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第141魔:未来永劫

「おかしいと思ってたのよ。マヲシスターがあんたを喰った後、バブ君がいつもみたいに決着宣言をしなかったからね」


 沙魔美はマヲちゃん(いや、ノーズェ?)を見据えながら解説を始めた。

 決着宣言?

 ああ、オーゼットが勝負がついた時に言っている、「勝者○○くん。コングラチュレーション」ってやつか。

 あの時はノーズェの畜城が一瞬でマヲちゃんに喰われて呆気にとられてたから気付かなかったが、確かにあの時だけはオーゼットは決着宣言をしてなかったな。


「それでもしやと思ったのよ。ひょっとして勝ったのは、んじゃないかってね」

「ふ……ふふ……」

「アハッ、見事な推理だね沙魔美くん。僕も伏線を張った甲斐があったよ」


 オーゼットはうんうんと満足そうに頷いている。

 自分で伏線とか言っちゃうんだ……。


「ま、私も確信したのは今さっきだけどね。私が畜城を発動した瞬間、観客席からもう一つの畜城の波動を感じたの。どうやら畜城使いは畜城使いにひかれ合うらしいわね」


 何そのスタンド使いはスタンド使いにひかれ合うみたいなの!?


「ふ……ふふ……、私も感じていますよ、あなたの畜城の波動を……」


 本当にこの子は、マヲちゃんじゃなくノーズェなのか……。


「大方美食家グルメの身体を乗っ取った戸〇呂兄みたいな状態なんでしょ?」


 また懐かしいネタ出してきたな。

 今の若い子に通じるかなそれ?


「ふ……ふふ……、まあ、そうですね……」

「……マヲシスターは生きてるんでしょうね?」


 っ!!


「ええ……、私の中で眠ってますよ……」

「……そう」


 そ、そうか……。

 それは不幸中の幸いだ。


「アハッ、ということで、蓋を開けてみたら決勝戦の対戦カードは大本命だった魔女対決になったってわけだね。いいねえ、ベタだねえ。僕はベタな展開が大好きだよ」


 創造神様はニッコニコである。


「さてと、では泣いても笑ってもこれが本当に最後の勝負だ」


 オーゼットがステッキでコツンと地面を突くと、一瞬で大穴の開いた闘技場は修復された。

 そしてリーブルは観客席に戻され、その代わりにノーズェが闘技場に転送された。


「ふ……ふふ……、これでやっと私も元の姿に戻れます……」


 ノーズェがそう言うや否や、マヲちゃんの形をしたノーズェの身体はボコボコと膨れ上がり、それはノーズェと、ノーズェの畜城である【G・N・B】の姿になった。

 本当にあれはマヲちゃんじゃなくノーズェだったんだ……。

 すると【G・N・B】の大蛇の一匹が、闘技場の上に何かを吐き出した。

 ――それはマヲちゃんだった。


「マ、マヲちゃん!!」


 マヲちゃんはクークーと寝息を立てている。

 よかった……、生きていたんだね。


「ふ……ふふ……、この可愛らしい魔王さんが私の中にいたんじゃ……、あなたも全力で戦えないでしょう……?」


 っ!


「フフフ、陰キャ女にしては気が利くじゃない」


 沙魔美が指をフイッと振ると、マヲちゃんは真衣ちゃんの手の中に転送された。


「うわっと!?」


 真衣ちゃんはマヲちゃんを、慌てて抱きかかえた。


「ちょっと悪しき魔女! 急に転送したら危ないじゃないですか!」

「フフフ、マイシスターなら安心してマヲシスターを任せられると思ったからね」

「そっ! ……そう言われたら、何も言えなくなるじゃないですか」


 真衣ちゃんは顔を赤らめた。

 何だかんだ仲良いよな、この姉妹も。


「アハッ、因みに決勝戦の舞台は特別仕様にするよ」


 え?

 オーゼットがステッキでコツンと地面を突くと、闘技場全体が透明な半球状の膜で覆われた。


「この決勝戦は壮絶な戦いになることが予想されるからね。その膜はバリア代わりさ。それは絶対に破れない仕様になってるから、その中で何が起ころうと、観客席こちらには一切影響がないよ。存分に全力を出したまえ、二人共」


 ……!


「ふ……ふふ……、お心遣い感謝いたします、オーゼット様……」

「フフフ、そうね、最後はこうでなくっちゃね」


 沙魔美とノーズェは、隔絶された戦場で睨み合った。

 雄大な畜城同士が相対している様は、さながら怪獣映画のようだった。

 ……そうか、今わかった。

 だから闘技場は、これだけだったんだ。

 こんな巨体が二体も一つの闘技場に乗るなら、これくらい広くないと乗りきらないし、闘技場が正方形だと、カドのほうに行ったら身体の一部が場外に出てしまう。

 つまりオーゼットは最初から、沙魔美とノーズェが二人共畜城を発動した状態でぶつかり合うことを予想していたってことだ。

 ……つくづく人類俺達創造神オーゼットの手のひらの上で踊らされているらしい。


「アハッ、この戦いは宇宙史に刻まれる激闘――いや、劇闘になることだろうね。オーワングランプリ決勝戦――始め」


 これで全てが――終わる。




「先手必勝!」

「っ!」


 沙魔美の【S・I・R】は、その巨体を物ともしないスピードでノーズェの【G・N・B】と距離を詰めた。


「そいやー!」


 ズバシャアァッ


「ああああああああッ」


 そして【S・I・R】の右手の長大な爪で、【G・N・B】の大蛇を一振りで三匹分も一刀両断した。

 うおお、あの爪の切れ味も尋常じゃないな。

 が、案の定その切り口からは、ノーズェの鮮血が噴き出てきた。

 危ないッ!


「そいやーそいやー!」


 ズバシャアァッ


「「「!?」」」


 沙魔美は自身に降り掛かってきた血を、【S・I・R】の爪で振り払った。

 何やってんだ沙魔美!?

 自分からその血に触るやつがあるか!?


「フフフ、心配しないで堕理雄。この爪を見てよ」

「え?」


 沙魔美がかざした【S・I・R】の爪を見ると、そこには一滴の血も付着してはいなかった。

 ニャッポリート!?


「そ……そんな……」


 流石にこれにはノーズェも面食らっている。


「この爪は触れたものを完全にこの世から消滅させるの。この爪がある限り、あんたの血なんか怖くないわよ」


 何だそのチート能力は!?

 虹村億〇のスタンド能力みたいだな。

 でもこれならサマミが圧倒的に有利だな!

 これは勝ったか!?


「……」


 ノーズェは感情が読めない顔で沙魔美を見つめている。

 ――が。


「ふ……ふふ……」

「っ?」


 不意に不敵な笑みを浮かべた。


「実は私の畜城には……大した能力はないんです……」

「……何ですって?」


 っ!

 ほ、本当か……?


「あるとしたら一つだけ……。ことくらいです……」

「なっ!?」


 えっ!?

 ――その時だった。

 沙魔美が斬った部分だけでなく、その他の大蛇の口と、亀型ロボの口からも滝の様に血液が流れ出てきた。

 あ、あれは!?


「ふ……ふふ……、これだけの量の血でも、全てその爪で捌けますか……?」

「くっ!」


 その血液は尚も勢いを増し、それは津波のようになって沙魔美に襲い掛かった。

 あれがノーズェの畜城の能力か!?

 何が大した能力はないだ!

 これ以上なく凶悪な能力じゃないか!

 少しでも触れただけで敗けが確定する液体を、無限に生成して自在に放出できるなんて、まるで意思を持った災害みたいな存在だ。


「チィッ!」


 沙魔美は堪らず【S・I・R】に生えている翼で空中に退避した。

 ――闘技場は文字通りの血の海となっていた。

 オーゼットがバリアを張っていなければ、あの血が観客席まで溢れて大惨事になっていただろう。

 だからオーゼットはバリアを張ったんだな……。

 だが、バリアで闘技場が密閉されているせいで血液は行き場をなくし、湯船に湯が溜まるみたいに、徐々に水位が上がってきた。

 このままじゃいずれあの中はノーズェの血液で満たされてしまう!


「ふ……ふふ……、どうしますか……? もう後がありませんよ……?」


 ノーズェは亀型ロボの部分で自らの血の海に浮かんで、口端を片側だけ吊り上げながら、空中にいる沙魔美を見上げた。

 そうしている内にも、どんどんと血の海の水位は上がっていく。


「……フン。陰キャらしい、陰湿な戦い方ね」

「ふ……ふふ……、これでもまだ軽口が叩けますか……?」

「は? 何を言って――なっ!?」


 その時、突如【S・I・R】の真下辺りの血の海の中から、【G・N・B】の大蛇の一匹が顔を出してきて、【S・I・R】の足首に噛みついた。

 そんなッ!?

 ノーズェは沙魔美に気付かれないように、大蛇を一匹だけ血の海の中に潜航させていたのか!?


「さあっ……あなたも私とお友達になりましょう……!」

「くうううっ!!」


 そのまま【S・I・R】は血の海に引きずり込まれた。

 さ、沙魔美ッ!?


「アアアアアアアアアアアッ!!!」


 すると突然沙魔美はもがき苦しみながら、口から血を吐いた。

 なっ!?

 何が起きたんだ!?


「ふ……ふふ……、どうやら私の故郷の星でごく稀にその存在が確認されている、『滅血病めっけつびょう』という病気を、発症してしまったようですね……」


 滅血病……!?

 何て不穏な響きがする病名だ……。

 ノーズェの血に大量に触れてしまった影響で、そんな極めて特殊な病気に罹ってしまったのか!?

 ……。


「滅血病は身体中の血液が無くなるまで血を吐き続ける病気で……、発症してしまうと十数秒で死に至る……、とても恐ろしい病気です……。ふ……ふふ……」


 何ッ!?


「沙魔美ィ!!!」


 もういいッ!!

 もういいから降参してくれ沙魔美!!


「フフフ……、それを聞いて……!」

「ふ……ふふ……?」


 沙魔美!?

 何を言ってるんだ!?

 極度の血液不足で意識が朦朧としてるのか……!?


「ハアアアッ!!」

「な……!」


 沙魔美は【S・I・R】の左腕をノーズェにかざして鎖を伸ばし、ノーズェを【G・N・B】ごと雁字搦めに拘束した。


「何をしているんですか……!? 降参しなければあなたは数十秒後には死ぬんですよ……!?」

「ええ……。つまりあと、いいんでしょ?」

「そ、そんな……!?」


 沙魔美……!

 【S・I・R】のドラゴンの口が大きく開き、その照準がノーズェにセットされた。


「これで終わりよ!! 伝説の究極奥義ワンコゼメサソイウケスパダリゲコクジョウオソイウケベーコンレタスバーガーバスターーー!!!!」


 チュドボオオオオオオオオオゥ


 ドラゴンの口から極大のエネルギー波が放出され、ノーズェに直撃した。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 ノーズェの【G・N・B】は砂の城が波にさらわれたみたいに、原形もなく崩れ去った。

 それと同時に、闘技場を満たしていた血の海も跡形もなく蒸発した。

 後にはうつ伏せで横たわっているノーズェだけが残された。


「ハァ……ハァ……、ガハッ」

「沙魔美!?」


 どうやら沙魔美も限界だったらしく、沙魔美の【S・I・R】も崩壊した。

 そして沙魔美もノーズェ同様、うつ伏せに倒れた。


「沙魔美ーーー!!!」

「アハッ、まさか相打ちとはね。でもせっかくの決勝戦で、結果が引き分けじゃ締まらないよね。――ということで、先に立ち上がって右腕を天高く掲げた方を勝者とするよ」

「っ!!」


 そんな……。

 もう既に二人共、立ち上がる気力さえ残っていないように見えるが……。

 ……だが、これで沙魔美が立てれば沙魔美の優勝だ。


「沙魔美ィ!! 立ってくれ沙魔美ィ!!!」

「悪しき魔女ー!!!」

「沙魔美氏ー!!!」

「魔女ー!!!」

「沙魔美さーん!!!」

「ママー!!!」

「マイレディー!!!」

「師匠の彼女さーん!!!」

「師匠さんの彼女さーん!!!」


 俺達はみんなで、力の限り沙魔美に声援を送った。

 頼む……!

 沙魔美――立ってくれ!


「ふ……ふふ……」

「「「!!」」」


 が、無情にも最初に立ち上がったのはノーズェだった。

 あ、ああ……、沙魔美……。


「……オーゼット様」


 ノーズェは首だけをオーゼットの方に向けた。


「アハッ、何だいノーズェくん」

「……申し訳……ございません……」

「「「!!!」」」


 それだけ呟くと、ノーズェは仰向けに倒れて天を仰いだ。

 ……ノーズェ。


「……フフフ、ありがとうみんな」

「「「っ!!」」」


 今度は沙魔美がフラフラになりながらも、地に足をつけて立ち上がった。


「みんなの声……、ここに響いたわよ」


 沙魔美は左手の親指で、自らの胸を指した。

 そして――右腕を天高く掲げたのだった。


「アハッ――お見事。栄えあるオーワングランプリ優勝者は、愛のために生まれ愛のために生きる魔女、沙魔美くん。コングラチュレーーーーション」

「「「ワアアアアアアアアアアアッッ」」」


 オーゼットがステッキでコツンと地面を突くと、闘技場のバリアは解除され、会場中を覆う程の紙吹雪が、天から降り注いだ。


「沙魔美ーーー!!!!」

「悪しき魔女ーーー!!!!」

「沙魔美氏ーーー!!!!」

「魔女ーーー!!!!」

「沙魔美さーーーん!!!!」

「ママーーー!!!!」

「マイレディーーー!!!!」

「師匠の彼女さーーーん!!!!」

「師匠さんの彼女さーーーん!!!!」


 映画であれば感動的なBGMが流れながらスローモーションになっているであろうシーンの中、俺達はみんなで沙魔美の下に駆け寄った。


「沙魔美ィ!!」


 そして俺はいの一番に沙魔美を抱きしめた。


「……フフフ、どう? ちょっとは私に惚れ直したかしら、堕理雄」

「ああ……。惚れ直した……、惚れ直したともさ」


 俺は強く、強く、沙魔美を抱いた。


「ぐぬぬぬ、今日だけは特別ですからね悪しき魔女!」

「おめでとう沙魔美氏! 私、沙魔美氏なら勝てるって信じてたよ」

「流石ウチのライバルやな魔女。まあ、ウチならもっと楽に勝ててたけどな」

「沙魔美さん、これ、パスそば追加で作ったんでよかったら食べてください」

「ま、私は未来のママから聞いて、ママが優勝するって知ってたんだけどね」

「ハッハー! 是非とも次の玉塚歌劇団の舞台では、マイレディを主役として招待したいよ!」

「おめでとうございます師匠の彼女さん! ところで、B漫画の編集者の方って女性が多いんですかね? 今度紹介していただけませんか?」

「もう! 琴男君には私がいるでしょ!」

「ふわあああ、よく寝たー。あれ? やっぱりお姉ちゃんが優勝だったんだね。おめでとー」


 真衣ちゃんに抱かれながら寝ていたマヲちゃんも目を覚ました。

 そしていつの間にか沙魔美への呼び方が、『魔女のおねえちゃん』から『お姉ちゃん』に変わっていた。


「アハッ、いやあ、実に楽しい一日だったよ」

「「「!!」」」


 オーゼットの声がすぐ後ろから聞こえたので、我に返った俺は沙魔美から離れて振り返った。

 するとオーゼットが、倒れたノーズェの隣に立ってこちらを見ていた。


「僕も5億年生きてきたけど、今日が一番感動したよ。――ありがとう沙魔美くん。そして勇敢な戦士達」


 オーゼットは観客席のキャリコやリーブル達にも労いの言葉を投げ掛けた。


「ンフフフ、第二回オーワングランプリが開催されたら、また呼んでください。次こそは私が優勝してみせますわ」

「ふっふっふ、私はもう二度とゴメンだね」

「フン、私は自分のために戦っただけよ。別にバブ君を楽しませるためにやったんじゃないわ」


 沙魔美はすげなく言い返した。


「アハッ、それはそうだよね。いやあ、年甲斐もなくテンションが上がっちゃったよ、ゴメンゴメン。――では、これより優勝賞品の授与式を執り行うよ」

「「「!」」」


 ……そうか。

 優勝者はオーゼットから、何でも一つ願い事を叶えてもらえるんだったな。

 いったい沙魔美は何をお願いするつもりなんだろう……?


「フフフ、そうね。私が叶えてほしい願いは――」

「「「……」」」


 会場中が、固唾を呑んで沙魔美の口から出る言葉を待った。


「――

「「「!!!」」」


 ……沙魔美。


「――アハッ、本気かい? こんなチャンス、逃したら二度と巡ってこないかもしれないよ?」

「バブ君こそ私をバカにしないで。言ったでしょう? 私はそこの陰キャ女に堕理雄を奪われたくなかったから、自分のために戦っただけよ。それに――」

「……それに?」

「願いってのは、価値があるの。誰かに与えられたものじゃ、本当の意味で願いを叶えたことにはならないわ」


 っ!!

 ……沙魔美、お前はやっぱ、カッコイイな。


「――アハッ、アハハハッ、アハハハハハハハッ、アハハハハハハハハハハハハハハハッ」


 オーゼットは腹を抱えて大笑いした。


「……アハハハッ、こいつは一本取られたね。どうやら僕も、まだまだ人として修行が足りてなかったみたいだ」


 そう言うとオーゼットは、慈愛に満ちた顔で、ノーズェをお姫様抱っこした。


「僕も一から勉強し直すとするよ。――ノーズェくんと二人で」

「……フン、お安くないわね。生憎私、おねショタじゃあまり萌えないのよね。ごめんなさいね」

「アハッ、手厳しいね」


 最後の最後で台無しだよ……。


「ハァ。じゃ、帰りましょっか、みんな。流石に私も少し疲れたわ」


 沙魔美は大きく一つ伸びをした。


「本当にお疲れ様、沙魔美。今日はゆっくり休めよ」


 俺はこれからこのことを、IGAに報告しに行かなきゃな。


「フフフ、ありがと堕理雄。――ああ、そうそう」

「ん?」

「――愛してるわ、堕理雄。これからも、死ぬまでずっと。――いいえ、死んでからも、未来永劫」

「っ!」


 沙魔美は天使にも悪魔にも見える笑顔を、俺に向けてきた。

 ……まったく、本当にこいつの愛は、地球より重いな。


「――俺も愛してるよ、沙魔美。未来永劫」

「フフフ」


 ――人生は短い。

 その短い人生の中で、俺が真実の愛と呼べるものを見つけられたことは、きっと俺が思っているよりも、ずっと幸運なことなのだろう。

 だからこそ俺はそれを当たり前のことだとは思わずに、荒野に咲く一輪の花を風雨から守るように、大切に、大切にしていかなくてはならない。

 俺は今日改めて、そのことを肝に銘じた。


 ――俺の彼女は魔女、しかも重度のヤンデレだけれど、俺は沙魔美を、心から愛している。



 『俺の彼女は魔女、しかも重度のヤンデレ』 完

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