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第62話秘境霊峰の温泉

『さあ、こちらが霊峰ドラグニートの神聖な泉です』


「おおっ、これってまさか」


 そこは洞窟の奥に存在する神秘的な水晶に囲まれた美しい泉だった。


 魔力を含んだ水晶が淡い虹色の光を発し、下から湧き出る泉に幻想的なプリズム反射を作り出している。


「うわぁああ、綺麗っ」

「なんて美しい光景でしょうか」


「うむ。素晴らしい。しかしこの泉は……」


 その泉からはほかほかと湯気が立ち上り、指を付けてみるとジンワリと心地良い熱を伝えてくれる。


「これ、温泉だ」


「オンセン?」


「ああ、簡単に言うと天然の風呂だ」


「お、お風呂ですかっ⁉」


 このゲーム世界にも風呂は存在する。


 本編だと学園生活が中心だったので普通に風呂はあったが、温泉というのはなかったな。


「お、お風呂ッ……お風呂なんですか?」

「ああ。温度も丁度良いし、危険な成分は含んでなさそうだ。入れるぞ」


「うわっはぁ~! お風呂だ~~~~♪」


 一番先に大喜びの感情を解放したのはホタルだった。


「シビル君、一緒に入ろうよ」

「そうだな。皆一緒に恋人になった記念もあるし、裸のお付合いといこうか」


「は、はわわっ……♡ し、シビル様と裸のお付合い♡」

「うむっ。風呂というのも贅沢なのに、主にご奉仕できるとは幸福の極み」


 ホタルに続いてフローラもセイナもいそいそと衣服を脱ぎ始める。


 つい先ほどまで緊迫した戦いの連続だっただけに、心を解放できるこの瞬間を全力で楽しんでいるようだ。


「ん……ちょっと深いな。座ってリラックスするには適していないようだ」


 お湯に浸かれるだけありがたいが、中腰にならないと肩まで浸かれない。


 中途半端な深さなので体をリラックスできない。


「我が主よ。岩場でゴツゴツしていてはリラックスできません。是非私の体を敷物としてお使いください」


 セイナは自ら岩風呂の中に入り、両手を広げて誘ってくる。


 体の大きな彼女は確かに俺の体をスッポリ納めてもまだ余るほど大きい。


 彼女の場合、夜の営みの時は退廃的なドMになる。


 自ら椅子になって、そのうえに乗っかってフローラを抱いた時は、その振動だけで絶頂していたくらいだ。


 それにプラスして、このシビルの体は背があまり高くないのだ。


 今の時点で190近くあるセイナに対して、俺の身長は155センチくらいしかない。


 しかしそれでも座高が足りない。


 するとセイナは待ってましたとばかりに、得意げな顔をする。


「心配ないぞ我が主。先ほどの戦いで新しい技を身につけた……。むぅうんっ」


「わわっ、セイナちゃんが大っきくなった」


「龍化スキルの応用で


「よし、じゃあ頼むよセイナ。ホタル、フローラ、俺の前に来い。セイナの足の上に乗っかれ」


「せ、セイナちゃん、大丈夫なの?」

「もちろん大丈夫だ。こういう時のためにデカい体をしているのだ」


 セイナの座った膝の上に腰を下ろし、背中は彼女の大きくて弾力のあるおっぱいに包まれる。


「ああ、良い気持ちだ。温泉のあったかさに加えてセイナの体温も心地良い」


「光栄の極みにございます我が主」


 セイナの乳房にはコリコリとした乳首がしっかりと現出していた。


 彼女達も意識すれば肉体はエロ同人仕様になるらしい。


「ああ、我が主の背中の感触……。それを支えることができる至福の極みにございます」


「ああ。俺もセイナに包まれる感触が大好きだ。さあホタル、フローラおいで。みんなで一緒に入ろう」


「はいシビル様」

「セイナさん、痛かったら言ってね」


「問題ないぞホタル。君たち三人の体重くらいでは、この体はビクともしないからな」


 確かに天然の岩場はゴツゴツしていてゆっくり浸かるために座るのに適していない。



 セイナの弾力がありつつも、しっかりと女の柔らかさを有している肉の座布団とでもいうべき膝とおっぱいの感触で心地良く浸かることができる。


「ああ、いいな……我が主に組み敷かれている時と同じくらい心地良いぞ。岩に食い込む皮膚に掛かる体重がミシミシと……」


 セイナも中々極まっている。献身的と退廃的ドMが紙一重というわけだ。


「ふわぁ~、気持ち良い~」


 ホタルは俺の膝の上で気持ち良さそうに伸びをする。

 戦いの連続で疲れ切った肉体に温泉の温かみが染みこんでくるようだ。


「この温泉というお風呂、お湯に多量の魔力が含まれているようです」


『この霊峰ドラグニートにはマナが豊富な大地の流れの合流地点に存在している。魔導師であるそなたなら、浸かっているだけで魔力の底上げになるだろう』


「ほ、本当ですか」


「それならここのお湯をアイテムボックスに収めておくか」


「液体を収めておく容器がありませんけど」

「ああ、俺のアイテムボックスは改良してある。液体そのまま入れておいても他と混ざることはないよ」


「え、ほ、本当に。それって凄い魔法ですよ。アイテム化できるなら国宝級です」


「そうか。じゃあ平和になったら売りさばいて一財産儲けるか」


「や、やめた方がいいですよ。絶対目を付けられます」


「まあその辺はエミーがなんとかしてくれるだろ。さて、とりあえずこれからの方針だけど、そこら辺を話しておこうと思う」


 俺の言葉に全員の顔に緊張が走る。


「まず、あと10日ほどこのドラグニート周辺のドラゴン達相手に修行しようと思う。俺は皆の強さを数値化できるスキルを持ってるから、十分だと判断したら魔王の元に向かおう」


「ま、魔王がどこにいるかご存じなんですか?」


「ああ。俺の知っている通りなら、魔王はここから北西にあるベルクリフト大森林の奥地にある遺跡ダンジョンの中で誕生し、その後で魔皇国の北にあるバレルゴール山の中腹に城を建設するはずだ」


『ふむ。確かにあの方向には奇妙な魔力を感じておりました。魔王であったとは。今はそれほど強くは感じませぬが』


「ああ。今はまだ魔王として覚醒していないはずだ。奴が覚醒すると世界中の魔物が凶暴化するから、それが合図となって戦争が起こる筈だ。できればその前に決着を付けたい」


『では我の背中で遺跡までご案内いたしましょう。その魔力の出所なら把握しております。上空から乗り込めば大森林の迷路を通らずに済みましょう』


「なるほど。それはありがたいな」


 ベルクリフト大森林は、別名『迷いの森』と呼ばれるほど広大なダンジョンとなっている。


 途中に『ベルクリフトエルフ評議国』があり、そこを拠点としてダンジョンを攻略するのが本筋だった。


『ふむ。エルフの国ならば我を信仰している筈なので拠点にすると良いでしょう。遺跡のダンジョンはあの国のエルフが管理している筈なので、一度立ち寄って我が許可を出させましょうか』


「それはありがたいな。頼むよサダル」


『御意』


 渡りに船だった。小説本来の流れだと、ホタル達はエルフから誤解を受けながら戦いに巻き込まれ、和解するまでに時間が掛かる。


「では次なる目的地はエルフの首都、タークフォレストですね」


「ああ。その前にまずは修行だ。明日からまた大変だから、今日はゆっくり疲れを癒やそう」


「あ、あの~シビル君」

「どうしたホタル?」

「えっとね、今日さ、いっぱい戦ったし、セイナさんもフローラさんも、いっぱいいっぱい頑張ったよね」


「そうだな。みんな立派な戦いだった」

「それに、シビル君も沢山戦って、私達を守ってくれたし……」


 何か言いたげにモジモジと言葉を遠回しに紡いでくるホタル。


 もうここまで言われれば何がしたいのかよく分かる。

 だけどホタルの口から言わせたい。


「うむっ! 我が主の昂ぶった熱をぶつけてほしいっ!」

「わ、私も……ご褒美、ほしいです」


 遠慮の無いセイナと乗っかるフローラ。


「はは。それじゃあお疲れ様会を開こうか」


「えへへ、言わなくてもわかっちゃう?」


「言わせたいな。ホタルは何をして欲しいんだ?」


「そ、それはその……え、エッチ、してほしい」


 そんな奥ゆかしい反応を見せるホタル。

 俺が戦いの熱量をぶつけてハッスルしてしまったのは言うまでもない。


【第6章 魔人族の覚醒と託される力 完】


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