5日目の朝
僕とゼンとノンは
無事森の東側にある
目的の遺跡に辿り着いた
今のところは
これといった異変の痕跡は
見受けられない
元々は人が住んでいた
場所だったのか
それとも
神聖な場所として
何かしらの儀式で
使われていたのか
どのような場所だったのかは
風化してわからないが
少なくとも放置されてから
とても長い年月が
経過していることはわかる
「こんな状態だと、
人が立ち寄ることも
ないだろうし」
「魔物が住み着いても
おかしくはないな」
「そうですね。
どこにでもあるような、
長年放置された遺跡...
のように見えますが」
ノンは
そう応えながら
どこか不安そうな顔で
辺りを見渡している
異常な現象に遭遇し
離れ離れになってしまった
仲間を探しているのか
それとも
この遺跡に巣食っているという
鳥型の魔物を探しているのか
「それに話に聞いてた通りに
鳥型の魔物が巣食ってるって
割には、遺跡に入っても
襲ってくる気配はないな」
「まぁ、
とにかく一度その魔物に
接触してみないことには」
「その異常な現象が、
魔物が巣食った
ことによる影響なのか
判断つかないか」
「はい。
もしかしたら、
まだ巣の中にいる
可能性もあります」
「なので、
もう少し周辺の調査を
することにしましょう」
僕も少し高いところから
遺跡の周辺を見渡しているが
僕たち以外に
生物らしきものは
見当たらない
そして
しばらく遺跡の周辺を
調査していると
「キーッ!!!」
鳥の鳴き声が聞こえ
その直後
門のような建築物跡がある
場所の方面から
鳥型の魔物が2匹
飛び出してきた
「あれは、
トメさんが言っていた
ゲリラホークっていう
魔物かもしれないな」
ゲリラホークは
しばらく門跡の上空を
飛び回った後
門跡の近くにある
左右の柱の上に降りていき
僕たちがいる方向に
体と視線を向ける
「もしかして、
来いって言ってるのか?」
「そうかもしれません」
僕たちが視界に入っても
無闇矢鱈に
襲ってこないことを見るに
かなり知能がある
魔物だと言える
「歓迎されているのか...
はたまた罠か...」
ゼンは
そう呟きながら
ゲリラホークの誘いに
乗ることにしたようで
僕たちは
門跡近くまで
移動することにした
僕たちが近くに寄ると
ゲリラホークは
再び空へと飛び上がり
「キーーーーッ!!!」
「マズい!避けろ!」
ゲリラホークは
そのまま僕たちに向かって
一直線に
突進攻撃を仕掛けてきた
直後ゼンは
ノンに飛びつき
ゲリラホークの攻撃から
庇うように身を挺して守る
僕も
素早く後方にステップし
なんとか攻撃を回避した
「大丈夫か、ノン!?」
「はい。
庇っていただき
ありがとうございます」
「やっぱり
罠だったってことか」
「わかりませんが、
私たちへの攻撃は、
今ので終わりでは
ないみたいです」
「この辺りは、
瓦礫で足場が悪い。
動き回りながら
対峙するのは危険か...」
「どうにかして、
相手の攻撃を避けつつ
カウンターを
決められれば...」
そうこうしている間に
ゲリラホークが
2回目の突進攻撃を
仕掛けてきた
僕の方に1体
そして
ゼンとノンの方に1体
向かって行った
僕は
ゲリラホークの攻撃を
ステップで躱すと
すぐさま爪を伸ばして
カウンターを仕掛ける
しかしゲリラホークは
待っていたと言わんばかりに
すぐさま突進の勢いを殺し
爪の攻撃を後方に避けつつ
足で僕を攻撃してきた
僕も
ゲリラホークの足の
カウンター攻撃を
横に跳んで避けたが
足先が少し掠り
横腹に
引っ掻き傷が付いた
しかし
大した傷ではないので
再び次の攻撃に備えて
距離を取った
ゼンは
周辺にある瓦礫から
手頃な石を手にすると
ゲリラホークが
突進してきたと同時に
手にした石を投げつけた
しかし
ゲリラホークはこれも
体を回転させながら
翼を羽ばたかせ横に回避した
2回目の攻撃を終えた
ゲリラホークは
次の攻撃に向けて
再び空高く舞い上がる
「なかなか頭が良いな。
こちらのカウンター攻撃を
確認すると、瞬時に
回避行動を取ってくる」
「ノン、
もう少しだけそのまま動かず
俺の後ろで守らせてくれ」
「わかりました」
どうやらノンは
今いる場所の環境や、
ゲリラホークの頭の良さから
自分は余計に
動かない方がいいと
状況から判断し
ゼンに
身を預けることにしたようだ
ノンが
その場を動かないことが
確認できたなら
こちらも心置きなく
その前提での作戦を
考えられる
突進攻撃を避けてから
カウンターを仕掛けると
カウンター返しを
仕掛けてくるのと
突進攻撃に対して
飛び道具で反撃すると
瞬時に横に回避し
次の突進攻撃のために
上空に舞い上がる
先程の行動パターンを
整理すると
そんなところだろう
僕は情報を整理すると
後者の飛び道具を利用して
更なる攻撃を仕掛ける方法を
思いついたので
ゼンとノンが
いる場所に急いで移動した
僕は
ゼンに作戦を伝えると
ゲリラホークの
次の突進攻撃を待った
そして
ゲリラホーク2体が
僕とゼンとノンに向かって
3度目の突進攻撃を
仕掛けてきたと同時に
ゼンは
再び周囲の石を手にして
2体に向けて投げつけた
案の定
ゲリラホークは
横に羽ばたいて回避すると
再び上空に
舞い上がろうとする
しかし僕は
ゲリラホークが
舞い上がろうとしている
その更に上空から
1体の
ゲリラホークに向かって
爪による
ひっかき攻撃を繰り出した
僕のひっかき攻撃を
まともに食らった
ゲリラホークは
叫び声を上げながら
地面に向かって落ちていく
更に僕は
攻撃を与えた直後に
体を回転させ
落ちていく
ゲリラホークの体を利用して
もう1体のゲリラホークに
向かって再び攻撃を仕掛けた
しかし
さすがにその動きから
予測されてしまったのか
攻撃を回避されてしまった
「ギェェッッ!!!」
だが
僕の攻撃を回避した
もう1体のゲリラホークは
攻撃を回避した直後に
ゼンが投げた石の攻撃を
喰らい
たまらず地面に落ちていった
僕は
落ちていくゲリラホークの
体に捕まりながら
地面に落ちるスレスレで
近くの瓦礫の山に飛び移った
「ナイス!モネ!」
ゼンは右手で
僕は尻尾で
ハイタッチを交わす
「本当に、
見事な連携プレーでした」
ノンは
一瞬で相手の
行動パターンから
対策を思いつき
すぐに実行に移した対応力に
驚きつつ関心していた
一息付いていると
ゲリラホーク2体が
門跡の近くにある
地下へと続く洞窟に
飛んで入って行った
「あの奥が、
魔物の巣ってことか」
「そのようですね。
あの洞窟の奥に
例の大型の鳥型の魔物が
いるのかもしれません」
「よし、
もうひと休みしたら、
あの洞窟の奥に進んでみよう」
「はい」
ノンは
僕の横腹に付いた
引っ掻き傷に効く薬を調合し
傷跡に塗ってくれながら
ゼンは
他の魔物などの警戒のため
洞窟の入り口や
遺跡周囲を見渡しながら
そして
僕は洞窟の奥から感じる
威圧感を気にしながら
それぞれが
目的の魔物との対峙に向けて
備えるのであった