「や、やっと見つけたわよ!こんな所にいたのね」
私は、2時間以上原付で町中の公園やコンビニを走り回った末、町外れにある〝
え~と、メンバーの人数は、1、2、3……と全部で9人か。
こうやって、改めて見ると思ったより人数少ないのね。う~わ~、今夜も全員お揃いの真っ赤な特攻服を着てるわよ!あれ特注品よね?やっぱ
さて、どうやって『総長のサラシを頂戴!』って切り出そう?とりあえず、さり気なく近づいて様子を見てみるか。
私は、連中から少し離れた所に原付を止め、公園入口の自販機で買った缶コーヒーを片手に、彼女たちの近くのベンチに座って会話を聞くことにした。
「サユリ、その話マジかよ?なんで下校中にコンビニで買い食いくらい出来ねーんだよ?
「すんません
「バカヤロー!〝オヤツは300円以内〟にすれば計画的だろうが!」
「総長、最近はお菓子も値上がりしてるんすヨ。300円じゃ大した物は買えないから満腹にならないすヨ」
「チヨコ!オメーなめてんのか!そこは『総長ー!バナナはオヤツに入りますか?』って、ボケかませよ!そしたらアタイが『遠足じゃねーんだぞ!』ってツッコミ入れるまでが、お約束の流れだろうが!?しっかりしろやー!コラあぁー!」
「す、すんませんしたすヨ!総長!」
……今の会話から察するに、金髪モヒカンのサユリって娘や、怒鳴られた金髪パーマ頭のチヨコって娘に〝総長〟と呼ばれた中央でウンコ座りしている女の子が、
頭の右半分が金髪で左半分が赤髪をしてて、髪型はポニーテールだ。何だか某有名YouT〇berみたいな髪色だな。
濃いアイシャドーに真っ赤なルージュを塗っていて、いかにも昭和風なレディースって感じよね。でも、かなりの美少女だ!それに胸も随分大きい。サラシからオッパイが少しハミ出して谷間が出来てるじゃないの!
お、大きければ良いってもんじゃないわよ!フ、フンだ!あーあ、私ももう少し大きかったらなー!……羨ましい!
それにしても、何?今の会話は?〝オヤツ〟とか〝買い食い〟って、小学生みたいじゃない。本当に暴走族なのかしら?
「それよりも、総長聞いてくださいスよ!自分、今日家を出る時にオトンと喧嘩しちまったんスよ」
「ああん?オヤジに何て言われたんだよサユリ?」
「チームの特攻服を指差して『高校生にもなって、そんな〝
「よーく言った!サユリ!そりゃ、オメーのオヤジが悪いわ!この特攻服を〝ウルトラマンセブン〟なんかと例えるなんてセンス悪過ぎだろ?ヘコむなサユリ。褒美にアタイが3日間オヤツ奢ってやるさ」
「ほ、本当スかー!1回あたりの予算500円オーバーしても良いスか?」
「おう!何なら520円でも構わねーぞ?」
「そんな大幅にアップしてくれるんスか?太っ腹!もう、総長一生ついていきますスよ♡」
え?大幅アップ?20円しか違わないじゃん?……って、違う!違う!違ーう!そこじゃないでしょ?私!さっきから黙って聞いてりゃ頭に来る事言いやがるわね!〝ウルトラマンセブン〟じゃなくて〝
こんな重大な言い間違いに気がつかないアンタらの方がセンス悪過ぎよ!
「サユリー。〝ウルトラマンセブン〟って、頭の左右に角が付いてるウルトラマンの事だったすヨね?」
えーと、チヨコだっけ?言うに事欠いて何て間違いしてるのよ!!
それは〝
「あのー!〝ウルトラマンセブン〟じゃなくて、〝ウルトラセブン〟なんですけど!アンタら9人もいて、そんな簡単な間違いに誰も気が付かないのーー!!」
「う、うわービックリしたすヨ!」
「な、何なんスか?お、お前?……って、キレる所のポイントは〝
とうとう我慢できなくなった私は、喪慧喪慧怒無羅威巣の連中に怒鳴ってしまった。
し、しまったー!もう少し様子を見て、やんわりと話しかけて平和的にサラシをもらおうと思ってたのに!思い切り喧嘩腰になっちゃったわよ!ポイズン!
でも、これは昭和特撮ヲタにとっては見過ごせない由々しき事態なのよ!
「ああー!んだテメーは!?喪慧喪慧怒無羅威巣に喧嘩売ってんのかよ!上等だコラあぁー!」
音鳴果音が、地面に唾を吐いてガン飛ばしながら、私に近付きジロジロと眺める。
や、やっぱし、総長だけあって迫力あるわね。
「何だぁ?よく見りゃ、仮面ライダーのベルトのオモチャ付けてたり、昔の熱血ヒーローみたいな暑苦しい服装しやがって?
「「「おー!総長の言う通りっすよー!!ビッグサイトに行けや!コスプレオタクオバさん!!」」」
音鳴果音の言葉に、チームのメンバー全員が同調し、私を囃し立てる。
「だー!うるせー!私はまだ19歳よ!オバさんじゃないわよ!アンタらは何歳なのよ?」
「19歳~?もう少しで20歳のオバさんじゃねーかよ!アタイらは17歳のピチピチギャルさ!フフン♪」
音鳴果音が、腕組みしながらドヤ顔で言う。
「何よ!たった2歳しか違わないじゃない!それに〝ピチピチギャル〟なんて言葉を使うのは亀〇人ぐらいで、今の若い子は使わないわよ!アンタのセンスと中身こそ〝ババア〟なんじゃないの?」
「
「
「ち、ちょっと!2人ともストップ!ストップすヨ!さっきから、ヤンキー用語を通り越して
その時、私たちの間にチヨコが割って入ってきた。
あ、あら、もしかして私、変な言葉で会話してたのかしら?
「ねえ!アンタが、チーム喪慧喪慧怒無羅威巣の総長の音鳴果音なんでしょ?実は、アンタに頼みがあって町中を探してたのよ!」
「ああ?アタイに頼みだと?喧嘩売りに来たんじゃねーのかよ!?」
「違うわよ!あ、あのさー。突然で悪いんだけどさ、アンタが巻いてるそのサラシを私にくれないかなー♪」
「はあああー?総長のサラシをくれだぁ?何言ってるんスか?お前は、変態さんスか?
「サユリ、お前も台詞の一部がクソ長いDQNネームみたいになってるすヨ」
音鳴果音ではなく、サユリが私に絡んでくる。無理もねえー!私が同じ事言われたら、その相手をビンタしてるわよ!あと、チヨコ、今のナイスツッコミよ♡
「アタイのサラシが欲しいだぁ?」
音鳴果音は、そう言って私の顔を睨み付けるのだった……!!