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第26話 主従契約

 私は山賊に対して双剣を抜いて駆け出す。それと同時に山賊の兄貴と呼ばれる男を【解析鑑定】する。


【名前 】ゲス.ヘッダー 38歳

【種族】人族 Lv25

【職業】山賊

【HP】105

【MP】35

【筋力】130

【防御】125

【魔力】35

【敏捷】80

【知力】45

【運気】10


 一応、他の山賊達も【解析鑑定】をしたけど、軒並みLv10前後の雑魚クラスの集まりだったの。少女を性奴隷として攫おうとした悪党達なので、全員斬り捨てるつもりでいる。


 私は罪を犯した悪人達が改心をして、その後の人生を真面目に生きるなんてことは信じていない。罪を憎んで人も憎むのが私のスタイル。


 だってハーフエルフの女の子は性奴隷としての価値があるからといって、少女を攫う為に同伴者を殺してしまう悪党達なんだもん、このまま生かしておく意味なんてないよね。


「おい、目立つ傷は付けるんじゃねえぞ!」


 兄貴と呼ばれる男が叫んで指示をだして、周りに居る山賊達が返事をしようとした瞬間。


『ドシュンッ!』


 私は〚石弾ストーンバレット〛を無詠唱で放って山賊の頭が弾き飛ばした。


 仲間の頭が弾け飛ぶ様を見て、周りの山賊達は硬直する。私は遠慮なく手に持った双剣で、ゲス以外の動けなくなった山賊達の首を斬り飛ばしていったの。


 ゲスは味方の惨劇を目の当たりにすると、顔からは血の気が引いて青ざめていて『ガクガク』と身震いをしながら腰が抜けてヘタりこんだのだった。


「待っ……」

『スパッン!』


 ゲスは命乞いをするつもりみたいだったけど、私はそれを許さずに言葉を言い切る前に、双剣でゲスの首を『スパン』と刎ねると頭が地面に転がったの。


 人を殺めたのは初めてだったけど、魔物を討伐するのとなんら変らない感触で、特に不快になることはなかった。


 そして、私は怯える少女の元へ歩み寄り優しく抱きしめてから声をかける。


「ごめんね……。私がもっと早く来ていれば、あなたも同伴者の方も酷い目に合わなかっのに、本当にごめんね」


 私は声を詰まらせながら、同伴者を救えなかったことを謝った。少女は泣きながらも救われたことへの感謝を口にする。


「あの、たっ……助けて頂き、本当にありがとう……ございました」

「亡くなられた同伴者の方は身内なの?」

「はい、祖父で……私は穢れ者なので、エルフの里には居る場所がなかったの。それで祖父と二人で安住の地を探す旅を……してました」


 エルフ社会では純血以外は穢れ者扱いして邪険するんだね。祖父を亡くし1人となった少女にある提案をしてみる。


「私はあなたのおじい様を救えなかった。だからという訳ではないんだけど、私にあなたの保護をさせて貰えないかな? 私はアリス.フェリシア【拒絶の森】って所で暮らしてるのよ」


 私の提案を聞いた少女は驚いていた。


「あの、本当によろしいのですか? 私は穢れ者なんですよ? その……アリス様と一緒に居ると……ご迷惑をかけると思います……」

「あはっ! 穢れ者なんてさ、言いたい奴に好きに言わせればいいんだよ。私があなたは穢れ者なんかじゃないと証明してあげるよ!」


 少女は私の言葉を聞いたあと、少し考えてから返事をする。


「あの、アリス様にお世話になるにしても、忠誠の証として奴隷契約をお願いしたいです」

「私は従わせるとかって嫌なんだけど、それがあなたの希望なら叶えるわね。でもさ、奴隷ではなく主を裏切れない【主従契約】にするね」

「はい、アリス様、私の名はゼラーシュカ、ゼシカとお呼び下さい」


 私は〘天眼〙の力に含まれている【隷属】の力を行使して、ゼシカの胸に主従刻印紋を刻印する事で【主従契約】を結んで、初めての従者としたの。


§隷属について§

〘隷属〙には【主従契約】【奴隷契約】がある。


【主従契約】主従刻印紋で主従関係の契約する。主を裏切ることが出来ない以外は、特に厳しい誓約がない契約。


【奴隷契約】奴隷刻印紋で主従関係を契約する。厳しい誓約で労役奴隷、戦闘奴隷、慰安奴隷等の絶対強制がある契約。


 どちらの契約も主に不利益になる発言、行動をしようとすると刻印紋から激痛を伴う罰が与えられる。

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