来て、序盤のシナリオ部が終了となった


最初のチュートリアルでゲームから退場しエンディングテロップで死亡した事になってる主人公のクズ兄は俺の知識と周りの助けで、未だに生きながらえている...


しかし、北野 城二を取り巻く環境は彼を平穏な日常に留めて置くことは無い


主人公である弟の動向は?元婚約者の心境は?封印された偽神が何故急に動きだしたのか?


神石と異界からの隕石...そしてラスボス、コス=タータルトとの最終決戦の行方


そして気になるサブヒロイン達とその恋の行方...






様々な波乱の予兆を残し、秘境テスト編 了






〇???



「あれが例の...が言っていた北野の兄の方か...が雨宮のお陰とか言われてるが?」


「...は自分の目で確認しなきゃわかんないぞ、ボクは先生が言うなら異論は無いけど?」


「そだな......なら、...出せば良い...よ先生に了承すると伝えてくれ...」


「またボクが言うのかい?はぁ...先生と話すの苦手なんだよな...」





次章 魔刑部大会編に続く




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