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第74話 ごく稀にだが、レアJOBが転職先候補として現れることがあるらしい

 ≪クロッシーダイク≫さんたち、ランクAの冒険者パーティーは、ダンジョンコアを破壊するため、ボス部屋のさらに奥へと進んでいった。


 取り残されたのは、わたしと≪アサダ≫さんと≪サポちゃん≫。


 でもまずはインベントリーを覗いて、4人目の依頼書を確認しないとね。

 ずっと緊迫した場面が続いていたから、依頼書が届いていたことにぜんぜん気づかなかったね。


 さてさて、お次の探し人は――。


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 種族 :人族

 性別 :女

 年齢 :16

 職業 :高位神官ハイプリースト/Lv.92

 所属 :猫の眼ギルド

 特徴 :無口。

 ヒント:戦闘マシーンのように見えるが、打ち解けるとかわいらしいのじゃ。

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 おー、次は人族の女の子かあ。

 なかなかにレベル高い!

『猫の眼』ギルドの中でも、かなり上位クラスなんじゃない?


「あ、そうだ。ちなみに≪アサダ≫さんってレベルいくつですか?」


「俺か?『錬金術師アルケミスト』のレベル99だな」


 スラッシュアックスを収納しながら呟くように言う。


「おおー、じゃあもう少しで3次職に転職ですか。さすがサブマス!」


 つまりは≪アサダ≫さんとほぼ同レベルの『高位神官ハイプリースト』を探すってことね。なるほどなるほど。


「俺は『錬金術師アルケミスト』がけっこう気に入っているんだが……転職はJOBツリー次第だな」


 転職間際であること自体はあまりうれしくはないんですね。意外だー。


「『錬金術師アルケミスト』の転職先候補ってなんだっけな……。あんまり知らないかもしれないです」


 AOでは不人気JOBだったし、ホント情報がない……。

 知っているJOBならあれこれアドバイスもできるのになー。


「俺もわりと偏ったビルドをしてきたから、もしかしたらレアなJOBが出現するかもしれないし、そうなったら転職するかもな。一般的な3次職しか候補に出てこないなら、しばらく『錬金術師アルケミスト』のままっていうのも悪くはない。そのうち転職先が増えるかもしれないし」


「えっ、レベル100留めしていたら、転職先って増えることがあるんですか?」


 それは初耳! AOではそんな話は聞いたことなかったよ。転職先は全部固定で選択肢が決まっていたし。だよね、≪サポちゃん≫?


【ここは一部の機能を切り出して疑似的に作られたオーラムオンラインとは異なります。無限の可能性、無限の発展性がある世界なのです】


 無限の可能性ねー。

 AO2ってやっぱりすごいんだー。

 まあ、わたし自身が『配信者ストリーマー』っていうユニークJOBをやっているくらいだから、実際そうなんだろうね。


「ごく稀にだが、レアJOBが転職先候補として現れることがあるらしい。具体的に『こういう仕事をしたい』『こういうスキルがほしい』というように、イメージできているとレアJOBが発現しやすいとは聞いたことがある」


「へぇー、そんなことがあるんですね。知らなかったなー。ちなみに≪アサダ≫さんはどんなJOBをイメージしているんですか?」


 めっちゃ気になる。

錬金術師アルケミスト』なんて不遇なJOBを極めるくらいだから、さぞかしおもしろい夢があるんですよね⁉


「今は薬品を主に取り扱っているが、もっとほかにもいろいろなモノを調合したりかけ合わせたりしたいと思っている」


「いろいろなモノ?」


 ちょっと想像がつかないです。


「そうだな、たとえば……さっき調合に使ったこのボウルだが、これはなぜ複数のポーションを混ぜ合わせても溶けて穴が開かないんだと思う?」


 そう言われて、さっきの3分クッキングの様子を思い出してみる。

 ずいぶん怪しげな化学反応や爆発なんかも起きていたけれど、たしかにボウル自体は溶けたり錆びたりしていない。ピカピカのままだね。すごく不思議!


「これは錬金術用に特別な保護魔法がかけられているからなんだ」


「魔法の効果ですか。それなら納得です!」


 金属の素材次第では相性の悪いものって絶対存在するはずだもんね。何を入れても変質しないなんてことはないはず。


「そう、魔法の効果なんだよ。つまりな、保護魔法があるおかげで手軽に錬金術が試せるわけなんだが、裏を返せば、保護魔法によって阻害されて調合できないモノもあるわけだ」


 魔法のせいで調合できないモノ?

 何を言っているんでしょうか?

 ぜんぜんわかりません!


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