従者達の力不足を指摘して、先へ進まずに安全を最優先にすると伝えたあとは、少し重い空気が漂っていた。
私は重い雰囲気を一変させるために、20階層にあったボス部屋をクリアして手に入れた宝箱を開く、お楽しみイベントをすることにした。
『パンパン!』
「さぁ、今からお楽しみ時間の、ボス部屋で回収した宝箱の中身を確認しちゃうよ!」
「「はい!」」
なかなか苦労して手にした宝箱なので、中身は期待できそうなので、従者達の声も明るく雰囲気がガラリと変わった。そして宝箱の中身はこんな感じだったの。
【金塊】【ミスリル塊】【鬼の心】【送配電システム】【シーリングライト】【扇風機】
「この金塊があれば、当面のお金に困ることは絶対になさそうだね。ミスリルは武器と防具を作るのにいいかな? 守衛達にそれなりの物を作ってあげれそう、喜んでくれるかな?」
「「間違いなく喜びますよ!」」
守衛達に武器を作ってあげると言うと、3人は『ニコッ』と明るい笑顔を見せたが、妙に引っかかる感じがした。だけど重い雰囲気は和らいだので結果OK! あとは【鬼の心】とこの世界には存在してない【送配電システム】【シーリングライト】【扇風機】を鑑定してみる。
【鬼の心】魔力を流すことで鬼が生まれる宝玉。鬼の能力と種類は、魔力を注いだ者の影響を受けることになる。
【送配電システム】アカシックレコードに記されている、発電した電気を送り届けるのに必要なシステム一式。
【シーリングライト】アカシックレコードに記されている、電気によって明かりを灯すことができる電化製品と呼ばれるアイテム。
【扇風機】アカシックレコードに記されている、電気の力によって風を起こすことができる電化製品と呼ばれるアイテム。
スライムの心の鬼バージョンなのかな? これもダンジョンから戻ったら、スライムの心と一緒に魔力を注いでみようと思う。送配電システムとシーリングライトに扇風機だけど、拒絶の森の開墾と他の電化製品が揃うまでは、保管しておくことにする。水力発電所で電気を発電できる日が待ち遠しい。
宝箱の中身を確認したところで、重い雰囲気は完全に消えたので、そのあとは翌日に備えて就寝することにした。
そして翌朝、アナが用意してくれた朝食を取ったあとは、前日に話をした通りに、25階層を目指してダンジョン攻略を再開する。
「さぁ、説明した通りだからね。これから25階層にあるボス部屋を目指すけど、そこで隠し部屋を作ったら戻るからね」
「「かしこまりました」」
21階層からは、キメラに
ダンジョンの先へ進むにつれて、最初は3対1で倒していたのが、いつの間にか2対1で倒せるようになり、25階層に着く頃には1対1でも勝てるほどまでに成長をしていたの。
そして、私達は25階層にたるボス部屋の手前へ、無事にたどり着くことができた。
「うん、この短期間で3人のレベルはかなり上がったね! 本当によく頑張ったよ」
「「ありがとうございます」」
「じゃあ、私が隠し部屋を作ったら、転移魔法陣を設置して屋敷へ戻って、ゆっくり休もうか〜」
「「かしこまりました」」
私が隠し部屋と転移魔法陣を設置すると、嘆きの地下迷宮の攻略は一旦終了となり、前人未到となる24階層までの情報を持って、ユーザニア市の屋敷へと戻ったのだった。