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第2話 ルームメイトと機関銃

教室に戻ると、クラスメイトたちは授業の準備で忙しそうだった。

頬杖をつきながら黒板を眺めていると、隣の席から声をかけられる。

「なんだ、午後は真面目に来る気になったか。」

ルームメイトの、鈴池奏(すずいけかなた)だった。

「まぁ、比良坂さんに言われたからな。お前だろ?俺の居場所教えたの。」

「お昼のチャイムとほぼ同時に駆け込んできたぞ。あんまり迷惑かけるなよな。」

「わかってはいるんだけどなぁ…。」

「そう思うなら、行動で見せなきゃな。」

奏はテニス部のエースで成績優秀、面倒見のいい性格で男女問わず人気がある。

もしも校内抱かれたい男選手権があったとしたら、奏は間違いなく上位に入るだろうイケメンだ。

「ところで奏、今日は小鳥遊さん一緒じゃないのか?」

「あぁ、あいつならさっきそこに…」


「「ゆうやーーーーーーーん!」」

机の間を縫って迫ってくる女性がいた。

目の前まで来ると、いきなりのノートのチョップをお見舞いされた。

「にゃはは、今日も重役出勤かよご苦労さん。暇だったから授業ノート取っておいたぞぃ!」

小鳥遊葵(たかなしあおい)。奏のバディである。

「なぁ葵、やっぱり悠馬は午後から来ただろう?」

「そうだなぁ。ゆうやんの事だから、一日寝てるかと思ったのに。賭けはあたしの負けかぁ。」

会話の流れから予想はつくが、あえて確認してみた。

「賭けって?」

「ゆうやんが午後も授業サボるか、奏と賭けしてた。」

「悠馬もそこまで不真面目じゃねぇよな。」

奏、精一杯のフォローありがとな。でもお前も朝起こしてくれてもいいと思うぞ。

「じゃあ奏、明日は学食の限定プリン、奢りでよろしくぅ!」

「待て葵、賭けに勝ったのは俺だぞ。しれっと何言ってやがる。」

やれやれ、夫婦漫才が始まってしまった。

実際のところ奏と小鳥遊さんは、カップルのように仲が良い。

学園内でもバディ同士の交際はないわけではない。

が、上流階級にも色々事情があるらしく、中々気軽にはいかないらしい。

俺にはよくわからん世界だ。

「もう、奏ったら小さい事気にしてたらモテないぞぉ。仕方ない、奢ってくれるなら、一晩私を好きにしていいとしよう。」

小鳥遊さんは、まるで見せつけるように豊満な胸を持ち上げた。

心なしか、男子生徒の目線が一斉に集まった気がした。

奏は溜息をついた。

「葵、悠真が見てるぞ。」

「にゃはは、冗談だってばぁ。ゆうやん顔真っ赤で可愛いなぁ。じゃあ私、席に戻るから。また後でね。」


俺は小声で奏に確認した。

「奏、お前まさか本当に小鳥遊さんと?」

「おっと、そろそろ授業始まるみたいだぞ。」

本当だったら校庭の桜の木の下に埋めてやろう。

少なくともクラスメイトの男子は許してくれそうだ。

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