「≪アルミちゃん≫、かわいくお願いできたら俺もギフトを贈ってやろう」
≪アサダ≫さんがニヤつきながらこっちを見てくる。
何この羞恥プレイ……。
知り合いに媚びるのとかマジきついんですけど……。しかも目の前で見られているとか超絶きついんですけど?
【≪アルミちゃん≫覚悟を決めてください。ここで視聴者の心を掴まないと、この先はありませんよ】
わかってますよ……。
やりますって! ≪アルミちゃん≫いきまーす!
「えっとねー、みんなにお願いがあって……。わたしね、みんなからの愛のギフトパワーがないと戦えない体なの。だからね、みんながいっぱいいっぱいギフトを贈ってくれたら、わたし一生懸命戦うから! わたしのこと、応援してほしいなっ♡」
ど、どう……。
これがわたしの精一杯のお願いです……。
【ギフト送付機能をアンロックしました。たった今から≪アルミちゃん≫へギフトが贈れるようになりました】
「えっ、どういうこと?」
【初戦闘時に視聴者に向けて所信表明をするまでは、ギフト機能がロックされた状態なのでした】
「もしかして、ロック状態だったからずっとギフトが0個だったの?」
“<この時を待っていたのじゃ。最初のギフトを贈るのはわらわじゃ![@ギフト・スターが1000個贈られました]>”
“<ひめのおかんがえにさんせいします[@ギフト・スターが10個贈られました]>”
“<ひめのおかんがえにさんせいします[@ギフト・スターが10個贈られました]>”
“<ひめのおかんがえにさんせいします[@ギフト・スターが10個贈られました]>”
“<ひめのおかんがえにさんせいします[@ギフト・スターが10個贈られました]>”
“<ひめのおかんがえにさんせいします[@ギフト・スターが10個贈られました]>”
“アルミちゃんがんばれ[@ギフト・スターが10個贈られました]”
“初戦闘おめ[@ギフト・スターが20個贈られました]”
“いつも楽しんでいるよ[@ギフト・かき氷が10個贈られました]”
“<姫様に続け[@ギフト・スターが50個贈られました]>”
“やっと贈れるようになったかw[@ギフト・スターが30個贈られました]”
「すごい……ログが見切れないくらいいっぱい……」
こんなにもたくさんの人がわたしにギフトを贈ってくれている。
なんかすごい……。
感動しちゃう……。
「約束だ。俺からもギフトを贈ろう」
“俺からもギフトを贈ろう[@ギフト・怪しいポーションが100個贈られました]”
≪アサダ≫さんの声とダブって、ギフトが贈られてくる。
「あああありがとうございます! 怪しいポーションって何……?」
「スターだと味気ないと思って、ちょっとお高いギフトを買ってみただけだ。気にするな」
≪アサダ≫さんが照れたようにそっぽを向く。
「お高いギフトって……ほかのと違って紫色の文字だ。色でレアリティが分かれているのかな。ギフトって配信サービスのショップかどこかで買ったものを贈ってくれているんですよね?」
「今オープンしたギフトショップから購入したぞ。冒険者コンソールに紐づいているから、購入したギフトの代金はチャージした所持金から自動引き落とししてくれる。この電子マネーというシステムはとにかくこれは便利だな。最初は何だと思ったが、≪アルミちゃん≫の配信を見る以外の機能もすごく便利だよ。もう手放せないシステムだ」
【お褒めに預かり光栄です。ご使用いただきありがとうございます。これからもどうぞご贔屓に】
「この電子マネーのおかげで劇的に冒険者生活が……それだけじゃないな。普段の生活も変わったな。何も冒険者だけが使うシステムではないし、俺としてはこれからもずっと使用したいとは思う」
≪アサダ≫さんと≪サポちゃん≫は何の話をしているんだろう。
雰囲気的に、≪サポちゃん≫が何かシステムを提供している、のかな? ギフトを買って贈る機能? でもそれってわたし専用の機能だよね。普段の生活にもギフトを使うの? でもどうやって?
「おい!≪アルミちゃん≫、まだか⁉」
“おい!≪アルミちゃん≫、まだか⁉[@ギフト・スターが50個贈られました]”
切羽詰まった大声で叫びながらも、ちゃんとギフトを贈ってくれる≪クロッシーダイク≫さん。意外と余裕があるのかな?
【多数のギフト着弾を確認。『
「おお! みんなありがとう! スキルが使えるようになったよ! 槍のスキルがいっぱいだ!」
スキルリストが解放されると、自然とどんなふうにそれを使えば良いのかイメージが湧いてくる。完全に初めてのJOBなのにすごい。これがシステムアシストの力なのかな。
【それではいきましょう。いよいよ初戦闘開始です】
「よしきたー!≪アルミちゃん≫、今度こそいきまーす!」