【アークデーモン、全体攻撃を乱発してきます】
このタイミングで⁉
≪アサダ≫さんにポーションを飲ませて回復させないと手遅れになっちゃうのに!
【≪アルミちゃん≫、戦闘に集中してください。≪アサダ≫さんの命を無駄にしてはいけません】
そんな……。
【感傷に浸っていても≪アサダ≫さんは浮かばれませんよ。≪アサダ≫さんだけではありませんね。周りで倒れているランクAの冒険者のみなさんも。ここで≪アルミちゃん≫がやらなければ誰がやるんですか?】
「≪アルミちゃん≫頼むぞ! 最終パターンのアークデーモンは防御を捨てて攻撃に特化している。一撃必殺のタイミングだ! アークデーモンの注意を引くのはオレに任せろ!」
≪クロッシーダイク≫さんが吼える。
攻撃特化⁉
今までのアークデーモンのファイヤーボール1発が掠るだけでも、わたしのHP量だとマジックレジスト込みでギリギリって感じなんですよ……。ヤバくないですか?
【ではアークデーモンにファイヤーボール乱舞をされる前に、とどめを刺しましょう】
「とどめ⁉ わたしでホントにいけるの⁉」
【一撃にすべてのブーストを重ね掛けします。視聴している方々に、追加ギフトのお願いをしてください】
緊張感が高まる。
最後の一撃だぁ!
「みんなー! わたし、あと一撃で倒さないとダメみたい! アークデーモンの魔法乱舞には耐えられそうにないからね! 倒れてしまった≪アサダ≫さんのためにも絶対勝ちたい……。だから力を貸して! みんなの愛のパワーで、わたしにアークデーモンを倒させて!」
お願いします!
助けてください!
“わらわに任せるのじゃ。ラストアタックのためにとっておきのギフトを贈るのじゃ[@ギフト・天まで届く超高層タワーが1個贈られました]”
“タワー⁉”
“マジかよ⁉”
“ここでタワーいくのか!”
“赤を通り越して金ギフトだと⁉”
“<ひめぱないです[@ギフト・スターが30個贈られました]>”
“<ひめぱないです[@ギフト・スターが30個贈られました]>”
“<ひめぱないです[@ギフト・スターが30個贈られました]>”
“<ひめぱないです[@ギフト・スターが30個贈られました]>”
“<ひめぱないです[@ギフト・スターが30個贈られました]>”
“タワーには敵わないが支援[@ギフト・貯金箱が贈られました]”
“アルミちゃんいけるぞー!”
≪ニャンニャン姫≫から『天まで届く超高層タワー』のギフトが贈られてきた瞬間、目の前が一瞬、真っ白な光で包まれてから金色の文字が躍る。まるで耳鳴りのような爆音で『ギフト・天まで届く超高層タワーが1個贈られました』という音声が脳内に流れた。
「うるさっ! ああああ、ありがとうございます! 金文字⁉ 赤より上ってこと⁉」
【金ギフトは……最高クラスのギフトの総称です。1つ受け取れば城が立つと言われるほど高価な……今は戦闘に集中してください】
「は、はいぃぃぃぃ! 姫ありがとぉぉぉぉぉぉ!」
きっと十分すぎるほど十分だよ!
絶対に≪アサダ≫さんの仇は取るからね!
【レベル差ブーストを再申請します。……承認。『Wish List LB』をアンロック】
≪サポちゃん≫早く早く!
アークデーモンの攻撃が来ちゃう!
【『Wish List LB』選択――威力増幅、スキル複製、速度増加、物理防御無視付与、即死攻撃属性付与、即死攻撃確率増加、クリティカル率増加】
すごい……。
めちゃくちゃ追加効果が乗っている!
これならいける!
【≪アルミちゃん≫、今です。スピアブーメラン】
「す、スピアブーメラン!」
文字通り、槍をブーメランのように投げて、敵に貫通攻撃を仕掛ける遠距離物理攻撃スキルだ。
わたしは全身を弓なりに曲げてから一気に背筋を解放。右手に持った槍を力いっぱいアークデーモンに向かって投げつける。
放たれた槍は、まっすぐにアークデーモンに向かって飛んでいく。
途中、レベル差ブーストの追加付与効果で、槍が突如2本、4本、8本、16本と分裂。最終的には……100本以上⁉
速度増加の効果で槍たちの速度が一気に上がる。
音速を越えた槍は、今まさに頭上に溜めた無数のファイヤーボールを放とうとしていたアークデーモンに次々と突き刺さっていった。
「うわっ、エグい……」
100本を超える槍がアークデーモンの全身を貫通した結果、すでに原形を留めていないほど穴だらけに……これ、グロ映像になってない?
次の瞬間、アークデーモンの体がはじけ飛ぶように消える。
遅れて頭上にあったファイヤーボールたちが収束し、静かに消滅した。