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第22話誇り高き龍騎士と未来の宮廷魔導師


「お初にお目にかかります。龍騎士隊より勇者様の護衛を仰せつかりました【セイナ・グランガラス】と申します。得意武器は槍。近接戦闘は勿論、ドラゴン族を使役する空中戦はお任せください」


 白銀色の鎧と羽根兜を被った少女。


 体を守る装甲は全身には及んでおらず、肩や太ももなどの至るところが露出しているセクシーデザイン。


 背中のライン、キュッと上向きなお尻、筋肉質だがスラリと伸びた足を惜しげも無くさらしている。


 それを着用しているのはキリリとした鋭い目付きを特徴に持つ銀髪褐色ロングヘアの女龍騎士。


 ヒロインの一人である【セイナ・グランガラス】だった。


「あの、えっと。同じく初めまして。宮廷魔導師ゴゴマールの一番弟子、魔導師の【フローラ・アルムデニーズ】と申します……」


 キリリとしたセイナと相反するようなオドオドした雰囲気を持つ爆乳お姉さん。


 純愛ファンタジーゲームといえど、エロゲ予備軍と名高い激カワヒロイン達を代表するエッチなお姉さんタイプのヒロインが彼女だ。


 光沢のあるライトブラウンカラーの髪に華奢な肩。曲線を描くくびれの抉れ具合。相反するように突き出た桃の形。


 そしてプリーツのミニスカートからはみ出すむっちり太もも。


 気を引き締めないとエロい目で見てしまうから気を付けなければ。


 流石に本編の二年前だけあって、その成長は緩やかだが、既にその片鱗が隠し切れていない。


(フローラは設定資料集の通り、今の段階ではオドオドした性格なのか)


 ゲーム本編だと冒険して成長を遂げた後という事もあり、フローラの性格は「あらあら、うふふ」みたいなセリフが良く似合うお姉さんヒロインという側面が強い。


 魔王討伐の冒険前は臆病な性格だったという記載がプロフィールにあったが、確かにこれはこれで味のあるヒロイン像として成立している。


 2人はマド花においてはコンビで描かれることが多いことで有名な高い人気を誇るヒロインだ。


 セイナは【半龍人族ハーフドラゴニュート

 フローラは【魔人族】という特殊な種族だ。


 まあこの辺の詳しい話はいずれするとしよう。


 今回俺は、3ヶ月後からの勇者パーティーの旅に随行するためにメンバーの顔合わせを行なったのだが、そこへ急遽組み込まれてこの場にいた。


「それで?」


 キッとキツい目付きが俺を鋭く睨み付ける。


「なぜ貴様のようなブタがこの場にいる?」


「あ、あの、セイナちゃん、あんまり目くじら立てちゃダメだよ。でも、予定になかったルインハルド家の三男さんが、どうしてここにいるのか、私も知りたい、です」


 本来なら女3人でするはずだった旅に、突然男が混じることが決定したのだからいぶかしむのも仕方ない。



「申し遅れました。シビル・ルインハルドと申します」


「そんなことは分かっている。私達が聞いているのは、何故貴様がこの顔合わせの場に同席しているのかということだ!」


 ごもっともな疑問だな。


「それは勿論、私も皆様の旅に同行するからです」


「そ、それはちょっと納得しかねます。一体どうして女3人の旅に男性が同行する話になったのですか」


 それは俺も聞きたい。ガイスト公爵から突然ここに来るように言われ、寝耳に水状態でこの顔合わせの場にいるのだ。


 誰か詳しく説明してほしい。


「あ、あのっ……。それについては私から、教皇様からの伝言で、やはり女性3人の旅路には余分な危険が伴うので、虫除けとして男性随行、らしい、です……」


「納得いかんっ! そっちの方が余計な危険をはらみそうではないか。なんでよりによって悪評高いブタゴブリンが選ばれるのだっ!」


 ごもっともすぎて「そうですね」としか言えないな。


 大体にしておかしいのだ。


 いくら有望な才能を持つ勇者、魔導師、龍騎士とはいっても、まだ中等部の年齢の少女三人だけで旅に出す判断をするなんて狂っているとしかいえない。


 神託が下ったのだと言われればそれまで。


 それがこの世界の常識だ。そしてこれはゲームの世界だ。


 ゲームに限らず創作物の世界にはしばしばこういった「なんでやねん」という事項が存在する。


 これもその中の最たる例だろう。



「やっぱりちょっとその姿は生理的に……。せめて目鼻立ちの整った殿方なら……」


 ゲーム内でもちょっとした誤解から主人公にキツく当たるセイナと、それをいさめつつもさり気なく本音を隠しきれないフローラという感じだ。


 2人は正反対の性格をしているが、小さい頃から親友同士という設定で描かれている。


 特にフローラはオドオドお姉さんでチョロそうに見えても非常に身持ちが堅く、人見知りな所もあってか好感度が相当に上がりにくい。


 逆にセイナは最初の当たりこそキツいが、ゲーム中盤にあるイベントで、ひとたび主人公を認めると好感度がドンドン上がっていくチョロイン枠として登場する。


「問題は貴様が男であることと、我らの旅に同行するほどの腕があるのかということだ」


「私が男であることはどうしようもありませんが、腕の方は問題ないと思います」


「貴様。誇り高き龍騎士である私と、将来の宮廷魔導師と呼び声が高いフローラを前にして大見得を切ったな」


 今の彼女達はエミーと同じ上位教室の学生なので、この間の決闘は見ていた筈だが、やはりそう簡単には認めてくれないか。


「もちろん、お三方の信用できない気持ちも理解できます。故に、出立までの3ヶ月で私が信用できる人間か見極めていただければと思います」


 【セイナ・グランガラス(女)】ハーフ龍人ドラゴニュート 龍騎士

――友好度【最悪】


 【フローラ・アルムデニーズ(女)】魔人族 魔導師

――友好度【最悪】


 やはり二人とも最悪か。これは攻略のし甲斐があるぜ。


 さて、次なるヒロインは一気に三人。

 エミーの時はベリーイージーだったが、今回は真逆のウルトラハードモードらしい。


 だけど俺が愛してやまなかったマド花ヒロイン達だ。

 彼女達の良い所も悪い所も、俺は知り尽くしているのだ。


 やってやるぜ。

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