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第4曲目(8/?) バンド回キター!ヤバい!ギターが無い!……え?話そこから?


 「肝試しで対決って、どういう事よー!?」


 私は、チーム喪慧モエ喪慧モエ怒無羅威巣オムライスの総長である果音かのんの提案の意味が分からず、叫びながら質問した。


 「何だぁ?そんな簡単な事も分かんねーのか?この呉棲都ごーすと刃栖蛇摩ばすたーず病院で〝肝試し対決〟して、アタイに勝利すりゃ、望み通りアタイのサラシをくれてやるって事だよ」


 果音は自信満々の顔をしながら、私にそう言う。


 「そうスよ!こんなシンプルかつ、度胸が試される対決方法が他にあるんスか?あー!ひょっとしてビビってるんスかー?」


 「アハハハ!ここはちょう鳴井ないかいちょうでも有名な心霊スポットなんすからヨ。オバケが怖いなら、今のうちに逃げた方がいいすヨ?」


 サユリとチヨコが、私を挑発する。


 くー!ムカつく!!ス〇夫ポジションのキャラのくせしてバカにすんじゃないわよ!誰がビビってるって!?……いや、そりゃ正直言うと怖いけどさ。


 でも、ここまで来たらギターを復元してもらうため、ミュージックフェスに出演するために後には引けないんだから!



 「び、ビビってなんかいないわよ!う、受けてやるから、は、早く〝肝試し対決〟のルールを説明しなさいよ!」


 「よーし、よく言った来夢!この廃病院は見ての通り4階建てだよな?」


 果音に言われて改めて見ると4階建てで、例えるならハーモニカみたいな横長の造りとなってる。


 「1124!」



 なるほど、そういうルールか。果音やサユリ達が余裕綽々の表情をしてる所を見ると、コイツら何度もこの肝試し対決をしてきたんだろうな。


 ……


 「果音、ルールは分かったわ。でも、1つ聞いていい?」


 「あんだよ?まだ何か質問あんのか?」


 「アンタさ、この廃病院で肝試し対決するのは初めてじゃないんでしょ?」


 「ったりめーだろ!この勝負でアタイは負けた事がねーんだよ!」


 「……てことは、


 「え!?ほ、!い、いや、ち、違う!!そ、そ、それはだな〜。その何ていうかさ〜。あー!あれだよ!そうそう!あれな!あれに決まってるじゃねーか」


 果音は、急にしどろもどろになって、訳わかんない事を言い始めた。


 「おーい!おい!今、『ホンマや!』って言ったよね?もしかして、今私に言われて初めて気がついたの?その辺の事は何も考えずに、こんな所まで来たわけ?」


 「あー!アハハー!そ、そんな訳無いじゃねーか!そ、そんな事はお前に言われるまでもなくアタイには、わ、分かってたさ!」


 果音の目が泳ぎ過ぎて、水泳大会始めちゃってるわよ!……私の予想通りなのね。コイツ勢いだけで行動してたのか。


 「あのね、果音。何でも勢いや感情に任せて行動すりゃ良いってもんじゃないよ。時にはちゃんと考えて動かないと痛い目に遭うからね」


 「うぐ!」


 私に図星を突かれた果音は、そう叫ぶと黙ってしまう。


 もしもすめらぎ菜々子ななこが、今の私の言葉を聞いていたら『『お前は人の事を偉そうに言えないだろう!』』と全力でツッコミ入れられてだろうな〜。


 〝人の振り見て我が振りなおせ〟とは、よく言ったもんね。私もマジでこれから気をつけるわ。


 「そ、総長、確かにコイツの言う通りフェアじゃないス。自分も今まで気がつかなかったスよ〜」


 「こんなハンデ特盛りメガMAXの状態で、勝っても自慢にならないすヨ。逆に、チームの看板に傷がつくかもすヨ」


 サユリとチヨコはアタフタしながら、無言の果音に話しかける。


 「だー!!わーったよ!!それじゃ少しルールを変えるぜ!まずアタイが先に行く。そしてアタイのタイムより+10分以内に戻ってこれたら、来夢の勝ち。これで文句ねーだろ?」


 「つまり、アンタが10分で帰ってきたとしたら、20分以内に戻れれば私の勝利ってことか」


 「その通り!それじゃ、早速おっ始めようじゃーねーか!」


 「すいません。総長、ちょっといいですか?」


 果音が廃病院に突入しようとした瞬間、チームメンバーの1人が呼び止めてきた。


 そういや、コイツら全部で9人いたのよね。


 さっきから果音とサユリ&チヨコしか喋ってないから、3人しかいないと思っちゃったじゃないのよ!


 「あー?えーと、お前の名前なんだっけ?〝モブキャラA子〟でいいか!それで、何なんだよ!?」


 モブキャラA子って、いくらなんでも、そりゃあんまりじゃないの!?この子が可哀想じゃん。


 「押忍!私の名前は、藻部もぶ伽羅きゃら 永依子えいこで合ってます!」


 「その名前で合ってるんかーい!!」


 私は、思わず藻部伽羅 永依子にツッコミを入れる。


 「総長。これから『機動〇士Gun〇am GQuu〇uuuX』の放送が始まるので、ウチら6人は帰らせてもらいたいのであります!」


 「何ぃ〜?」


 果音は、藻部伽羅 永依子を睨みつける。


 そりゃそうよね。総長が体張って勝負しようとしてる矢先に、アニメ観たいから帰るなんて言い出したら怒るか。


 「バカヤロー!早く言えよ!アニメはリアルタイムで観るのが1番良いに決まってんだろーが!特に『機動〇士Gun〇am GQuu〇uuuX』は面白過ぎるしな!そういう理由なら早く帰んな。そういや録画予約すんの忘れてたぜ。今日の放送回をBlu-rayに焼いてアタイに寄越せよ?」


 〝ズコー!〟


 私は、果音の言葉を聞いてズッコケる。


 「帰るの許してやるんかーい!!アンタはホンマに暴走族の総長かいなー!?」


 ズッコケたまま、私は果音にツッコミを入れる。



 「押忍!ありがとうございます!Blu-rayもちろんであります!お先に失礼します」


〝パラリラ〜♪パラリラ〜♪〟


 藻部伽羅 永依子たち6人は、それぞれの原付に乗って帰っていった。


 廃病院に残ったのは、私と果音にサユリ&チヨコの4人だけになった。


 「あれ?そう言えば『機動〇士Gun〇am GQuu〇uuuX』って、?」


 私は、果音に放送日の矛盾をツッコむ。


 「来夢、オメー知らねーのか!?都内で、この超鳴井界町だけは金曜の深夜放送なんだよ!」


 「な、何で、この町だけ放送日が違うのよ〜!おかしいじゃない?」


 「そんな事、アタイが知るか!それじゃ今度こそ始めるぜ!サユリ、タイム測れよ」


 「任せてくださいスよ総長!それじゃ行きまスよ?ヨーイスタートっス!」


〝ダダダダ!〟


 サユリの合図とともに、果音は廃病院に突入する。


 「おーい!お前ら見えてるかー!」


 果音が、1階の端っこの窓から顔を出して手を振る。


 って、随分早いな!まだ中入って2分も経ってないんじゃない?


 これは、私も気合い入れていかないと負けるかも!?


 ……それから、10分くらいが経過したのかしら?まだ2階の窓から果音が顔を出さない。


 「なあ、サユリ。総長、いつもこんなに遅くないすヨね?」


 「自分もそう思ってたところスよ。変スね?」


 サユリとチヨコも、おかしいと思い始めたみたいね。まさか、果音に何かあったのかしら?


 「キャアアー!!た、助けてー!!」


 その時、廃病院の中から、果音の悲鳴が聞こえてきた!


 「え?え?そ、総長!な、何があったんスか!?ど、どどうすれば、い、いいんスかー?」


 「あ、あわわ!わ、分かんないすヨ?お、お巡りさん呼んだ方がいいんすかヨ?」


 今の悲鳴を聞いてサユリとチヨコは、すっかり動揺してるようだ。


 警察を呼ぶ?今から連絡してもこんな町外れの廃病院まで、すぐに来れるわけないじゃない。


 もしも、その間に果音が取り返しの付かない事になったら、どうすんのよ!?


 「サユリ!果音を助けに行くわよ!」


 私は、サユリに声をかける。


 「え?自分ら達でスか?」


 「今の悲鳴、ただ事じゃないの分かってるでしょ!警察来るまで待ってたら、果音が無事じゃ済まないかもしれないじゃない!だから、果音の所に早く行くためにも、アンタに中の案内してもらいたいのよ!」


 「う、うー!わ、分かったスよ!来夢、自分に付いてくるッス!」


 サユリは、玄関に向かって走り出す。


 「チヨコ!アンタは何かのために、ここで待ってて!警察への連絡もお願いね!」


 「了解すヨ!来夢、総長とサユリの事を頼んだすヨ」


 「OK!何とかしてみせるわよ!」


 私もサユリの後を追い、廃病院に突入する。


 ……サユリの先導で、私はあっという間に2階の廊下にたどり着いた。


 「た、助けて!助けて!」


 間近で果音の悲鳴が聞こえたので、スマホの懐中電灯を使い、その方向を照らす。


 ……私達が見たのは、涙ぐむ果音を羽交い締めにしてる〝長い黒髪の女性看護師〟であった!


 な、何で、こんな廃病院に看護師がいるの!?


 え?よく見ると、


 それに、随分顔色が悪い……というより、ゾンビみたいに真っ青だ。


 ま、ま、ま、まさか、こ、こ、こ、この、か、か、!!??


 だ、だから足が無いの?ま、周りの火の玉は〝人魂〟ってやつじゃないでしょーか??!!


 う、ウソでしょー!!?


 「……Youたーち、この女のフレンド友達かーい?いつーも、いつーも、うるさーいんだよ!Meのスリープ眠りを邪魔してーさ!トゥデイ今日こそーは、Youたーち、オール全員まとめてオシオーキしてやーる!ヒップお尻ペンペーンよ!」


 幽霊の女性看護師は、果音を羽交い締めしたまま私達にそう言った。


 ……っていうか、何で幽霊のくせに‶ルー語〟で喋ってんの!?


 い、いや、そんなことよりも、ちょっと待ってよー!この作品は〝SFコメディー〟じゃなかったっけ?


 いつから〝ホラー作品〟になっちゃったのよー!?


 どうして、ギターの材料を探してだけなのに幽霊に遭遇しちゃうのー!!??こんなジャンル違いの展開は反則だわさー!!!






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