拒絶の森に水路を通したところで、ユーザニア市の屋敷へと戻る。私は拒絶の森の眷属たちとの連絡手段がないことが、かなり不便だと感じたの。
この世界には直接会話をする以外の連絡手段は、手紙しかないんだよね。手紙をおくろうにも、拒絶の森へ届ける手段がないので無理。どうにか私と
『アリス様、紋章を通して従者や眷属と絆を構築すれば、アリス様と私のようにコミュニケーションが取れるのではないでしょうか?』
「おぉ、確かに出来そうだね!〘天才〙とシエル様の加護〘智識之泉〙をフル活用して、コミュニケーションツールを作ってみようか!」
『微力ながらお手伝い致します』
取り敢えず、コミュニケーションツールに付いては
「ようこそ、アンマリーナ奴隷店へ! 特殊奴隷のことならお任せ下さいませ」
特殊奴隷と言われたけど、普通の奴隷との違いが判らなかったので、店員さんに何が違うのかを質問をする。
「あの、私って奴隷の知識が乏しいからさ、特殊奴隷について教えてもらえない?」
「特殊な趣向を持つ方を、満足させるための奴隷のことですよ」
「あぁ……、そっち系の奴隷を扱ってる店だったのね。そういう趣向はないから、私の求める奴隷は居ないかな?」
「そうですか。でも、特殊教育を実施する前の奴隷も居ますよ? ご覧になられますか?」
特殊教育前ならノーマルの状態だから、問題ないと思ったので見せてもらうことにした。
「せっかく店に来たんだし見せてもらうね」
「かしこまりました。部屋へ案内しますので少々お待ちください」
店員に部屋へ案内されたので待っていると、特殊教育を受ける前の奴隷達が15名ほど連れて来られた。私は全ての奴隷を鑑定をしてみると、気になった者が2名いたので部屋に残ってもらう。
【ティア】エルフ 120歳 器用A 裁縫S
【シュレ】獣人 16歳 器用C 調理A
器用A.・裁縫S・調理Aを持つというかなりの逸材だった。特殊奴隷になる前に出会えて本当に良かったと思う。私は2人に自己紹介をしてから話を聞くことにした。
「私はアリスだよ。屋敷で働くメイドを探してるの。あなた達が奴隷になった経緯と、セールスポイントを教えてくれる?」
「私はエルフのティアと申します。知らないうちに契約書へサインをしていて奴隷にされました。手先の器用さには自信があります。性奴隷には成りたくないので、どうか私をお雇い下さいお願いします」
「あたしは獣人のシュレです。怪我をした時に治療院で回復魔法をかけてもらいましたが、治療の代金が払えず奴隷に落ちたんだ。あたいは厨房で働いた経験があるの。美味しいご飯を作るから雇って欲しいです」
「かなりダークな経緯で奴隷になったのね。2人とも私の欲しい人材だから購入するね」
「「ありがとうございます」」
私が購入すると伝えると、2人とも大きな声で感謝を口にした。すると店員が笑みを浮かべながら近寄ってくる。
「お客様、2名のお買い上げ誠にありがとうございます。代金は金貨80枚になりますがよろしいでしょうか?」
「いいよ!ゼシカ、支払いをお願いね」
「かしこまりました」
支払いを済ませると、アンマリーナ奴隷店を後にしたけど、かなり胡散臭い奴隷店だと思ったので、奴隷の仕入れ方法等に問題がないかを調査してみようと思った。もし悪いことをしてるのならあの店は潰しちゃおう!
2人を連れて屋敷へ戻ると、奴隷契約から主従契約に変更する。当然2人から感謝され跪いて忠誠を誓ってくれた。その後はシオンに新たなメイドの仕事の説明を任せたの。