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本作は、ネオページでは数少ない本格的戦記ファンタジーかつ主人公ユーグリッドの成長物語・サクセスストーリーです。作者の区隅憲(クズミケン)さんが本作の魅力として「複雑に人々の思惑が絡み合った政治劇」、「英傑たちが熱い活躍を見せる英雄譚」、「壮大な謀略の果てに栄光を掴む歴史ドラマ」を挙げていますが、実にその通りと感じました。正に私の好きな歴史的な群像劇です。 ユーグリッドは、最初から強い男ではありませんでした。むしろ、覇王の攻撃に恐怖を覚え、無謀な徹底抗戦を決意した父王を殺して降伏してしまった臆病者・卑怯者でした。周囲は即位した彼をそのように見て忌み嫌い、覇王には何度も大金をむしり取られて国が疲弊し、八方ふさがりに陥ります。でも彼はそんなどん底から巧みに這い上がっていきます。色々な守る存在のために強くなろうと決意し、本当に強く賢くなって有力諸侯も味方につけていきます。ユーグリッドが最初からチート・無双ではなく、孤独に悩み、努力の末に強くなって人々の信頼を得ていく様子に共感を覚えます。 舞台設定はとてもユニークです。主人公や皇帝の名前からは西洋が舞台かと思いましたが、諜報員としてシノビが活躍したり、和服や和室が出てきて側近の一部もカタカナですが和風の名前です。政治面での駆け引きも見事でしたが、戦闘シーンもとても迫力がありました。 読了している3割ほどの段階では、敵の覇王の姿は彼の兄弟や臣下を通じて見えるだけでベールに隠されています。そうでなければ、当て馬好きの私は彼にも共感や憐憫を覚えてしまっていたでしょう。群像劇だと舞台や視点がコロコロ変わって読者が混乱することもあるかと思いますが、本作は舞台(ユーグリッドのアルポート王国)や視点(ユーグリッド)が固定されていて一貫しています。 強いて言えば、私は恋愛小説好きなので、ユーグリッドと彼の王妃となったキョウナンの愛の育みももっと読みたかった気がします。でもそれだと戦記ファンタジーにはあまりそぐわないでしょうし、あくまで私のすごく個人的な嗜好です。
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