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第3話 馬鹿貴族との遭遇

 私達は、グリエル英傑学園を受験するために、王都グリエルへ向けて馬車を走らせる。


 今回王都へ向かうのは、私とゼシカ、アナ、リューネの英傑学園を受験する4名、秘書官を務めるミネバ、身の回りの世話をするメイドのティアとシュレの2名、馬車の手綱を取るシェリルを含めた合計8名になる。


 全て準備が整い荷物も積み終えたので、出発する前に屋敷を任せるシオンと、ルミナスの森を任せるフランシスコに声をかける。


「じゃあ、行ってくるね。シオンに留守中の屋敷のことは任せるからよろしくね」

「かしこまりました」

「フランシスコも、ルミナスの森のことをよろしく頼むね」

「お任せください!(布教活動を)」


 2人に言葉をかけたあと、馬車へ乗り込もうとすると、イリスとクリスが私の胸に勢いよく飛び込んできて、甘えながら話しかけてきた。


「「アリス様〜、ボクたちも王都へ着いていきたいよ〜」」

「う〜ん、イリスとクリスはそのままだと目立っちゃうだよね。今回は屋敷で留守番をしてもらっちゃおうかな?」


 手のひらサイズの真っ白なスライムとデーモンは、目立ってしまうために連れて回ることができないので、残ってもらうのがベストだから留守番を言い渡すと、2人揃って胸元から離れたので判ってくれたと思った。


「「大丈夫〜、へ〜んしんっ!」」


 イリスとクリスが変身を唱えると、ティアドロップ型の白いピアスに変身した。


「これなら一緒にいれるでしょ?」

「ん〜、仕方ないね」


 私は左右の耳にピアスを装着して、ゼシカの方へ顔を向けて『コクリ』と頷き、このまま2人を連れて行くことにしたの。


 馬車が動き始めると、窓から顔を出して見送ってくれる者へ手を振りながら声をかけた。


「それじゃ、行ってくるね〜」

「「行ってらっしゃいませ!」」


 王都グリエルへの道中は、たくさんの魔物や盗賊が現れたけど、イリスとクリスが気配を感じると、すぐに迎え討ってくれた。


 移動する馬装者は、私が作ったサスペンションがよく効いて、ほとんど揺れを感じることはなくとても快適な馬車旅を過ごす。


 食事も妖精の鞄フェアリーポーチからでき上がった物を出すだけで、野営をせずに馬車内で食事をとることができたので、ノンストップで要塞都市ヴェガへたどり着いた。


 ノンストップの移動を続けていたため、ここで馬を休ませる必要があったので、ミネバが最高のホテルを押さえてくれたので向かう。


「ようこそ、ホテル ロイヤリーガへ! どうか旅の疲れを癒やして下さいませ。お部屋は最上階にあるロイヤルスイートを用意しております。お荷物の方をお預かり致します」

「いえ、荷物は全て魔法鞄マジックバッグに収めているので大丈夫です。部屋への案内をよろしくお願いします」

「かしこまりました」


 ミネバがマネージャーに案内を頼むと、すぐにベルアテンダントが最上階にある部屋まで案内をしてくれた。


「こちらが本日お泊りになられる、ロイヤルスイートになります。どうぞゆっくりとお過ごしください」

「ありがとう。これはお礼よ」


 ミネバがベルアテンダントにチップを渡すと、深く頭を下げてから部屋をあとにすると、私は豪華な部屋の中を眺めはじめた。


「わぁ〜、流石はロイヤルスイートだね! この部屋のデザインを屋敷でも真似したいね」

「確かに、この家具なども素晴らしい逸品ばかりですね。屋敷でもこのような物を揃えたいですね」


 ロイヤルスイートの感想を伝えてからは、ミネバと部屋にある素晴らしい逸品の話をしていると、ティアがお茶の用意をしてくれたので、ゆっくりと寛ごうと思った瞬間、何者かがドアを開けて部屋へ入ってきた。


「失礼するぞ! 俺はグリフィス侯爵家の令息であるライル様だ。お前達のような平民如きが、なぜこのロイヤルスイートを使っているのだ!」


 ドアを開けて部屋へ入って来た男は、意味不明なことを大声で叫ぶ馬鹿貴族だった……


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