リューネが大剣の一振りで魔物を蹴散らして、1階層はなんなく進んで行く、現在は2階層を攻略中だ。
1階層との違いは、魔物が複数で現れるようになった程度で魔物同士の連携などはなく、数だけで襲い掛かって来るだけなので、リューネ1人で全てを倒してるんだけどね。
「5階層まではリューネがメインでアナはフォローで良さそうだね」
私が2人に声を掛けると、アナは軽く頷いてから答えた。
「はい、この辺りなら私のフォローも必要なさそうですが、一応は警戒をしておきますね」
その後も、リューネが1人で魔物を討伐しながらも、順調に嘆きの地下迷宮を突き進み、半日程度で5階層にあるボス部屋の前にたどり着いた。ちょうど良い頃合いなので、昼食休憩を取ってからボス部屋に挑むことにした。
「はい、リューネお疲れ様! お昼休憩にするよ。ゼシカはご飯を出してね」
「かしこまりました。お肉たっぷりのローストビーフサンドとクリームシチューになります」
そう言いながら、
「わっ、すごく美味しそうだね。うちの料理人はとても良い仕事をしてくれるねぇ〜」
「そうですね、ゼシカ姉様が要望したのでたっぷりのお肉があって、アリス様が好きなゴロゴロ野菜がたっぷり入ったクリームシチューもあるので、本当にバランスが取れていて良い料理ですよね」
私が話しかけると、ゼシカとリューネは食べることに夢中になっていたので、アナは2人のことを見て笑いながらも返事をしてくれた。
私達がリラックスしながら昼食を取っていると、後からやって来た男4人のパーティーが、私達に近寄って話しかけてきたの。
「おぉ、美味そうな匂いがするな!」
「お嬢ちゃん達の飯か? 俺達も腹が減ってたんだよ! 飯を食わせてくれよ」
女性パーティーだから舐めてるようで『ニヤニヤ』しながら無神経な言葉をかけてきたので、私は少し『イラッ』とした表情をしながら返事をする。
「ん? 何であなた達に食べ物を分ける必要があるの? 自分達で用意した物があるんでしょ? 食事をするなら別の場所で取ってくれば? ウザいから消えてくれない?」
「おいおい、俺達はCランクパーティーの【牙の傷跡】だぞ! そんな口を聞いてただで済むと思ってんのか?」
どう見てもの雑魚にしか見えないのに、鼻息を荒くして突っかかってくる。
「別にあなた達が何者かなんて知らないしさ、そんな脅しに私がビビるとでも思ってるの?」
「威勢の良いお嬢ちゃんだな。ダンジョン内では何があっても自己責任なんだぜ? 今からお前らを素っ裸にひん剥いて『ヒーヒー』言わせることも可能なんだ。そこんとこをよく考えて答えろよ?」
私の返事に男達は不機嫌な表情になり、脅すように声を荒げて後に武器に手をかけた。
(はぁ~……面倒なことになりそうだね……)