私は、アパートの部屋の隅で、膝を抱えて座っていた。
ギターの事、菜々子の事、対バン決闘の事。昨日あった出来事を考えると、昨夜からロクに眠れず、ずっとこの姿勢で過ごしていた。
昨日の夜、出禁にされたライブハウスに電話してギターが無いかどうかを聞いたが『そんな忘れ物無いよ!もうかけてくんな!』と言われて切られてしまった。
菜々子には謝罪のLINEを送ったが、既読は付くものの返信は無い。電話も掛けたけど、出てくれないし、折り返しも無い。
「ライ様。分かりやすいくらいの落ち込みようじゃな?まるで1stガン◯ムのア○ロレイみたいじゃぞ?もう9時なのだ。そろそろ朝ご飯でも食べたらどうじゃ?」
例の〝超圧縮保存食品〟をチンしたトーストとベーコンエッグのセットを食べながら、ミラが言う。
何で、85年後の世界から来たアンタが、そんな古いアニメを知ってんのよ?と思ったが、ツッコミを言う気力も無かった。
「……ライ様。ちょっと、こっちに来て座るのだ」
ミラが〝おいで、おいで〟と手招きする。
「はい。……何スか?ミラ様、お説教スか?」
私は、ミラの前に正座する。
うう!今の私は、20歳を過ぎてもニートで親のスネカジリの某松野家の六つ子よりも劣るクズよ!〝QOK〟(※)なのよ!
5歳児にお説教されるのがお似合いな〝おそ松〟な……じゃない!お粗末な女なんだわ!
「ライ様。もう、お酒飲んで暴れないと約束出来るか?」
「はい」
「もう、友達に迷惑かけるような自分勝手なマネはしないと約束出来るか?」
「はい」
「もしも、無くしたギターが戻ってきたら、大事にすると約束出来るか?」
「する!する!本当に約束するわよー!帰ってきてよー!大事な私のマイギター!!うえーん!」
完全に曾孫とひいおばあちゃんの立場が逆になってしまってるが、私はギターの事を思い出すと恥も外聞もなく子供のように泣き叫んだ。
「……少しは反省してるようじゃな。今度だけは、ギターの事は
「え?ほ、本当?だって、昨日は出来ないって言ってなかった?」
「ミラは、〝新品のギター〟や〝ギターを買うお金〟は用意出来ないと言ったのだ。でも、ライ様が
そう言ってミラは、ポケットからベガタブを取り出した。
「本当に!?もうー!ミラも人が悪いわね♡そんなのがあるなら、昨日の夜に言いなさいよ♡」
私は、嬉しさのあまり立ち上がって小躍りする。
やったわ!ギターが戻ってくる!『思いが本物』かどうかですって?そんなの本物に決まってるじゃない!
「いや、流石に昨日のライ様は、やらかし過ぎなので反省させた方が良いかなって思って言わなかったのだ」
「うっ!す、すみませんでした」
ミラに痛いところを突かれた私は、再び正座する。
「えっと……。このアイテムを使っても確実に戻ってくる訳じゃないし、
何だろ?ミラ、自分から言い出しておいて、超科学アイテムを使うのを躊躇ってるような気がする?
いや、そんな事はどうでもいい!ギターが無ければ、対バン決闘のステージに立つ事すら出来ないんだから!
「今更、何を言ってんのよ!私がやるからいいわ!ベガタブを貸して!」
そう言って、私はミラからベガタブを取り上げる。
「あ!ライ様!止めるのだ!」
……これが、ベガタブか。5歳児のミラが持ってると少し大き目に見えるけど、大人が持つとやはり手の平サイズなのね。
〝ビリビリビリビリ!〟
「あんぎゃあああー!!」
突然ベガタブが輝きだすと同時に、私の全身に電気が流れたような衝撃が走った!
「ぎょえええー!し、痺れる〜!わ、私は〝仮面ライダーストロンガーみたいな改造電気人間〟じゃないから、こんな電気攻撃は耐えられないわー!」
そう言って、私は口から黒い煙を吐いて倒れた。
ああ、段々意識が遠くなっていくわ……わ……私……こ…このまま……死ぬの?…………このパターンは異世界転生?…………ああ、特撮の神様………異世界転生するなら…………剣と魔法の世界じゃなく…………怪獣や悪の組織………と戦う……し……昭和特撮の世界に…………て………転生させて…………ください…………ガクッ………。
~『ギャルバンで昭和特撮ヲタの私が、ひいおばあちゃんになった話』完!~
ネオページ執筆日数26日という中途半端な期間のご愛読、誠にありがとうございました!
来夢ちゃん
ひらやまけんじ先生の次回作(あるかどうか知らんけど)に、ご期待ください!!
「死んでねえよぉぉぉーーー!勝手に私を殺して、最終回風なオチで締めようとするなぁぁぁー!!!」
このまま放っておくと、
「あ、ライ様。大丈夫か?だから、止めろって言ったのだ」
「い、一体、何が起きたの?ベガタブに触ったとたんに、体中に電気が走ったんだけど??」
「このベガタブは他の地球人に悪用されないように、
「そういう事は早く言いなさいよー!死ぬかと思ったじゃない!」
「無理やり取り上げたライ様が悪いのじゃ。それじゃ説明を続けると、さっきミラが話したアイテムの名前は、「
「カムバック!キュンキュンメモリアルアイテムセンターって、凄い名前ね。高校3年間でステータス上げて、女の子に告白されるゲームの名前みたい」
「そりゃ、『とき◯きメモリアル』じゃろう。……〝このアイテムの出すテストに合格すれば〟無くした物と同じギターを復元してくれるんじゃよ」
「やったー!ギターさえ戻れば、まだまだ負けちゃいないわよ!
私はガッツポーズを取って、部屋の中で叫ぶのだった……!!
~『ギャルバンで昭和特撮ヲタの私が、ひいおばあちゃんになった話』完!!~
失われたギターを取り戻し、対バン決闘に勝利するため来夢ちゃんの戦いは続く……!!
作者が怠けたくなったため、今回で連載終了となりま~す!今までのご愛読、誠にありがとうございました!
ごめんね!ゲスい作者で♡
ひらやまけんじ先生の次回作(
「しつこいんじゃあぁぁー!!ボケぇぇぇー!!何で『週○少年ジ○ンプ』の打ち切りマンガ最終回によくある『俺たちの戦いはこれからだ!』みたいな感じで、無理やり完結させようとしてんの!?バカなの!!?しかも、次回作が『実写映画化、TVアニメ化決定済み!』だと!?
「どうした?ライ様?喜んだと思ったら、急に大声で訳わからない事を叫びだして?気のせいか、
「そ、そんな事は、どうでもいいじゃない。それよりも、と◯めきメモリアル……じゃなかった!〝何とかメモリアルセンター〟っての早く発動させてよ!」
「残念だけど、今回の話はもう終わりなのだ。くだらない〝打ち切りネタ〟を長々とやってたせいなのじゃ」
「……あのクソ野郎のせいか?
「ライ様ったら、まるで超サ◯ヤ人みたいな雄叫びなのじゃ♡」
※…第3曲目(14/14)参照