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異世界転生 出会い編

第25話 少女と山賊

 私は【拒絶の森】から外へ踏み出した。


 目の前には、見渡す限り広大な大草原が広がっている。私が立ってる現在地とここから1番近くにある街を並列思考セラフィムと〘天才〙をリンクさせて調べてもらう。


並列思考セラフィム、〘天才〙とリンクして現在地と1番近くにある街を調べてくれるかな?」

『アリス様、ここはグリエル王国領土内で、王都より南にある要塞都市ヴェガがあって、そこから更に南にあるゼクス伯爵領内の、最南端にあるダイカンゲ大草原です。もっとも近い街は、ここから北へ3時間ほど飛行で移動すれば、ポロ村という小さな村があります』


 私が育った【拒絶の森】は最果ての地にある森だったのね。脱ボッチ生活のため、取り敢えずは人の住む所へ行ってみたいから、並列思考セラフィムにポロ村までのナビゲーションを頼んで移動することにした。


「早く脱ボッチしたいから、ポロ村までのナビゲーションを頼むわね!」

『アリス様、完璧なナビゲーションをしますので、大船に乗ったつもりでお任せください!』

「さぁ、脱ボッチ目指して出発だよ〜!」


 私は『スーッ』と北へ向かって飛んでいる。森の中を飛ぶ時とは違って、木の枝などに注意する必要がないので快適なの。


 1時間ほど快適な空旅を続けてると、並列思考セラフィムが報告してきたの。


『アリス様、少し先に生体反応があります。どうされますか?』

「魔物や獣以外の可能性があるから、地上に降りて反応ポイントへ行くよ」

『かしこまりました、案内します』


 私は地上降りてから、並列思考セラフィムの案内で反応ポイントへ向かって行くと、少女の叫び声が聞こえてきた。


「嫌ぁああ〜! 誰か助けてぇ〜!」


 少女が必死に助けを求めてる。


 私は飛行に切り替えて少女の元へ急ぐと、血まみれで倒れる男性とそれに寄り添いながらも怯える少女。そして、その周囲を囲む大勢の人を確認できた。


 ただならぬ雰囲気の中、私は少女の隣に飛び降りると周囲を囲んでいた人たちが少し後ろに下がった。


「なっ、どこから現れたんだ!」

「空からだよ? 見てたでしょ? あなた達こそ大勢で何をしてるのよ?」


 怯える少女の方を『チラッ』と見る。緑色ショートヘアーに緑色瞳をした少女の隣には、血まみれの男性が倒れているがすでに息を引き取っている。もう少し早く気づけばと思っていると、1人の男が前に出てきた。


「俺達は山賊だ。そこに居るハーフエルフの小娘を攫うんだよ! 希少価値の高いハーフエルフの女は性奴隷として高く売れるからな! ガッハッハッァ〜」


 下衆な笑い声をあげながら男が話した後に、後ろに居た『the 雑魚』って感じの男が前に立つ男に話しかけた。 


「兄貴、その女もよく見れば極上の小娘ですぜ、そいつも捕まえて性奴隷として売り飛ばしましょう」

「そうだな! 野郎ども、傷をつけずにとっ捕まえろや!」

「「おぉ~!」」


 旅をしていた2人を襲撃した救いようのない山賊達を、誰一人逃さずに成敗する事にした。 


「異世界転生して、初めて遭遇する人間がクズとか最悪だわ……。改心なんて求めずに、全員殺っちゃうから覚悟してね」


 そう言ったあと、私は山賊達に向けて双剣を抜いて駆け出したのだった。




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