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第86話 謎の集団「神無(かむな)」


〇東京ドーム内 第二武舞台


「城二君、改めて自己紹介させてもらうね、僕は神無(かむな)の首領をしている、草薙と言う者だよ」


「そして彼が八尺で、彼女が八咫...我ら3名が神無の主要メンバー、以後お見知りおきを」


そう言うと黒いコートの怪しげな男は丁寧に頭を下げる


俺は八咫と呼ばれた仮面の女に治療してもらって何とか喋れる様にはなったが全身の神経と筋肉が電気ショックと火傷の影響で指先一つ動かす事が出来ない、芋虫の様に床に這いずりながら草薙と名乗る仮面の男を見上げる


「お、お前等は...いっ、いったい...」


仮面で男の表情は解らないが、神格を使えない状態の子猫形態とはいえ 四聖獣の白虎にここまでダメージを負わすとは...明らかに普通の連中じゃない


倒れたままのトラに向かって、しびれて動かない手を必死に伸ばそうとするが


「ゴミがぁ!リーダーが今喋ってんだろうがァァ!!」


バギィィ


伸ばしかけた左腕を八尺と呼ばれた仮面の男に踏みつぶされ、掌の骨がバラバラに砕ける


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」


痛みは感じても身動きできない俺はただ自由に動く口から絶叫を上げる事しか出来ない


『止めなさい!武舞台は選手及び審判以外は立ち入り禁止です!即刻立ち去りっ!?』


ドォォォォン!!


アナウンス室の窓から爆炎が上がり黒い煙が立ち上る


「きゃぁぁぁぁ!」「助けてくれぇぇ!!」


その様子に只事じゃない事を悟った観客は、恐怖し慌てふためき半狂乱の暴徒と化し我先に、と出口に向かって波の様に殺到して行く


「やれやれ...せっかく我らのお披露目ステージなんですから、途中退席なんて許さないですよ」


草薙がそう呟き天井に向かって手を掲げると


天井に出来た黒い影が一瞬で全体を覆いつくしドーム内全体が真っ暗になる...


出口も闇で覆われ方向を見失った観客達は大混乱し、あちこちで悲鳴や怒号が飛び交っている


しかし、俺は全身の痺れと左手の痛みでそれどころでは無かった


「あらあら、これじゃ何も見えないな...ではライトアップと行こう:


暗闇で何も見えないが、草薙が腕を横に振ると


ボッ!っとグラウンド外周のフェンスの上に蒼白い炎が何個も出現する...まるで人魂の様に


「中々風情のある照明だろ?僕のお気に入りなんだよ、アハハハハ」


満足そうに両手を広げ、声高らかに笑う草薙...その背後で興味無さそうにそっぽを向く八咫という女性と仮面越しにも解る程の憎悪を向けてくる八尺...


しかし、草薙の声高な笑い声も段々と遠くなって行く...


パシッ!


そんな時、頬を追いッきり叩かれ意識が戻る


「未だ寝ないでよ、私らはこの時をまってたんだから」


怒りも、悲しみも、残酷さも無い...無感情な抑揚のない言葉を俺に吐く八咫


「グゥゥ...お前らの言う通りにした結果がこれかぁぁ!」


「アハハ...ん?あぁ君か、確か西の超新星君?だっけ?」


いつの間にか武舞台に這いあがって来て俺たちの間に割り込む島津...その怒りの矛先は俺よりも仮面の3人に向けられている


「貴様らの言う通り動いた結果がこれだぁぁ!どう落とし前つけてくれるんだぁぁ」


連鳴の魁風の直撃を受けた、お腹を付近を手で押さえながら右手を3人に向けスキルの構えを見せる


「おやおや?もしかして僕らに逆恨みしてるのかい?西の超新星君は思慮の欠片もないのかな?」


「ほざけぇぇぇ!木の型 山崖杭・弾!」


島津の右手から無数の小さな木の杭が発射され3人に向かって撃ち込まれる


「!?」


しかし、木の杭は3人の元に届く事無く空中で制止した


あたかも見えない壁に阻まれている様に無数の木の杭が空中で不自然に浮いている


「なっ!?どういう事だ!?」


戸惑う島津...


「これは僕たちに対する敵対行動と見ていいよね?」


「草薙...俺に殺らせろ、さっきからクズの顔を見てイライラしてんだ」


しかし草薙は右手を上げ八尺を止めると


「勝手は許さないよ?八尺...死にたいのか?僕の命令が絶対だ解ってるよね?」


「...ちっ...わぁーてるよ...すまない」


草薙の圧に気圧されたのか、八尺は大人しく八咫の隣にまで下がる


フゥ―


草薙が仮面越しに息を吹きかけると、木の杭が一瞬で腐ってボロボロになりただの木片へと変わり地面に落ちる


「さぁ次は僕の番だね...」


そう言うと、右手で島津の方を指差し・・・・


「バン!」


指でピストルの様な形を作りバンという掛け声を口にした瞬間、黒い水の渦が島津の方へと撃ち出される


「...ばっ...馬鹿な...」


島津の腹部は半分近くが削り取られ、内臓が飛び出し血が噴き出す...


「あ、れ...は...黒渦潮?」


真白の神衣奥義である黒渦潮に似たスキルを草薙という男は簡単に使って見せた


今にも倒れそうな島津の元へ一瞬で移動する...いや高速移動なんて次元では無い、まさに空間を跳躍した様に一瞬で消え一瞬で現れたのだ


「さぁお集りの観客皆様ぁぁ!退魔特殊部隊の皆様ぁぁ!、そしてメディアを通してご覧いただいてる全ての国民の皆様ぁぁ!大注目です」


草薙の声は、マイクもつけて無いのにドーム内のスピーカーやメディアの音声を通し会場に要る人、映像を見てる人すべての耳に届く


「これからお見せするのが、この私草薙の力にして我が神無の目的...目をそらさずご覧ください!!」


すると草薙の体から、黒く禍々しいオーラが溢れ出し無数の触手の様に蠢き出す


「神喰」











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