ネオページをご覧の皆さん、こんにちは。
私の名はブルックス。小説「フィッシャーマンズ・ワーフ」に出てる黒猫の女の子で、年は知らない。
どうして人の言葉を話せるようになったかもわからない。お節介な性格だから、勝手に人の言葉を覚えたのかもね。
ブルックスって名前はね、往年のハリウッド女優から。ルイーズ・ブルックスって黒髪のボブで有名な人がいて、そこから付けてもらった。私と同じ黒猫のルイーズはさ、隙さえあれば家を飛び出してる。ルイーズを探す話、フリーマガジン「TANPENS POCKET」に載ってるよ。関西に住んでる人、ぜひ手に取ってみて。
実は公園で捨てられてたの。気付くとダンボールの中にいた。拾ったのはカナという女の子でさ。アイドルグループの一人なんだ。
カナが住んでる小さな村、覗いてみたくない?
最初に「アルプスの少女ハイジ」をイメージしてごらん。あのような雪山が主な舞台なんだ。
語り手の青年は、そこで育っているの。すごく高い塔が一本あって、彼の住む村からも見える。バー〈ふらんそわ〉から物語は始まるんだよ。このバーの扉を開いた先で、昔話を始めるの。
彼が10歳当時、森の中で経験したこと。それは世にも恐ろしい光景だったわけ。
なぜ今になって話したかっていうと、幼馴染の依頼を受けたから。ジローさんの弟が施設にいて、一緒に連れ戻してほしいって。
施設は治安の悪い地区にあって、ギャングの手じゃないと入れない場所なの。危険を顧みず、ジローさんの弟、忠君に接近しなければいけない理由。ここでは明かせないほど胸が痛むよ。
ジローさんと忠君。それから、宿のスタッフの美沙さん。この人たちを巻き込んでスタートしてる。
村の大人たちに入っちゃいけないって言われてたのに、2回も森の中へ足を踏み入れてしまった青年。彼の運命をたどることが軸になってるの。
第2章から施設内の会話に話は移るよ。旅人のN氏と忠君が話してる。この施設は塔の近くにあって、村からはかなり離れてる。
忠君がここに来た経緯を聞いてると、あの村は決して穏やかじゃないことがわかるよ。
第3章はカナの友達、麟の話。なんと一人森の中へ入っちゃうわけ。
ようやく女子の登場で、ちょっと明るい章かも。カナ、麟、もなこは同じアイドルグループ〈あんせるめ〉として活躍するんだよ。
メンバー3人が、それぞれエピソードを持ってる。
登場人物がそれぞれの章に顔を出して、また別の章で主役になったりする。
この物語って、「短編を合わせたような構成」なの。オムニバス形式に近いかも。全部で9章。時間の通り並べると、こんな感じ。秋から冬、春先までが物語の期間だよ。
Ⅲ 裁きの森 10月
Ⅴ メヌエット 2月
Ⅳ クライバー調査団 前編 3月
Ⅵ クライバー調査団 後編 3月
(以下、3月下旬まで)
Ⅰ 星明りの夜に
Ⅶ 赦しの森
Ⅷ 黒の時代
Ⅱ 白の時代
Ⅸ 遥かなる朝に
N氏がどういう経緯で施設を訪問したのか、それは後半明らかになるよ。
物語上では「星明りの夜に」からスタート。この時点で、いろんなことが起きてるってわかる。
9章を掲載した順に追ってみると、何か気付くことない?
真ん中のメヌエット、クライバー調査団前、後編が幹になってる。左右に同じ数だけ章がある。
これ、大きな木に見えなくない? 「♪この木なんの木」みたいなね。
シンメトリー(左右対称)にした理由、それは物語に出てくる森を現しているの。本自体が森、大きな木とその周辺の話ってわけ。
星明りの夜に
白の時代
裁きの森
クライバー調査団 前
メヌエット
クライバー調査団 後
赦しの森
黒の時代
遥かなる朝に
時間があるとき、ゆっくり読んでみて。
それじゃ、私はこれで。物語の後半、どこにいるか探してみて。きっとルイーズより先に見つかるかも。