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底辺従魔の育て屋さん ~売れ残りを鑑定して最強種に育てます~
底辺従魔の育て屋さん ~売れ残りを鑑定して最強種に育てます~
もふもふアルパカ
異世界ファンタジースローライフ
2025年02月01日
公開日
5.2万字
連載中
冒険者が世界各地で活躍する中、彼らを助ける魔物――『従魔』も、また活躍の場を広げていた。西の都市グラスコで従魔士見習いになったアルマンは、忙しい仕事をこなしつつ、自分でも従魔の育成に勤しむ。アルマンには他の人にはない才能があり、魔物の個体値を見る【鑑定眼】を持っていた。その鑑定眼を使い、売れ残った魔物や廃棄処分されそうな魔物を引き取り、交配させて強力な従魔を生み出していく。 これは最高の従魔士を目指す、少年の物語。

プロローグ

 冒険者――それは蛮勇ばんゆうを好む者たち。


 剣を取り、弓をつがえ、時に魔法を操り、おのが力を示す。

 彼らの仕事は多種多様。街道を行く商人たちを野党から守る護衛任務。

 危険な地下迷宮を探索し、貴重な鉱物を持ち帰る資源採取。

 深い森に分け入り、凶悪な魔物を倒す害獣駆除。

 国の依頼とあらば戦場におもむき、数千の敵兵とも戦う。まさに八面六臂の活躍で、彼ら冒険者なしに人々の生活は成り立たない。


 そんな腕に覚えのある彼らでも、単独では動かない。

〝従魔〟と呼ばれる人に慣れた魔物を使役し、常に行動を共にする。


 機敏で知能の高い【ダークウルフ】は、鋭い嗅覚で敵を追い詰め、猛然と襲い掛かる。その牙は肉に食い込み、決して放すことはない。

 大空を舞う【レッドホーク】は千里を見渡し、いち早く敵を発見する。戦闘では体に炎をまとい、恐ろしい速さで相手に突っ込む。

 轟々と燃え盛る炎から、逃れるすべはない。

 大きな体躯の【トロル】は、幾人分の荷物を軽々と運び、剛腕を持って敵を薙ぎ払う。圧倒的な力を持つ【オーガ】は、戦場で一騎当千の活躍を見せる。歩兵を潰し、騎馬を捻じ伏せ、城門を穿うがつ。


 優秀な冒険者は、従魔を手足のように使いこなす。

 王都で辣腕らつわんを振るう冒険者ともなれば、【ドラゴン】や【フェンリル】といった伝説級の魔物まで使役すると言う。


 だが――本来、人間を敵視する魔物を飼いならすのは容易なことではない。

 調教を行う専門の職業〝従魔士じゅうまし〟がいなければ、魔物を使役するなど到底、不可能だったろう。

 従魔士は魔物の交配、飼育、調教などを一手ににない、冒険者を支援する強力なパートナーを育て上げる。従魔士になるには国が交付する資格を取らなければならず、長い下積みを必要とした。

 大変な職業ではあるものの、優秀な従魔を生み出せれば評判を呼び、莫大な富を得ることもできる。

 そんな成功を夢見て、多くの若者が従魔士を目指す。


 エリシア歴五百九十八年――物語はリオン王国の西にある都市、グラスコから始まる。従魔の育成が盛んな街で、一人の少年が従魔ギルド『マスタング商会』の門を叩く。

 彼の名はアルマン・トーラス。

 後に【神眼の従魔士】と呼ばれる、稀有けうな才能の持ち主である。



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