都会から田舎に移住してきた青年、
しかし、ある日村人の
「わしに、何か憑いていたか?」
俊夫は
「肩に、霊体2体は重かったでしょう。もう大丈夫です。僕が食べましたから。」
邦男は驚き、肩を動かしてみて
「肩が軽くなった!肩、上がらなかったのに上がる!!」
とたいそう喜び、家に帰った邦男は家族に、俊夫の不思議な力の話は本当だった、と話した。
噂は村全体に広まり、俊夫の家には村人たちが次々に訪れていた。
「あんた、腰重かったろ?そりゃあ、霊体5体も背負ってたら…。」
「霊体ってどんな味がするんだ?」
「ああ、結構旨いんですよ。」
「そうなのか…。ああ、腰がすごく楽になった。ありがとうよ!」
「いやいや、お安いご用。」
村人たちは、
「最近はよく眠れるようになり、体調もすこぶるよくなったんだ。お前さんのお陰だ。」
「私も子どもは出来ないと諦めかけていたのに、授かることが出来たよ…。」
と皆俊夫に感謝の言葉を述べた。
祖母も霊感が強く、見える人ではあったが、俊夫のように霊体を「食べる」なんてことは出来なかった。
しかし、俊夫にも「食べれない」霊体があった。それは、生き霊だ。生き霊だけはどうすることも出来なかった。
しかしながら、村人たちは自分たちに取り憑いた霊体、その辺にいる霊体を次々と俊夫に食べてもらったお陰で、身体も楽になり、村には平穏が戻ってきたかのように思えた、と祖母の日記には記されていた。
その記録では、まるでこの後に起こる村の災厄を暗示していたかのようだった。
もう、日記は祖母が亡くなった時に棺の中に入れて燃やしてしまったが、日記は、次は母親に引き継ぐべきだったのだろうか?
それは今となっては、誰もわからない。