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第72話 ここで≪アルミちゃん≫がやらなければ誰がやるんですか?

【アークデーモン、全体攻撃を乱発してきます】


 このタイミングで⁉

 ≪アサダ≫さんにポーションを飲ませて回復させないと手遅れになっちゃうのに!


【≪アルミちゃん≫、戦闘に集中してください。≪アサダ≫さんの命を無駄にしてはいけません】


 そんな……。


【感傷に浸っていても≪アサダ≫さんは浮かばれませんよ。≪アサダ≫さんだけではありませんね。周りで倒れているランクAの冒険者のみなさんも。ここで≪アルミちゃん≫がやらなければ誰がやるんですか?】


「≪アルミちゃん≫頼むぞ! 最終パターンのアークデーモンは防御を捨てて攻撃に特化している。一撃必殺のタイミングだ! アークデーモンの注意を引くのはオレに任せろ!」


 ≪クロッシーダイク≫さんが吼える。


 攻撃特化⁉

 今までのアークデーモンのファイヤーボール1発が掠るだけでも、わたしのHP量だとマジックレジスト込みでギリギリって感じなんですよ……。ヤバくないですか?


【ではアークデーモンにファイヤーボール乱舞をされる前に、とどめを刺しましょう】


「とどめ⁉ わたしでホントにいけるの⁉」


【一撃にすべてのブーストを重ね掛けします。視聴している方々に、追加ギフトのお願いをしてください】


 緊張感が高まる。

 最後の一撃だぁ!


「みんなー! わたし、あと一撃で倒さないとダメみたい! アークデーモンの魔法乱舞には耐えられそうにないからね! 倒れてしまった≪アサダ≫さんのためにも絶対勝ちたい……。だから力を貸して! みんなの愛のパワーで、わたしにアークデーモンを倒させて!」


 お願いします!

 助けてください!


“わらわに任せるのじゃ。ラストアタックのためにとっておきのギフトを贈るのじゃ[@ギフト・天まで届く超高層タワーが1個贈られました]”

“タワー⁉”

“マジかよ⁉”

“ここでタワーいくのか!”

“赤を通り越して金ギフトだと⁉”

“<ひめぱないです[@ギフト・スターが30個贈られました]>”

“<ひめぱないです[@ギフト・スターが30個贈られました]>”

“<ひめぱないです[@ギフト・スターが30個贈られました]>”

“<ひめぱないです[@ギフト・スターが30個贈られました]>”

“<ひめぱないです[@ギフト・スターが30個贈られました]>”

“タワーには敵わないが支援[@ギフト・貯金箱が贈られました]”

“アルミちゃんいけるぞー!”


 ≪ニャンニャン姫≫から『天まで届く超高層タワー』のギフトが贈られてきた瞬間、目の前が一瞬、真っ白な光で包まれてから金色の文字が躍る。まるで耳鳴りのような爆音で『ギフト・天まで届く超高層タワーが1個贈られました』という音声が脳内に流れた。


「うるさっ! ああああ、ありがとうございます! 金文字⁉ 赤より上ってこと⁉」


【金ギフトは……最高クラスのギフトの総称です。1つ受け取れば城が立つと言われるほど高価な……今は戦闘に集中してください】


「は、はいぃぃぃぃ! 姫ありがとぉぉぉぉぉぉ!」


 きっと十分すぎるほど十分だよ!

 絶対に≪アサダ≫さんの仇は取るからね!


【レベル差ブーストを再申請します。……承認。『Wish List LB』をアンロック】


 ≪サポちゃん≫早く早く!

 アークデーモンの攻撃が来ちゃう!


【『Wish List LB』選択――威力増幅、スキル複製、速度増加、物理防御無視付与、即死攻撃属性付与、即死攻撃確率増加、クリティカル率増加】


 すごい……。

 めちゃくちゃ追加効果が乗っている!

 これならいける!


【≪アルミちゃん≫、今です。スピアブーメラン】


「す、スピアブーメラン!」


 文字通り、槍をブーメランのように投げて、敵に貫通攻撃を仕掛ける遠距離物理攻撃スキルだ。


 わたしは全身を弓なりに曲げてから一気に背筋を解放。右手に持った槍を力いっぱいアークデーモンに向かって投げつける。


 放たれた槍は、まっすぐにアークデーモンに向かって飛んでいく。

 途中、レベル差ブーストの追加付与効果で、槍が突如2本、4本、8本、16本と分裂。最終的には……100本以上⁉


 速度増加の効果で槍たちの速度が一気に上がる。

 音速を越えた槍は、今まさに頭上に溜めた無数のファイヤーボールを放とうとしていたアークデーモンに次々と突き刺さっていった。


「うわっ、エグい……」


 100本を超える槍がアークデーモンの全身を貫通した結果、すでに原形を留めていないほど穴だらけに……これ、グロ映像になってない?


 次の瞬間、アークデーモンの体がはじけ飛ぶように消える。


 遅れて頭上にあったファイヤーボールたちが収束し、静かに消滅した。


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